大阪のザ・シンフォニーホールでは、2022年12月31日にカウントダウン・コンサートと2023年1月1日にニューイヤー・コンサートが行なわれる。この組み合わせでの開催は、3年ぶりとなる。指揮者の角田鋼亮をはじめ、ソプラノの砂川涼子、テノールの樋口達哉、ピアノの萩原麻未に話を訊いた。
――カウントダウン・コンサートとニューイヤー・コンサートはほぼ同じプログラムですが、このようなスタイルは、ウィーン・フィルのようですね。日本では、あまり見られませんが…
角田 両方聴きに来てくださるお客さま、いるのかな?こちらにとっては、楽しみ2倍です。
樋口 年越しのコンサートのあと、お昼のコンサートですからね。またまた、ザ・シンフォニーホールもやるなぁと(笑)。
――この2公演の組み合わせでの開催は2019年以来ですね
角田 カウントダウン・コンサートを指揮するのは、初めてです。これまでは、テレビでカウントダウン・コンサートなどを見ていて、いつかこういうコンサートが自分に回ってきたら嫌だなと思っていたのです。今回、ついに来てしまいまして(笑)…プログラムは少しだけ変わりますが、年をまたぐ2つのコンサートを同じメンバーと同じ会場という、私にとって“初めてづくし”でとてもワクワクしています。
樋口 ザ・シンフォニーホールには、今回初めてうかがいます。コロナ禍ですが、やっと開催できるというすべてのみなさまの楽しみが、このプログラムに集約されていて、ライヴ放送したい気持ちです。会を盛り上げる一員として、最高のパフォーマンスをさせていただきます。やる気満々で、空回りはしたくないですが(笑)、みなさまと一緒に素晴らしいコンサートにしたいと思っています。
砂川 この数年、いろいろな制限のなか、我慢をしながら、でも希望を持ち、前に向かってきました。みなさまと音楽とともに2022年を終え、新年を迎えられるなんて特別な思いです。
――プログラムの聴きどころをお願いします
角田 今回は、「輝き」と、恋愛や家族愛といったテーマで作品を選びました。夜、寝る前に読む絵本のように、1曲1曲をみなさまにご紹介できたらばと思っています。素敵なオペラ・アリアもいっぱいあります。それから、昨年と同じく、ハ長調の明るい光がずっと続いていくようなイメージでオーケストラ作品や協奏曲などを選びました。《アッピア街道の松》は、もともとローマの歴史や栄光を象徴しているような作品で、2023年をも照らしてくれるような音楽かと思い最後に置きました。そして出演されるのは、とても輝かしいスターのみなさんですので、そういった意味でもとても見どころ聴きどころの多い内容になっていると思います。
樋口 オペラで言いますと、一度は聴いたことのある、テノールではトップ2を挙げたらこの曲というアリアです。
あとは、砂川さんの歌う「宝石の歌」も“輝く”ですね。豪華で贅沢で、すべてを楽しんでいただけると思います。眠くはなりませんね、このコンサートは(笑)。
砂川 華やかで心踊るような「宝石の歌」、「私のお父さん」、《ラ・ボエーム》から美しい二重唱を演奏します。どの曲もみなさまに喜んでいただけるのではないかな、と思っています。
樋口 ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番》は名曲中の名曲。今回は第3楽章だけの演奏になります。この曲に感動しない人がいないのではないでしょうか。私自身もそうで、演奏していてもこんなにも熱くなれる…心にビシバシと届くドラマティックなメロディやハーモニー…演奏できてとても幸せです。
――今年はバレリーナの酒井はなさんも出演します
角田 いよいよ同じステージで共演できるのは、とても光栄ことです。私は新国立劇場のバレエのピアニストのアシスタントのような仕事もしていたので、オーケストラピットから酒井さんを拝見していたこともありました。
――今年は、終演後にはお客さまに日本酒「獺祭」もふるまわれるそうですね
角田 我々も飲めるのですか?(笑)
――ホールにいらっしゃるみなさんにふるまわれるそうですよ(笑)。みなさんの年末年始の思い出をお聞かせください。
角田 実家の近くに、その昔に隕石が落ちてきたことがあり、その隕石が祭ってある赤星神社に地区の人がつどい、お祭りのような行事がありました。住んでいたのは千音寺というたくさんお寺があるエリアで、大晦日にはいろんなお寺から除夜の鐘の音が聞こえてくるので、まったく眠れませんが。
樋口 カウントダウン・コンサートにも出演させていただき、年が変わるタイミングのドキドキ感や、みんなで新しい年を迎えてワーッと乾杯したりという経験もあります。こどもの頃は、家族そろって近くの神社へお参りに行くのが習慣でしたね。
実家から歩いて3分のところに神社があり、初もうでももちろんですが、ふとした時、それから厳かな気持ちになりたい時は、そこの参道を登って神社へ行っていました。思い出の場所です。
――お客さまへメッセージをお願いします
角田 ごちそうのような音楽作品をみなさまと味わえたら嬉しいです。ザ・シンフォニーホールはラクジュアリー感満載の素敵なホールですので、ぜひ足を運んでいただきたいですし、私自身もそこで年を越せるのが楽しみでなりません。
樋口 ぜひ、カウントダウン・コンサートの感動を一緒に味わっていただきたいですね。そして、お友だちに「良かったよ」と伝えていただきたいです。クラシック人口を増やしたいと思っていて、僕は諦めていません!日本人はお祭り好きですから、必ず共感していただけると信じています。みなさん一緒に盛り上がり、“フェスった”と思っていただき、ぜひ我々と「カモン!」
砂川 ザ・シンフォニーホールは、響きがよく、歌っていても隅々まで息遣いが届いているのを感じます。包み込まれる温かさも魅力的ですし、この素敵なホールで、私たちとスペシャルな時間を過ごしましょう!
萩原 2022年の最後の一日と2023年の始まりの日という大切なモーメントを、大阪のみなさまと共有できることを、いまから心待ちにしております。
インタビュー・文/道下京子
ザ・シンフォニーホール カウントダウンコンサート 2022-2023 公演情報
ザ・シンフォニーホール ニューイヤーコンサート2023 公演情報
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