【インタビュー】湘南乃風
2023/3/1(水)
20年間培った湘南乃風のライブを魅せる感謝行脚
ニューノーマルの時代を受けて
元通り以上のお祭り騒ぎをしようぜ!
デビュー20周年を迎え、1月には初の日本武道館公演でまさに『新・春・狂・乱』と掲げたタイトルのごとく1万1000人を熱狂させた湘南乃風。そのステージで全国11都市の全国ツアーとベストアルバムのリリース、そして8/12(土)の横浜スタジアム公演が発表された。4人でのインタビューは久しぶりとのこと。日本武道館ライブのこと、20周年への想い、ツアーへの意気込みを語ってもらった。
SHOCK EYE「湘南乃風としてワンマンライブで日本武道館のステージに立つのは初めてでしたし、センターステージでやると決まってからはとにかく準備が大変でした。みんなで一つハッキリ決めていたことは僕たち4人とBKと5人で魅せきるライブにしようね、ということでした。自分たちのカラダひとつで勝負する生々しいライブでいこうと。この数年コロナ禍でたくさん制限がありましたし100%の環境でライブができなかったから、そういうことが思いっきり払拭できるようなパフォーマンスをしたかったんですよね。コンセプトは?と聞かれたら後付けになってしまうけれど、自分たちとしては武道を極める日本武道館らしく、”5人が素で立って個々の力で頑張るステージ”だったんじゃないかな。」
RED RICE「ライブを見て「スゴく良かった」とか「楽しかった」とかたくさん言葉を頂けたので、頑張って良かったなと思ったのが今の素直な気持ちですね。20周年の皮切りに1月早々から武道館公演だし、それも初なのにいきなりセンターステージって言うし。どんどん色んなことが決まっていって、かなり不安いっぱいで臨んだんですよ、ホントに大丈夫かな?って(笑)。ファンの方々含めて温かい言葉を頂けて嬉しかったです。自分たちで高い目標を掲げたぶん、いつも以上に一致団結して挑んだ感じがありました。」
若旦那「たくさんのファンの方に集まってもらいましたし「良かったよ」という声を頂くと、なおさら自分としては満足というより「もっとやれたんじゃないか」という気持ちが出てきますね。センターステージでアリーナは見やすかったのかな?全景が見える2階席の方が良席だったのかな?とか、もっと客席全方位に気を配って動く方法はなかったのかな、とか。自分たちのパフォーマンスはもちろん、全てにおいてもっとホスピタリティを持って臨んでいきたいと思っているのでまだまだ考えることはたくさんありますよね。」
SHOCK EYE「確かに360度の環境だから、自分の正面になるアリーナから2階のスタンド席までお客さんたちの顔を見ながら、メンバーの動きを見ながらパフォーマンスするのってホントに無我夢中でしたよね。もっとやれたと思う部分もあるけれど、4人ともある意味必死だったと思うからその熱量は伝わってくれたんじゃないかと思います。武道館というステージであれだけのお客さんに囲まれて、みんな楽しそうな顔をしてくれているのがハッキリ見えるなんてやっぱりありがたいですよね。ここまでやってきて良かったな、って素直に思いましたよ。こんなにたくさんの人が集まってライブができる状況があらためて嬉しかったですよね。」
HAN-KUN「いつもだったらライブ前はイイ感じでリラックスしてステージに向かっていくのが自分たちらしさなんだけど、20年やってきて一番緊張感のある楽屋だった印象がありますね(笑)。メンバーそれぞれいつもとはちょっと違ってイイ緊張感で。当日のMCでも話したんですが、若旦那がお友達からもらった絵馬を持ってきてくれて、「みんなでお願いごと書こうよ。今日の意気込みを書こう!」って言いだしたんです。今まで20年やってきてそういうの初めてだったけど、みんな“書こう書こう!”って。絵馬をステージの一番真ん中のBKのDJブースにかけて、その想いを持って臨んだんですけども、4人の書いたメッセージにもそれぞれの「らしさ」が出ていて、20年がこの「らしさ」を作ってきたんだなと思いましたね。」
絵馬には若旦那「周りを見る」、HAN-KUN「周りを活かす」、SHOCK EYE「周りに感謝!」、そしてRED-RICE「周りに頼る」と書かれていたという。
HAN-KUN「SHOCK EYEのを見て「韻を踏んでないじゃん!」とか笑ってたら最後にREDが「周りに頼る」って書いてて(笑)。“それイイじゃん!”ってみんなで笑いながらステージに向かったんだけど、この流れがあったからか、20周年の口火を切る時に最後のREDのMCが等身大で自分をさらけ出す言葉がすごく印象的で良かったんだよね。絵馬に書いた言葉と全員の想いが全部繋がって、本当にいいステージになったと思ってます。」
