クラシック

【インタビュー】曽根麻央&三浦一馬│曽根麻央 meets 三浦一馬 Latin×Tango

曽根麻央&三浦一馬 ©Tomoko Hidaki

【インタビュー】曽根麻央&三浦一馬

ピアノ/トランペットの“ジャズ二刀流”として注目を集める曽根麻央、そして、バンドネオンの可能性を追求し、幅広い活動を続けている三浦一馬。国内外で評価を得ている2人の音楽家による新たなプロジェクト「曽根麻央 meets 三浦一馬 〈Latin×Tango〉」が本格的に始動する。
曽根、三浦が初めてステージをともにしたのは、2024年8月に行われた「三浦一馬 Electronic Sextet」の公演。9月にはマーティン・フリードマン、曽根、三浦のトリオ編成のステージを行い、11月には〈Latin×Tango〉を掲げた曽根と三浦のデュオ公演を開催し、音楽的交流を深めてきた。


三浦 「曽根さんとは初めて演奏したときから“音楽に新しい生命が宿った”と感じるほどの衝撃と喜びを覚えました。もちろんジャズの分野で功績を残してきた方なんですが、たとえばピアソラ(モダン・タンゴを代表する作曲家アストル・ピアソラ)の曲を演奏すると、ジャズの枠を超えたワールドワイドなものが伝わってくる。そこには勝手ながらシンパシーを感じています」


曽根 「タンゴを演奏する機会はそんなになかったのですが、20代の頃からラテンの国々には何度も足を運び、レッスンを受けたり、ツアーを開催したり、フェスに出演してきて。ラテンと言っても国や地域によって音楽性はかなり異なりますが、音楽に込められたパッションやリズムの取り方などは共通したものがあると思っています。三浦さんの演奏に対しては、“歌”を感じさせる力がスペシャルだなと感じているし、一緒に演奏していて感動しますね」


「曽根麻央 meets 三浦一馬 〈Latin×Tango〉」の新たなアクションとして開催されるのが、6月6日(金)の東京・王子ホール、8月1日(金)の大阪・あいおいニッセイ同和損保ザ・フェニックスホールの2公演。今回は曽根、三浦とパーカッション奏者のKanによるトリオ編成だ。


曽根 「これまでに演奏してきた曲もありますが、今回の公演のためだけにアレンジを変える曲、新たに演奏する曲も用意しようと思っています。三浦さんのバンドネオンの良さを活かしながら、ラテン音楽のクラシカルな部分、ジャズ的なところを上手くミクスチャーできたらなと。Kanさんもワールドミュージックのセンスを持ったパーカッションなので、いろんな色が混じり合う〈Latin×Tango〉の舞台にはピッタリかなと」


三浦 「タンゴは時代によっていろいろ変化しているし、バンドネオンという楽器もそう。曽根さんとは出会ってからまだ日が浅いんですが、前例がないコラボレーションになるんじゃないかなと思っています。曽根さんのアレンジも楽しみですし、もちろん事前の準備はしっかりやるんですが、いちばん大切にしているのは本番の時間。何が起きても曽根さんがいれば何とかしてくれるという安心感もあります(笑)」


演奏曲目は、ピアソラの名曲「リベルタンゴ」をはじめ、スペイン生まれの作曲家M.ファリャの《恋は魔術師》より「火祭りの踊り」、L.バーンスタイン《ウェストサイド物語》より「トゥナイト」など。さらに曽根の作曲による新作《8つの小品》より「ルンバ」も初披露されるという。


曽根 「『ルンバ』はスパニッシュ・ルンバ、フラメンコ・ルンバをイメージした書いた楽曲ですね。〈Latin×Tango〉にとってはスペインも一つのキーワードだと思っているので。組曲《8つの小品》からは、他にもいくつか抜粋して演奏する予定です」


三浦 「曽根さんの楽曲は、どんな曲想であっても一貫したものが感じられるんです。自分が感じているのは、折り目のあるリズム。アップテンポでもスローな曲でも、しっかりリズムが見えてくるところがすごくいいなと思うし、本当にマルチな方だなと」


将来的には三味線奏者を加えたトリオとして、海外での活動も視野に入れているという。ラテン音楽を軸にしながら、ジャズ、タンゴを融合した音楽性、そして、ピアノ&トランペット、バンドネオンによるアンサンブルは、まさに唯一無二。豊かな音楽のつながりと、卓越した技術とセンスを備えた演奏を心ゆくまで楽しんでほしい。


曽根 「新しい要素もあるんですが、僕らはメロディの美しさを大事にしていて。音楽本来の楽しみ方ができるコンサートになると思うので、ぜひ聴きに来ていただけたらなと」


三浦 「こういうコラボレーションは、音楽家にとってはもちろん、お客さん同士の交流の場にもなると思っているんです。曽根さんの演奏を普段から聴いている方々、僕のコンサートに足を運んでくれている方々で交流が生まれたらいいなと。僕らがやろうとしてるのは、これまであまりトライされてなかった音楽だとも思っていて。今後も活動が続けば素晴らしいし、その最初の公演をぜひ見届けていただきたいです」



取材・文/森 朋之

掲載日:2025年3月1日


「曽根麻央 meets 三浦一馬 Latin×Tango」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]

曽根麻央&三浦一馬 ©Tomoko Hidaki
【インタビュー】曽根麻央&三浦一馬│曽根麻央 meets 三浦一馬 Latin×Tango