クラシック

【インタビュー】よっしー「素晴らしいクラシックホールでのライヴ。初の試みにワクワクしています」

【インタビュー】よっしー

キーボーディスト:よっしー(善岡慧一Keiichi Yoshioka)

Official髭男dismのサポートキーボードのみならず、YouTubeでの動画やライヴ配信でも話題のキーボード奏者“よっしー”こと善岡慧一。今夏、クラシックの殿堂、名ホールとして名高い東京・築地の浜離宮朝日ホールにてコンサートを開催する。その公演を前に話を訊いた。


【ピアノ少年からピアノマンへ】

――さかのぼって…子供の頃から“ピアノ少年”だったんですか?

姉がピアノを習っていて、僕も弾きたい!と5歳からピアノを始めました。曲が気に入るとすぐ弾きたくなって、小学1年の音楽の授業で『かっこう』を習うと、ピアノの先生に弾きたい!と。小3で聴いた『くるみ割り人形』のときも弾きたい!と言ったのですが、先生が、あれはバレエ曲で難しいものが多いから、その中の『金平糖(こんぺいとう)の踊り』なら弾けるんじゃない?と楽譜を用意して下さったんです。中学では吹奏楽部に入りましたが、そうやってジャンルを問わず広く音楽に接していました。


――島根大学では音楽専攻ピアノ科へ。そしてクラシック音楽の本場ドイツへ。

本当はアメリカで勉強したくて、バークリー音楽大学を受験して合格もしたんですが、いろいろな事情で方向転換。ドイツを薦められて、Guten Tag(グーテン・ターク=こんにちは)も分からないまま行きました(笑)。大柄なドイツ人のドイツ語の響きに、最初は怒られているのかとビクビクでしたが、住めば都でした。正式に音楽学校には入りませんでしたが、クラシックはもちろん、ポピュラーやジャズの理論をとことん学びました。何よりドイツはコンサートが多くて、しかもチケット代が安い!若手から巨匠まで聴きまくりました。


【国内外のアーティストが名演を残した浜離宮朝日ホール】

――ドイツ・デュッセルドルフに7年。様々なことを吸収して帰国。現在、幅広く活躍しているが、繊細かつ大胆な構成感を美音で表現するスタイルで人気は高く、浜離宮朝日ホールではどの様なステージングになるのか興味津々だ。

ファンの方から、クラシック音楽をもっと聴きたいというリクエストが意外に多くて、これまでキャパ50くらいの会場では演っているんですが、今回は殿堂の浜離宮朝日ホール。なのでガッツリ、クラシック音楽に取り組んでみようと思いました。
前半はクラシック音楽で、ショパンの『英雄ポロネーズ』やリストの作品を弾きます。ロマン派の作品、大好きなんですよ。だからまだ曲選びに迷っていて。ショパンの『練習曲Op.10-4』のリクエストもありましたが、あれは難曲すぎる(笑)。クラシック音楽初心者の方のためにも、一方的に演奏するのではなくて、解説(トーク)を入れながら進めていきます。後半はオリジナル作品です。『プロスト』や『インテルメッツォ』など新しい曲の他、いろいろ入れていきます。新曲は、まだ増えるかな。ヒゲダンの曲もやると思います。


――アイデアというのか、曲のテーマやメロディーはふと浮かぶんですか?それともピアノの前で構築していくんですか?

そう、ふと浮かびますね。作曲するぞ!と机に向かっても、何も出てこない。意外と夢の中でイイ曲が出来るんですが、起きると忘れちゃう。あれ、あの曲どこ行った?と悔しくて(笑)。


――曲作りのみならず、ご自身の音楽スタイルに影響のあったアーティストは?

小曽根真さんです。小曽根さんも、ジャズピアニストでありながらクラシックにも挑戦されている。学ぶところが多いです。クラシックの演奏家では、先日聴いたイーヴォ・ポゴレリッチは衝撃的でした。独特な解釈と音楽の中での時間の使い方には惹き込まれました。独特と言えばウラディミール・ホロヴィッツも。驚いたのは、彼のあくなき探究心。ピアノでの歌う表現をオペラから学んでいるというのをYouTubeで見て、あれほどの大ピアニストになっても…と愕然としました。僕もいろいろなピアニストの方の演奏から、日々学んでいます。これからもクラシック音楽は取れ入れていきたいし、大好きなJ.S.バッハもいつの日かと思っています。バッハなら、どの曲がいいと思いますか?


――『フランス組曲』など、どうでしょう。よっしー色を乗せやすい気がします。

ああ、『フランス組曲』イイですね!『パルティータ』も考えたんですけど、ちょっと違うかなぁとか。ブゾーニ編曲の『シャコンヌ』も挑戦したい曲なんです。


――音楽談義が止まらず楽しいインタヴューで、浜離宮公演が楽しみ倍増となった。




インタビュー・文/上田弘子(音楽ジャーナリスト)


「よっしーのピアノ@浜離宮」 公演ページはこちら

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