【インタビュー】10-FEET

初のアリーナワンマン『～急なワンマンごめんな祭～』を開催！

10-FEETの2023年は、アルバム『コリンズ』を携えたツアー『10-FEET“コリンズ”TOUR 2023』で幕を開けた。1月から11月まで全国をめぐり、さらに韓国での初ワンマンを加えた全56公演にわたるロングツアー、主催する“京都大作戦”を含む多くのフェス出演を経て、年末には結成から26年にしてNHK紅白歌合戦に初出演を果たした。「アルバム『コリンズ』はとくに曲が体に染みるのが早かった」(NAOKI)と語り、強靭なライブバンドとしての腕力を見せる充実したツアーとなったわけだが、このバンドの勢いをさらに加速させたのは「第ゼロ感」のヒットだろう。映画『THE FIRST SLAM DUNK』のエンディング主題歌「第ゼロ感」は、作品と向き合い、2年もの時間を費やし制作された。

TAKUMA「映画がどれだけ大ヒットしても、曲がよくなければその曲はヒットしなかったり、映画との相乗効果を生まないと思っていたので。楽曲が先行してリードしていくくらいの思いでやってはいました。でも狙ってやってもうまくいくとは限らない。いかにアイディア段階で見えていたよさを生かしきって完成まで持っていくか、全力でやりましたね。できることは全部やって、あとは祈ってますという感じでした」

映画を盛り上げたのはもちろん、これぞ10-FEETたるエネルギーとパッションに満ちた「第ゼロ感」は、映画を超えて新たなファンを掴んでいく曲にもなった。

KOUICHI「フェスでは親子連れが多かったり、ツアーでも普段はライブハウスに来るような客層ではない人も見かけたりもしていたので。それは「第ゼロ感」の影響もあるのかなとは思いながら見ていましたけど、嬉しいものですよね」

TAKUMA「海外も、過去に韓国や台湾でライブをする機会はありましたが、その頃は10-FEETというバンド、僕らの楽曲の認知度がほぼありませんでした。現場でコミュニケーションをとってライブの場を盛り上げていく形だったんです。映画『THE FIRST SLAM DUNK』がアジア各国でも公開されたことで、今回は楽曲を認知してくれているなと感じました。歌を覚えてきて一緒に歌ってくれるお客さんもたくさんいて、ライブの環境はガラッと変わりましたね」

さらにツアー中に新曲「Re方程式」(TBS系金曜ドラマ『フェルマーの料理』主題歌)がリリースされ、長いツアーの内容をアップデートしながら進んできた。3人ともに、内容の濃い1年だったと2023年を振り返ってくれたが、2024年もさらにロックバンドとして進化と深化を見せてくれる年になりそうだ。4月と5月には、10-FEETとしては初のアリーナ・ワンマン・ライブ『10-FEET ONE-MAN LIVE 2024～急なワンマンごめんな祭～』をバンドの地元・京都市勧業館みやこめっせと横浜アリーナで開催する。

NAOKI「これまで野外の大きな会場でのワンマンは何度かあったのですが、アリーナでのワンマンは初。2023年はいろんなことがありましたけど、2024年も新たな気持ちで今まで自分たちがやったことがなかったことをやってみようとなって。とくに京都のみやこめっせは、音楽イベント自体がこのワンマンが初になります。バンドのひとつのステップになればという思いです」

TAKUMA「様々なライブで大きな会場でのステージも数を重ねてきたことで、少しずつ10-FEET自身もフィットしてきたというか。大きな会場でどういうふうにみんなと一つになったらいいかが、感覚として宿ってきてるんじゃないかなと感じてます」

結成から四半世紀を超え、バンドの軸足やそのスピリットが常にライブハウスにあることは変わらない。そのなかで、コロナ禍におこなった初のホールツアー『10-FEET“アオ”TOUR 2021-2022』は「バンドにとって大きな経験になった。熱量が伝わるのか心配はありましたけど、実際にやってみて大丈夫やっていう感覚になりました」(KOUICHI)と語る。

ステージもフロアも一体となってシンガロングし、汗をかくライブの楽しみはあるが、一方で普遍的な歌心や多彩なジャンルを横断した構築的なアンサンブルで聴かせるのも10-FEETの魅力だ。アリーナではそんなバンドの多彩なドラマを見せてくれそうだ。

KOUICHI「セットリストはこれから決めるんですけど、「第ゼロ感」を20回くらいやったらいいですかね(笑)？」

NAOKI「ツアーでのワンマンとはまた違う、初期の10-FEETから最近の10-FEETまで幅広く見せられる集大成的なライブにしたいとは思ってます」