それいけ!クラシックが不朽の名作『ラ・ボエーム』に挑む
笑いのたえないライブ配信など、ユニークなアプローチでクラシック、オペラの楽しみを発信し、幅広いファン層から親しまれているユニット『それいけ!クラシック』。それぞれが実力あるオペラ歌手であり、コンサートを開けばいつも満席になる人気グループだ。そんな彼らが初めてのオペラ制作に挑む。
大川 バリトンの大川 博です。一番低いパートを歌ってます。キャラクターとしては、自分ではずっとツッコミだと思っていたんですが、皆に言わせると実はボケらしいです…。
又吉 バリトンの又吉秀樹です。僕はマルチプレイヤー。ボケもするし、ツッコミも。両方できるって言いたいみたいでおこがましいですけれど。元気担当です!
吉田 テノール歌手の吉田 連です。最年少で一番高い音を担当しています。年上2人がマイペースなので、2人のお尻を叩く担当です。
上演作品はミュージカル『レント』の元ネタ、プッチーニの不朽の名作『ラ・ボエーム』だ。
又吉 コンサートに来てくれた公演プロデューサーが、僕らを見ていたら『ラ・ボエーム』が頭に浮かんだと言ってくれて。そこから企画がスタートしました。
大川 『ラ・ボエーム』は、主人公の若い芸術家たちの仲が良いことが大前提のオペラ。それをうまく表現できるのではと思います。
貧乏な共同生活をしている詩人のロドルフォと絵描きのマルチェッロは、それぞれ愛する女性と巡り会うが、やがて別れが訪れる。ロドルフォは吉田、マルチェッロは又吉、大川は音楽家ショナールを演じる。演出は塙 翔平だ。子役として人気ドラマで活躍したが、高校からはオペラ歌手を目指しバリトンになり、最近は演出家としても人気の舞台人である。
大川 塙くんがいい、というのは三人一致でした。彼の特徴は、説明が的確で、役を一緒に作っていける、とてもいい演出をする人だということ。それに勉強していて知識もすごい。付いていきます!という気持ちです。
音響の良さで知られる浜離宮朝日ホールを使っての公演。合唱場面以外の全曲を演奏する。
塙 コンサートホールでの公演なので、舞台セットに制約はありますが、逆に『ラ・ボエーム』の人間的な要素を抽出して、物語の本質が見えるような舞台を作っていきたい。映像を使ってその中に字幕も出します。オペラって元々はギリシャ神話からスタートして、貴族の話などが多いのですが、その中で『ラ・ボエーム』は、普通の若い男女が出会うところから始まる恋愛物語。当時としては衝撃的だったし、今なら映画でもアニメでもありそうな、ちょっとキュンとしつつ涙するような話なんです。オペラの中ではほぼ唯一と言っていいと思う。
共演するキャストも豪華で魅力的だ。一途なミミを歌うのはソプラノの鈴木玲奈、奔放なムゼッタを歌うのは同じくソプラノの七澤 結。
又吉 鈴木さんは歌も演技も最高ですが、自然体でそこにいるだけでキラキラ・オーラがすごい方。七澤さんも歌に演技に万能で、二人のおかげで劇としても楽しめることは間違いないです。哲学者コッリーネを歌うのはバスの松中哲平さん。低音なのにきらびやかな美声で、有名な『外套の歌』を歌っていただきます。
ピアノは河原忠之。ピアノでオーケストラを表現できる稀有なアーティストである。「オペラの一番の魅力は生の演奏、生の歌声です」と声を揃える彼ら。青春の恋を描く『ラ・ボエーム』に胸を熱くする、唯一無二の体験になりそうだ。
インタビュー・文/井内美香
Photo/平岩亨
構成/月刊ローチケ編集部 11月15日号より転載
※写真は本誌とは異なります
掲載開始日/2025年11月15日
【プロフィール】
■それいけ!クラシック
「クラシックって、超面白い!」をコンセプトに、YouTubeでの動画配信やコンサート活動を展開している音楽ユニット。メンバーは大川 博(掲載写真右から2人目)、又吉秀樹(写真左)、吉田 連(写真右)。
■塙 翔平(はなわ しょうへい)
3歳から子役として活動を開始。現在は声楽家、演出家、脚本家、俳優と幅広く活躍する。
「オペラ『ラ・ボエーム』~「それいけ!クラシック」が贈る青春アルティメット プロダクション~」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]