オーディションで選ばれた若き才能が『あたらしい憲法のはなし』で“わたし”たちの未来をチャットする。
『あたらしい憲法のはなし』は日本国憲法が施行された1947年に文部省が発行した中学1年の社会科の教科書です。新憲法の三原則をわかりやすく語りかける教科書でしたが、わずか5年で使用停止となります。この教科書を青空文庫で読んだ劇作家の柴 幸男は、社会のルール作りを出演者たちとゼロから模索する劇『あたらしい憲法のはなし』を構想します。
2015年9月19日午前2時頃、憲法違反と警告されていた安全保障関連法案が、国会で暴力的な過程を経て可決されました。同じ日の夕方、パルテノン多摩の水上ステージで憲法に思いを巡らす『あたらしい憲法のはなし』が穏やかに上演されたのです。この皮肉な偶然は、その上演、戯曲の意義を鮮やかに示す結果となりました。
2021年は“わたし”たちの番です。演劇を専攻する学生と演劇界で活躍する36歳以下の若者が、憲法について思索し、演劇でチャットします。未来のために。
<演劇系大学共同制作公演とは>
2013年春、演劇の実技教育を有する都内の5大学が集い東京演劇大学連盟(通称:演大連)が発足しました。大学における演劇の実技教育のあり方や、社会との関わりを検証し、公共劇場とも連携しながら、研究と企画を展開しています。今回8回目を迎える共同制作公演は演大連が後援しています。いずれの回もスタッフ・キャストはオーディションによる選抜です。年度ごとの担当校が、企画立案を行っています。
本年度の担当校は、2015年度『カノン』(作:野田秀樹 演出:野上絹代)が熱い評価を得て以来2度目となる、多摩美術大学です。