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大相撲巡業レポート

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大相撲ODAIBA場所2017

巡業観戦レポート

大相撲の興行は本場所と地方巡業の二本柱から成り立っています。一年12カ月のうち奇数月には本場所が東京・名古屋・大阪・福岡で行われ、地方巡業はその合間を縫って、偶数月に全国津々浦々で開催されます。 地方巡業の魅力は何といっても力士との距離の近さ。ファンが力士たちと交流できる場面も多く、普段は見ることのできない力士たちの素顔を垣間見ることができます。 今回はそんな巡業の魅力をお届けすべく、8/24に東京・お台場で初開催された「Yomeishu presents大相撲ODAIBA場所2017」の様子をレポートします。

 

 

朝八時。開始を告げる櫓太鼓の音と共に、巡業の一日が始まります。

 

開館と同時に始まるのが十両以下の取組。土俵では、普段見ることのできない若い力士たちの稽古の様子が見られます。 一口に稽古と言っても、その種類は様々。大勢が一つの土俵に集まり、勝ち抜き形式で行うのが「申し合い」。勝った力士には次の稽古相手を指名する権利があるため、相撲を取っている二人の周りを他の力士が取り囲み、勝負がつくと勝った力士に近づいて指名してもらえるようアピールします。この日もう一つ行われていたのは「ぶつかり稽古」。これは俵の外から中にいる力士の胸をめがけてぶつかり、土俵の外へと押し出すというもので、とくにきつい稽古とも言われています。

 

 

稽古と並行して行われる人気力士の握手会も見逃せません。握手会では人気力士たちと握手ができるほか、サインや写真撮影もOK。琴奨菊、正代ら人気力士には、相撲ファンの長蛇の列ができていました。

 

 

また握手会以外でも、会場の至る所で人気力士たちにサインや写真撮影を求める列ができます。こうした光景は地方巡業ならではのものです。自分のお目当ての力士がどこにいるか探して声をかけるのも楽しみの一つ。

 

 

会場の雰囲気になれてきたところでチェックしたいのが、会場限定のお土産やごはん。お台場場所ではオリジナル朱印帳や手ぬぐい・どすこいせんべい、人気力士たちのタオルやマグネットが販売されていました。

 

 

 

フードも充実。今回は各部屋のちゃんこが復活し、「伊勢ケ浜部屋 牛醤油ちゃんこ」「井筒部屋 鶏つくね塩ちゃんこ」「宮城野部屋 アジのつみれちゃんこ」「田子ノ浦部屋 豚味噌ちゃんこ」の四つの味が用意されていました。さらに大関・高安の母・ビビリタさんの故郷であるフィリピンの名物の「バンシットビホン(ビーフン)」や、モンゴル出身力士たち御用達の「ウランバートル」のモンゴル風小籠包「ボーズ」を味わうこともできました。

 

 

お土産コーナーを物色していると、土俵では子どもたちの稽古が始まります。中心となって稽古をつけるのは、子どもの稽古のレギュラーとなりつつある御嶽海。さらに嘉風、松鳳山、里山も加わり、四人と子供たちとの取り組みに会場は一体となって大盛り上がり。

 

 

続く幕下の取組と幕下トーナメントが終わると、いよいよ巡業のお楽しみ、力士たちによる相撲甚句と初切(しょっきり)が始まります。相撲甚句とは化粧まわしを付けた力士が土俵上で一人ずつ唄う独特の唄。力士6~7人が輪になり、手拍子と足の音頭に合わせて唄います。

 

 

初切とは、相撲の禁じ手や決まり手をコミカルに紹介する見世物。江戸時代から行われていた初切は巡業の大きな楽しみの一つ。この日は勝武士と高三郷が登場し、息が合った動きと大きな声を出したコミカルな演技で、会場のお客さんを大きく沸かせていました。

 

 

土俵では、和やかな雰囲気で十両による取組が進みます。土俵と客席が近いのも巡業の魅力の一つ。お客さんの掛け声にも力士たちは応えます。

 

 

幕内の土俵入りでは、客席のすぐそばに作られた花道を力士たちが通っていく大迫力の光景が楽しめます。大人気の勢や新大関高安の呼び出しではひときわ大きな歓声が。そしていよいよ横綱土俵入り。実は夏巡業で四横綱が揃ったのはこのお台場場所が初めてでした。

 

 

横綱の土俵入りでは、華やかな化粧まわしを身に着けた横綱が、本場所と同様に太刀持ち と露払いをしたがえて土俵に上がります。それぞれの型でのせり上がりにはお客さんたちも大盛り上がり。

 

 

巡業の取組は同じ番付の力士同士で行われることが多いため、本場所では千秋楽でしか見られないような豪華な取組が実現します。役に入ると一際大きくなる声援。この日は玉鷲と御嶽海、高安と豪栄道、白鵬と日馬富士による取り組みが行われました。立ち合いでぶつかる音や力士たちの息づかいを間近で感じることができます。楽しい巡業の観戦は弓取式まで。本場所同様、聡ノ富士による弓取り式もしっかり観戦して帰ります。こうして巡業の一日が終わりました。見どころ満載な巡業は、あなたの街のすぐ近くにもやってきます。スケジュールをチェックして、力士たちに会いに出かけてみませんか?

大関 高安関インタビュー

夏場所で新大関に昇進し、巡業でも大人気の高安関。そんな大関に、現在開催中の夏巡業と九月に行われる秋場所についてお話をお聞きしました。

 

――初開催のお台場場所です。テントや屋外の雰囲気はいかがですか?

高安 そうですね、普段は体育館とか中でやる巡業が多いので、テントでやる巡業っていうのは少し新鮮な感じがしていいんじゃないですかね。

 

――大関の夏巡業一番の楽しみは何ですか?

高安 やっぱり、この時期暑い時期に普段なかなか行くことの無い東北・北海道の涼しい場所に行けるっていうのはいいですし、またいい気分転換になります。いろんな出会いもありますから、すごくいい機会だと思います。

 

――各地方で美味しいものも食べられましたか?

高安 その土地の名産はやっぱり食べますね。いろんな人にもめぐり逢いますし、自分にとってもプラスになりますね。

――七月末から続いている夏巡業は、大関になって初めて迎えられた巡業です。お客様の声援など、例年との違いは感じましたか?

 

高安 そうですね、一年前と比べてみると全然違うものがありますし、期待の度合いが高いのは自分でもよくわかります。一生懸命それに応えたいと思っています。

 

――巡業が終わるとまた秋場所が始まります。大関として初めて両国で迎えられる本場所に向けての意気込みをお聞きかせください。

高安 新大関の場所も経験しましたし、名古屋場所よりももっとリラックスした相撲が取れると思います。しっかり稽古して、優勝を目指して一生懸命精進したいと思います。

 

 

撮影/会田 忠行

インタビュー/安 多香子

 

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