20年と言葉にするのは一瞬だが、イイ時もそうでない時も紆余曲折経てこの時間が紡がれている。目には見えない絆、忘れられない出来事を宝物を自慢するように嬉しそうに話してくれる。
RED RICE「俺は何度も話してるんだけどやっぱりコレなの。デビューする時に初めてちゃんと曲作りをするからって『Real Riders』と『Wild Speed』を4人で狭いブースの中に入って作ってた時のスタジオの景色が忘れられないんだよね。その瞬間に漠然と「俺らイケるかも!」っていう根拠のない自信が湧いてきて、みんなでガッツポーズして。今でもその時のことが全ての物差しになっていて、4人で共有したあの初期衝動があるから根本がブレないし、本当に最高のワインを作っちゃったから20年寝かしてもさらに熟成していくみたいな感じ(笑)。いっぱい色んな景色も見せてもらったし、楽しかったこと、嬉しかったことなんて山のようにあるんだけど、忘れちゃうこともたくさんある中でこれだけは色褪せないしずっと心の中にある出来事。俺たちはあの瞬間に20年やってこれるだけのスゴ過ぎる経験をしたんだよね。たぶんこれは30年、40年とずっと変わらないだろうし、逆にあの瞬間以上の景色を見たいから今があるんだと思う。」
若旦那「俺はね、自分たちが作った曲をお客さんが受け取ってくれた時に全然思いもよらない方向に展開していくのがオモシロいんだよね。まさに昨日も「『親友よ』は俺の校歌なんですよ!」って言われたんです。仲間が集まったときに歌ってくれるそうなんだけど、湘南乃風の歌が校歌だと言ってもらえるなんて昔は想像できなかったよね。」
SHOCK EYE「自分は大変だった時のことを思い出すかなー。メンバー同士ぶつかったこともあって、自分が一番多いんじゃないかと思うけど(笑)、今となれば理解できることもたくさんあるし、表現の仕方とか伝え方が拙なかった気もするし。でも僕らは昔から問題があったらそのままにしないチームなんですよ。正解か不正解かではなく、解決できるようにとにかく動き出す。そういうことを積み重ねていけるチームだったから20年やってこれたんじゃないかと思うんですよね。その時その時はわからなかったけど、結果的にちゃんと正解の方に進んで来てるからここまで続けてこれてるんだろうね。もっと穏やかに過ごしていけたらなと思った時もあるけれど(笑)、だからこそこれだけ濃くて深い関係を築くことができて、素晴らしい瞬間を共有できているんだと思います。あの日々があってこそ。全部が大切な時間だったんだなと思ってます。」
RED RICE「個性の強いメンバーが集まっているから、ソロ活動も含めて個々にいろんな活動をしてきたし、湘南乃風というベースを持ちつつ、根っこで繋がりながら個々の可能性に向かって自由に活動をしてきたことも結果として良かったと思うんです。自分だったら全然出会わないような人たちとメンバーが一緒にいて驚くこともあるし、いろんな刺激を受けて湘南乃風に持ち帰ってくるみたいな感じになっていったし、湘南乃風という太い幹を支えるうえで大事なことだったなと思います。」
若旦那「 “緩さ”というか、余白が出てきたからだと思うんだけど、湘南乃風の“らしさ”がますます出てきたよね。」
HAN-KUN「何が自分たちを支えてきたのかは正直わからないけど、でもみんなが言っていることは本当にその通りだと思う。「こうじゃなきゃいけない」っていう縛られた価値観から解放されて、「こうじゃなきゃいけないなんてことも無い」って変わっていく時間も一緒に歩んできたから今の湘南乃風に繋がってきたんじゃないかと思うよね。」
若旦那「湘南乃風はこうあるべき、こう求められているはず、といった自分たちで作り上げたに理想像というか偶像に自分たちが苦しくなる時期もあった。でもそこを打破できて、変わる部分も変わらない部分も「今あるものが湘南乃風なんだ」というところに行きついたんだろうね。」
SHOCK EYE「20年と言葉にするのは簡単だけど、僕らだけではできないこともたくさんあるし、みんなで一緒の目標に向かって愛情をもって支えてくれてきたからここまできたのは間違いないです。湘南乃風というプロジェクトをずっと支えてくれているファンのみんな、スタッフのみんなに本当に感謝だよね。」
HAN-KUN「印象的なことと言えばやっぱりアレかな。当時制作でジャマイカに行ってたんだけど、沖縄発でニューヨークでトランジットしてジャマイカまで行く時があって、俺たち前日の夜から飛行機に乗る直前までずっとみんなで飲んでてさ(笑)。飛行機に乗ってシートベルトしたらニューヨークに瞬間移動してた、っていうのがあったよね。」
SHOCK EYE「あったあった(笑)。座った瞬間全員落ちて、リクライニングを倒すことなくニューヨークに着陸したよね。ほぼワープ(笑)。」
