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【インタビュー】石田泰尚│石田組 結成10周年ツアー 日本武道館

【インタビュー】石田泰尚

【インタビュー】石田泰尚

ヴァイオリニストの石田泰尚が率いる石田組の結成10周年を記念する公演が、日本武道館にて行われることになった。石田組は、毎回異なるメンバーを招集し、クラシックからロックまで幅広い楽曲を演奏していく弦楽合奏団。多彩なラインナップを収録したアルバム「石田組 結成10周年記念 2024・春」もリリースされ、現在全国ツアーを敢行中。悲願の日本武道館に向けて着実に歩みを進めている。この大舞台を前に、石田は何を思うのか。話を聞いた。


――石田組の日本武道館公演が決まりました。今はどんなお気持ちでいらっしゃいますか

今はまだ石田組のツアーが始まるところで、武道館のことはこれから話し合っていくところなんです。やっぱり今回の目玉のひとつは武道館だと思うんですよ。だから絶対に成功させないと…今後の活動にも関わるから(笑)。


――日本武道館という場所については、どのような想いがありますか

石田組を結成してから10年になるんですけど、5年くらいで自分にとってのひとつの目標だったサントリーホールでの演奏を達成して、その次の自分の目標としてパッと浮かんだのが日本武道館でした。今まで、言葉にしてきたことってほとんど成功しているんですよ。最初は武道館も本当にちょっと言ってみた感じだったんですが、ずっと言っていれば何か起こるものですね。やっぱり武道館ってすごい場所。ロックの聖地としても人気があるみたいで、やれたとしても平日しか取れないですよ、って言われていたんです。平日でもいいか、って思っていたんですけど、11月10日(日)にやれることになりました。ほんとに、周囲のみんなに感謝しています。


――ちなみに、過去に観客として日本武道館に行ったことはあるんですか?

プロレスと、長渕剛さんを2回かな。もう、すごく感動しましたね。あ、あと子どもの頃にスズキ・メソードの全国大会が日本武道館であって、何千人とかの規模で、みんなで演奏したのはなんとなく覚えています。それが初武道館?なのかな。先日、撮影で久しぶりに武道館に行ったんですけど、本当にここでやるんだな、って感じました。中も少し見せていただいて、本当にすごくいい、って思いました。


――石田組を10年続けてきて、今も変わっていない部分、逆に変化していった部分はどのようなところでしょうか

結成当時から変わっていないことは、とにかくクラシックに限らず、いろんなジャンルを演奏することですね。クラシックが苦手な方でも楽しませられるような公演にしていくことは、当時も今も変わっていません。変わっていったのはメンバーですね。石田組はすべての公演で僕がメンバーに依頼をしていくんですけど、あれ最近は呼んでないな?っていうメンバーも正直いるんですよ。大所帯になっちゃって、そういうこともあります。ただ、いつも同じだと、またコイツか、みたいな気持ちが自分の中にも出てきちゃうんですよね。メンバーが違うことで、緊張感も出てきて、そういう感覚も大事にしているので。


――期間を空けて久しぶりにやってみると、また新鮮な感覚もあるのかもしれませんね。石田組では、普段のクラシックでは演奏しないような楽曲にメンバーも含め挑戦されるわけですが、その面白さや発見にはどのようなものがありますか

僕個人としては、Yamato String Quartetのほうでロックとかは演奏しているんですけど、多分メンバーは普段ほとんどロックとかは演奏しないんじゃないかな。石田組くらいでしか弾かないと思います。そういうメンバーが普段やらない演奏をしている面白さはありますね。真面目なロックを弾いてるなぁ、とかね。ものすごく練習してくるんですよ。きっとオリジナルの音源もめちゃくちゃ聴いてきてて、本当にすごく真面目。だからこそ出てくる面白さがあると思ってます。


――日本武道館のメンバー選出については、どのようなお考えで決められたんでしょうか

とにかく11月10日というのが決まっていたので、リハも含めて早めにメンバーを抑えておいた方が良いな、とは思ったんです。石田組は今60人位いて、その中でもスケジュールなどから頼みたくても頼めない人もいるんですね。すごく悩んで20人に決めたんですが、依頼できなかった人たちからも「武道館、おめでとうございます!」ってたくさん言ってもらえて…。今後、目標にしている大阪城ホールとか国技館とかがもし実現できたら、その時は呼ぶからね、と一応は考えています。今回のメンバーは比較的、石田組によく乗っているメンバーばかりですが、1人だけ初めての人がいるんですよ。


――武道館で初参加はスゴいプレッシャーになりそうですね…

普段の石田組は最大13人編成で、でも今回はさすがに箱が広いから20人でやるんです。初めてのメンバーはコントラバスで、普段ならコントラバスは1本。いつも大体同じメンバーなんです。3人のうち2人はすぐに決まったんですがもう1人をどうしようか…と悩んでたら、ふと浮かんじゃったんですよね。群馬交響楽団の市川哲郎ってヤツなんだけど、連絡先も知らなかったから、知っている人に連絡先も聞いて…多分、びっくりしたんじゃないかな。


――いきなり連絡が来て、いきなり武道館ですからね(笑)。どう切り出したんですか?

