【インタビュー】bacho

歌うことは辛さを緩和する。歌のもつ力を信じている

実に9年ぶりのアルバム『Boy Meets Music』を2024年11月にリリースしたbacho。今回は北畑欽也に話を伺った。

「自分たちの活動の中心はライブなのですが、作品を作ることでバンドの空気が良い方向に変わることは実感しました。元々アルバムは作りたかったんですよ。ただコロナ禍でライブができない中、アルバムを作るのは違うなと。それで躊躇していた部分はあるのですが、このタイミングなら出せるなって」

ライブができなかった時期の葛藤を経たからこそ『歌うこと』を意識した言葉が並んでいる。

「“歌がなければ死んでしまう”なんてことはないと思うのですが、でも自分の中ではかなり重要なことで。歌を歌うことって辛さを緩和する効果が絶対あると思っていて。僕も歌を歌うことで気持ちが整理できるので、歌のもつ力を信じています」

音楽が自分自身を救うこともあるという。

「コロナでライブがやりづらくなり、さらに自分がライブをしていることが仕事にも影響があり。それまで結構自分はタフな方だと思っていたのですが割とくらってしまい。そんな中「Feeling Down」ができたことで自分の中で救われた部分もありました」

しんどいとき、もう駄目だと思ったときの指針となる曲が「萌芽」だ。

「きっとこれからも“やばいかも”って時期は高確率でくると思う。そういうときに『萌芽』を歌うことで“もう少し頑張るか”という気持になると思うんですよね」

「萌芽」の歌詞にはレーベル名となった『凍土』という言葉も登場する。

「僕らは“これをこうしたらこうなる”といった活動をあまりしてこなくて。保障なんて何もない中でやってきたので、そういう場所を耕すという意味で『凍土』と名付けました」

2024年11月より始まった『Boy Meets Music Tour』や『Lost Music Tour』。そして2025年11月からは『Still Music Tour』を開催する。

「ツアーを3回に分けておこなう中で、なんとなく“ツアータイトルを変えたいな”という思いはあったのですが、それが上手くハマりまして。音源を届けるツアー、聴いてもらった上でまわるツアー、そしてこの後のファイナルシリーズと、結果的に全部が違うツアーになりました」

『Boy Meets Music』という言葉にはどういった思いが込められているのだろうか。

「大袈裟に言うのならば、自分の人生の始まりは音楽と出会ったこと。それがこの人生につながっているので、あらためて自分の物語の起源に立ち返ることを意識しました。それが果たして幸せだったのかどうかは自分で判断するしかないのですが、人生が変わったきっかけは音楽だったなと。もっと普通に生きた方が幸せだったかもしれないけど、僕にとって音楽はそういうもので、“じゃあみんなにとって音楽はどうですか？”っていう」

音楽と向き合ったとき、自分の人生と向き合ったとき、“歌うことが人生”だと言い聞かせるように綴った曲が『Boy Meets Music』に収められている。

「願わないと何も始まらないんですよ。勝手に転がり込んできたことにあまり価値はないし、それじゃ喜びにはつながらない。“自分は何もできない”ではなく“何かできる”と思っていた方が上手くいくし、それが僕にとっては歌うことなんですよね」

誌面連動Q&A

• Q.
  手土産を選ぶポイントは？

A.
「基本的には食べ物を贈りたいと思っています。私は自宅の近くにあるお店で買って行くことが多いですね。特に、子供の頃から食べているものを選べば美味しさへの説得力が増すと思いますし、話も広がる気がしています」