HAN-KUN「起きたら着陸してて、あんなに一瞬でニューヨークに着いたのは衝撃的だったよね(笑)。こんな話は引っ張りだしたら山ほどあるけど、またこれからみんなでそういう思い出作れるようなことしたいよね。」
日本武道館から担いだ神輿とともに、いよいよ4月から”祭り”のツアーに全国を駆け巡る。ニューノーマルと言われる状況を受け、新たな湘南乃風スタイルが生まれるに違いない。
SHOCK EYE「ライブができること、ツアーができることが何よりありがたいと思います。個々の活動もあるなかで自分は今、音楽活動は湘南乃風と決めているんだけど、それが一番しっくりくるんです。本当の意味で音楽が楽しいと思えるのは、今でこそ“メンバー”と呼ぶけれど“昔からの友達”と一緒に遊んでいる感覚があるからなんだよね。本当に一番ありがたいことだと思います。“昔のように”ではなく、いろんな意味で一周まわってみんなで楽しくこのツアーを楽しみたいと思っています。今回の20周年ツアーも今年1回限りの替えのきかない大事な時間なので、みなさんに感謝を伝えつつ、湘南乃風を一緒に作ってきてくれたファンのみんな、これまで支えてくれたスタッフはもちろんだけど、「初めて行ってみようかな」という方たちにも楽しんでもらえるよう、みんなで湘南乃風という大きなチームとしてとにかく一緒に盛り上がれる楽しいツアーにしたいと思っています。」
RED RICE「10周年の時もみんな本当に盛り上がってくれたし、今回のツアーでもすでに各地盛り上がってくれているのは本当にありがたいと思ってます。ここ数年コロナ禍でライブの回数が減ったり、声が出せるライブもできなかったし、客席も半分だったこともある。100%以上が出せる状況がなかったよね。20周年ツアーではあるけれど、やっとそういう状況から100%を取り戻す初めてのツアーでもあるから本当に楽しみにしています。ここまで応援してきてくれた全国のみんなに感謝を伝えつつ、自分はちゃんと湘南乃風のメンバーの1人としてその役割を果たせるように後悔しないパフォーマンスができるよう頑張ります。20周年に後悔を残さないよう横浜スタジアムまで走り切りたいと思います!」
若旦那「僕はね、ライブが終わった後に行く銭湯が楽しみなんですよ。だから今回も久しぶりにいろんなところのイイ銭湯を見つけたいですね(笑)。10周年の時には「10周年の集大成というより、そこから始まる1歩目にしたい」と言ったんだけど今回も同じ。「20周年から始まる第一歩目」をツアーで魅せていきたいと思います。10周年の時はギターを始めたけれど、集大成なんてことじゃなく、今からそれ始めるの??って言われるくらい、湘南乃風として新たに30周年を目指していろんな提案をし続けていきたいと思っています。」
HAN-KUN「20周年の全国ツアーのタイトルを「風伝説 20周年記念TOUR2023 祭りの方法教えてやろう 野郎ども声だせYo! わっしょい!」にしたのは、20周年を迎えさせてもらった祭りの意味はもちろんですが、コロナ禍を超えて新しいニューノーマルの時代が始まる時でもあるから、声を出したり肩を組めたり、全国のみんなと一緒に元通り以上のお祭り騒ぎをしようぜ!という思いを込めています。1月の日本武道館から祭りの神輿を担ぎだして、それを全国に担いで回って、8月の横浜スタジアムに奉納して大祭りをやろうぜというイメージでもあるんです。この神輿の上にはファンのみなさん、お客さんに乗っかってもらって、俺たちがみんなを連れて行くぞ!っていう大きな祭りにしたいですね。」
プロフィール
ショウナンノカゼ
人間の持つ喜怒哀楽を魂で歌う、RED RICE、若旦那、SHOCK EYE、HAN-KUN、による4人組クルー。2003年にアルバム『湘南乃風 ~Real Riders~』でデビュー。
公演情報
風伝説 20周年記念TOUR2023
祭りの方法教えてやろう 野郎ども声だせYo! わっしょい!
- 4/1 (土) オリックス劇場
- 4/2 (日) オリックス劇場
- 4/21 (金) 静岡市清水文化会館マリナート大ホール
- 4/23 (日) 日本特殊陶業市民会館・フォレストホール
- 4/29 (土・祝) レクザムホール 小ホール
- 4/30 (日) 松山市総合コミュニティセンター・キャメリアホール
- 5/20 (土) 仙台サンプラザホール
- 5/27 (土) 日立市民会館
- 5/28 (日) 栃木県総合文化センター・メインホール
- 6/18 (日) 福岡サンパレス
- 7/1 (土) 倉敷市芸文館
- 7/2 (日) 広島JMSアステールプラザ 大ホール
インタビュー/土屋恵介 ・ 文/金丸優子
構成/月刊ローチケ編集部