いや、もう「よろしく!」のひと言だけ伝える感じ。ほんと、そんな感じです(笑)。


――それもスゴイですね(笑)。今回の武道館で、石田組だからできること、やりたいことなどは何か浮かんでいらっしゃいますか

基本的には、いつもの石田組の公演でいいと僕自身は思っています。ただ演出については、こだわるというか…こだわりまではいかないけど、最初は肝心だと思っていますね。長渕剛さんのライブでも、最初がめちゃくちゃカッコいいんですよ。登場の仕方とかね。他のメンバーはどうでもいいんですけど(笑)、自分が登場するところは何かこだわってみたいと思っています。なんかこう、シルエットから登場したり、キャノン発射したり、下から飛び出したり、派手にね(笑)。今はまだ、何がどこまでできるのかわかってないんですけども。でも演奏面は、もういつも通りの石田組で行こうと思ってます。


――以前、コンサートマスターとして最後に登場したときに、会場や奏者の雰囲気がピリッと切り替わる瞬間がお好きだということをお話されていましたが、登場へのこだわりはその感覚に近いところはあるかもしれないですね

それはあるかもしれないです。お客さんも「待ってました!」っていう感じで聴く体制に入っていきますし、すごく拍手をいただくんですよ。それが本当に嬉しいですし、楽しみにしてくれていたことを感じる瞬間ですね。そのほかの演出でも、絶対に何かしらをやると思います。石田組なので。


――選曲についてはどのようにお考えですか。先日10周年を記念したアルバム「石田組 結成10周年記念 2024・春」もリリースされましたが、節目を意識した選曲になるのでしょうか

そこもまだこれからですね。アルバムのことも特に意識しているわけではないです。でも、アルバムの1曲目に布袋寅泰さんの「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」が入っているんですが、何かしら布袋さんの曲を武道館でやりたいと思いますね。理由は、ただ単に僕がやりたいから(笑)。悩むとすれば、逆にクラシックの曲を何にするかだよね。何かしら、必ず入れると思うんだけどね。


――石田組として、斬新な取り組みを10年続けてこられましたが、始めることはもちろん、続けることにもいろいろなご苦労があると思います。続けていく中で自分を貫くことも大変、ということがあるのではと思いますが、いかがでしょうか

何を言われようと気にしない。言いたい奴には言わせとけ、というところはありますね。基本的に自分がやりたいからやっているわけで、他人から何を言われようと、気にしないし、気にならないんですよ。見せ方とかにも、こだわりってそんなにないんですよね…。むしろ、そんなにこだわっていますかね、僕?


――オーディエンスの1人としては、音楽面でも、ビジュアルやアートワーク的な部分でも、個性的なこだわりがあるのではないかと感じていました

そうなんですね…。今回の武道館での撮影も「これを着てきてくださいね」って言われたから、これを着てるんですよ。何かこだわりを見せてこうなってきたわけじゃなくて、自分が好きなものを好きなようにしていたら、気付いたらこうなってた、っていう感覚なんですよね。何か作り込んでいるわけでもない。服も、好きなものをただ着てるだけなんです。


――ステージなどで着ていらっしゃるものも、石田さんが動くとフワッと広がって、そこに美しさを感じていたので、きっとこだわりがあるんじゃないかと想像してました

それも別にあえてやっているとかじゃないんですよね。そういう気持ちはサラサラないんです。あ、でも燕尾服はちょっと苦手かも(笑)。サントリーホールの時は、サントリー初登場だったから着てみたんだけど、やっぱり苦手でしたね。


――10年続けてきて、手ごたえとしてはどのようなものを感じていらっしゃいますか

若い人が増えた気がします。あと、男性の方も増えましたね。それがすごく嬉しいです。ノリもちょっと変わってきてて、最近は毎回スタンディングです。本当にすごい光景ですよね。そういうことが地方でも起こるようになってきたので、それは本当にその場所に行ってよかったな、と思います。


――日本武道館での公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします!

石田組がサントリーホールでも演奏やって、今回は日本武道館でやりますけど、そこがゴールじゃない。でも、これを成功させないと次に行けないですから。僕は、大阪城ホールでも絶対にできると信じているので、日本武道館も通過点のひとつとして成功させたい。とにかく、石田組として行けるところまで行くぞ、という気持ちです。楽しみにしていてください!


インタビュー・文/宮崎新之

写真/ヒダキトモコ



「石田組 結成10周年ツアー 日本武道館」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]

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