【インタビュー】梅井美咲│Misaki Umei Piano Solo Concert -hazy recollections-
【インタビュー】梅井美咲
2002年生まれの作曲家/ピアニストの梅井美咲が、初のピアノ・ソロ・コンサート「Misaki Umei Piano Solo Concert-hazy recollections-」を12月12日(木)、東京オペラシティ リサイタルホールで開催する。
ジャズをテーマにしたコミック「BLUE GIANT SUPREME」の関連イベントのオーディションでグランプリを獲得し、上原ひろみ、ケンドリック・スコットなど世界的ジャズミュージシャンと共演を果たした彼女。梅井美咲トリオとしてCOTTON CLUB公演を行い、菅野咲花との歌モノのユニット・haruyoiとしても活動する一方、林正樹、新垣隆、石橋英子、君島大空、アイナ・ジ・エンド、吉澤嘉代子、ゆっきゅんらと共演するなど、22歳にして既に多彩なキャリアを持ち、ジャンルを横断しながら活動している彼女は今、“自分自身の音楽とは何か？”という根源的なテーマと向き合い始めているという。
「いくつかのプロジェクトで活動したり、ピアニストとしていろいろな場所で演奏させてもらえるのはとても刺激的だし、勉強にもなって。そういう活動も続けていきたんですが、最近は自分のソロプロジェクトを主軸にしたいと思うようになりました。自分の音楽を作って、世に出すという作業が必要だなと改めて実感したというか。ソロプロジェクトは負担も大きいですけど、それが心地いいなと感じています」
今年1月に発表した楽曲「w_mimoza」は、抽象派クラシック、ジャズ、現代音楽など様々な音楽の要素を取り入れながら、美しく、ドラマティックな旋律を奏でた楽曲。この曲を聴くだけでも、彼女の類まれな作曲センス、演奏家としての奥深い魅力を感じてもらえるはずだ。
「『w_mimoza』は〈弦楽四重奏とピアノトリオの曲を書きたい〉というのが最初でした。そういうクラシック的な作り方をすることもあるし、ピアノをバーッと弾いて、そのフレーズをもとにして作曲をすることもあって。一つのやり方に絞らず、そのときにやりたいことを形にして、アウトプットしたいという気持ちが強いんですよね。ブラッド・メルドーが好きなんですけど、短いスパンで全く違うスタイルの作品を出し続けているのがすごいなって思うし、憧れもあって。私もそうやって、いろんな曲を作っていきたいなと思っています。ディスコグラフィーが増えてきたときに、“ぜんぶ同じ人が作ってるんだ？”と思ってもらえたら面白いかなって(笑)」
12月12日(木)に行われる初のソロコンサートも彼女にとって、大きな意義を持つはず。
「坂東祐大さんのレコーディングに参加させてもらったときに、プロデューサーの方から〈やったみたいことはありますか？〉と言ってもらったんです。いつかピアノのソロコンサートをやれたらいいなと思っていますと返したら、すぐに打ち合わせすることになって、あっという間に実現して。まさかこんなに早く叶うとは思ってなかったので、ビックリしてます(笑)。高校生くらいまではホールで演奏することが多くて、大学（東京音楽大学）に入ってジャズの活動をするようになってからはライブハウスに出演することが増えて。その流れを踏まえて、〈一人だけでホールで演奏してみたい。じっくり自分の音楽を考える時間を作りたい〉という気持ちもありました」
演奏する曲目については「幼少の頃から高校生の頃までに好きだった、自分の音楽性の基軸になっている楽曲を取り上げている気がします」という。武満徹の「雨の樹 素描」、ニコライ・カプースチンの「ピアノソナタ 6 番」、彼女のYouTubeチェンネルにもアップされているスティーヴィー・ワンダーの「オーヴァー・ジョイド」などもルーツになっている楽曲だとか。
「武満徹さんは、高校生のときに楽曲やエッセイに深く触れるようになって。『雨の樹 素描』はオリヴィエ・メシアンの追悼のために作曲された楽曲なんですが、武満さんの作品のなかでも特に好きで、ぜひコンサートでも演奏したくて。カプースチンは小学生の頃から大好きで、ずっと聴いてました。『ピアノソナタ6番』はソナタ形式のシンプルな構成の楽曲で、メロディラインに惹かれています。スティーヴィー・ワンダーの『オーヴァー・ジョイド』も以前から好きな曲で、ピアノ1本で弾いてみたかったんですよね」
そのほかモーリス・ラヴェルの「水の戯れ」、そして、彼女自身のオリジナル楽曲も演奏される予定。「難しい曲が多いので準備はかなり大変ですけど、その時間もすごく楽しいです」と笑顔で語る梅井美咲。ピアニスト、作曲家としての無限の可能性を秘めた彼女の最初のコンサートをぜひ、会場で堪能してほしい。
「私のいろいろな面を見ていただけるコンサートになるんじゃないかなと。集大成ではなく、自然体の今の自分の音楽を聴いてもらえたらいいなと思っているので、ぜひ体感していただきたいですね」
取材・文／森 朋之
掲載日：2024/11/15
「Misaki Umei Piano Solo Concert -hazy recollections-」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]
