3月に本格デビューコンサート
幸せになる春、間違いなし!
「ピアノの音がキラキラしてる!」「楽しくて気持ちがアガる!」「二人のハーモニーに癒される!」などなどSNSでも話題のピアノ・デュオ、兄―ズ。双子の兄弟で現在高校2年生。今春3月には東京・Hakuju Hallにてデビューリサイタルを開催する。
◇ピアノは日常
ご自宅の、2台のグラント・ピアノの前に並んで座る兄の順一朗さんと弟の宗一郎さん。初めは見分けがつかなかったのだが、インタビューが進むにつれて、「やっぱりお兄ちゃんだ」「さすがの弟くんだ」と感じる“役割分担”ぶりが微笑ましい。
順一朗 1分遅れで弟が…。
宗一郎 そう、僕が生まれたんです。ケンカですか?ん…。
順一朗 大喧嘩みたいなのはないかな。ワーッと言い合って、ワーッとふざけて。ピアノの練習も、どちらからともなく何となく始めて。
2歳から絶対音感のトレーニング、4歳から正式にピアノを始める。それも親の無理強いではなく、「弾けたら楽しいのでは?」とお母様の勧めで。
順一朗 なのでピアノに触れることは、日常生活の中で本当に自然なことなので、ピアノを嫌いになったことはないです。
宗一郎 勉強との両立というのも、生活の中では本当に自然に出来ています。もちろん試験の前などは、勉強の方に比重がいきますけど。
順一朗 将来は医者にもなりたいので、その勉強期間はピアノへの時間は少なくなってしまうと思いますが、それでもピアノに触れないということはないと思います。
さてデュオの名前の「兄―ズ」だが、二人の下には8歳の弟さんと4歳の妹さんがいるため、双子の兄(長男と次男)で「兄―ズ」(ちゃんと複数形になっている、ウマいネーミング!)。二人が医者を目指しているというのは、8歳の弟さんの影響なのだ。100万人に一人という難病の弟さんは人工呼吸器が離せず、そのため二人にとっては病院や医療という環境も、また日常だった。弟さんは兄―ズのピアノに反応しますか?
宗一郎 曲によっては何かを感じるのか、顔の表情がピクッとなるときがあります。
順一朗 そういうところが音楽の不思議なところだなと思って、何か力があるんでしょうね、音楽には。
宗一郎 本当にそうだよね。自分が意識して何かを起こしたわけじゃないのにね。
◇プロとして
これまで医療現場やボランティアなど様々な形態で演奏していたが、いよいよ3月に本格デビューである。
順一朗 昨年、ドイツでの公演に招聘されて、人生で初めてスタンディングオベーションを経験したんです。それにはスッゴク感動しました。
宗一郎 すごい光景だったよね。会場の人たちは日本人の僕たちのことなど知らないはずなのに、僕たちの音楽に、あんなにも感動してくれて。
順一朗 あれで改めて、プロのピアニストになりたい!と強く思ったんです。チケットを買っていただくという、有料のコンサートは初めてなので、責任というものを実感しています。
宗一郎 うん。責任重大。それがプロなんだよ。
プログラムは、ブラームスやドヴォルジャークなど連弾の名曲集から、バロック音楽の王様バッハや美しいメロディーラインのメンデルスゾーン。そしてジブリやアニメソングのメドレーやJ-POPまで、バラエティに富んでいる。
宗一郎 僕ら自身が演奏していて楽しいと思える曲を選びました。
順一朗 お客様の年齢層や好みも違うと思うので、クラシック音楽だけじゃなくて、後半はガラッと変えてみました。
◇真逆の魅力
ところで、二人の性格の違いなど聞いてみたところ、順一朗さんは慎重派で、宗一郎さんは行動派。
順一朗 好きな作曲家は多いですが、3月に弾くブラームス、ドヴォルジャーク、そしてメンデルスゾーンも好きな作曲家です。これらの作曲家の、旋律を追いつつ和声も感じられるところが好きなんです。
宗一郎 僕は、歌うようなメロディーというか、流れのある曲が好きで、またキラキラした感じの近現代作品も好きです。
その二人が演奏するときには、メロディーを演奏することの多いプリモ(高音パート)を宗一郎さん、和音やリズムで支えるセコンド(低音パート)を順一朗さんが担当。二人の個性が活きる、このポジションから生まれるハーモニーは絶品だ。今後の予定や目標は?
順一朗 5月にはアメリカ・ニューヨーク、7月には国内での公演が決まっています。
宗一郎 これからいろいろなところで弾いていきたいです。大変なこととは分かっているけど、ピアニストと医者の二刀流を目指したいです。
インタビューをしつつも、途中から親戚の男の子と話しているようになり、二人の澄んだ明るさがピアノで聴ける3月が待ち遠しくなった。
インタビュー・文/上田弘子(音楽ジャーナリスト)
「兄ーズ(双子ピアノユニット)PIANO LAND 2024」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]