今回のトークテーマは「アカデミー賞受賞作品特集」
■「ビール・ストリートの恋人たち」(2018年アメリカ)
原作は、オバマ前・米国大統領やマドンナらが敬愛する作家・ジェームズ・ボールドウィンの小説。長年映画化を望んでいたジェンキンス監督が、『ムーンライト』の撮影以前に脚本を執筆し、権利を獲得した念願の企画。1970年代ニューヨークに生きる若きカップルが、命をめぐる試練に直面し信念を貫く運命のラブストーリー。圧倒的な映像美と叙情的な音楽が印象的な作品。第91回アカデミー賞では、助演女優賞をはじめ、脚色、作曲賞の3部門にノミネートされ、レジーナ・キングが見事、助演女優賞受賞を果たした。
■「ブロークバック・マウンテン」(2005年アメリカ)
2005年の映画界で最も注目を浴び、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞などに輝きながら、惜しくも賞シーズンのハイライトとなるアカデミー賞で作品賞を逃してしまった本作。同性愛というセンセーショナルな題材を取り上げながら、詩情豊かに普遍的な愛の物語へと高めたリー監督(「グリーン・デスティニー」)の演出手腕は確かで、H・レジャー、J・ギレンホール、M・ウィリアムズ(「ブルーバレンタイン」)、A・ハサウェイ(「レ・ミゼラブル」)ら当時の若手俳優陣が、登場人物たちの長年にわたる葛藤を熱演。
第78回アカデミー賞で監督賞など3部門、第62回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた秀作。2人のカウボーイが約20年にわたって織り成す、“許されぬ愛”を描く。
■「シカゴ(2002)」 (2002年 アメリカ)
フォッシー(「オール・ザット・ジャズ」など)が生み出した同名人気ブロードウェイミュージカルが、ハリウッドのトップスターたちの豪華競演で、ついに映画化を実現。第75回アカデミー賞では実に12部門で計13のノミネーションを獲得し、ミュージカル映画としては34年ぶりの快挙となる作品賞に輝いたのをはじめ、計6部門で受賞。同賞で助演女優賞に輝いたC・ゼタ=ジョーンズはもちろん、本格的な歌と踊りに体当たりで挑戦したR・ゼルウィガー、R・ギアらのダイナミックな熱演も見もの。
■「マイ・レフトフット」(1989年 アイルランド・イギリス)
ダニエル・デイ=ルイスがアカデミー主演男優賞受賞の人間ドラマ。脳性小児麻痺に冒され左足を用いて絵を描くまでの人生を描く。アイルランド出身の画家・詩人・作家のクリスティ・ブラウンが、自らの半生を綴った自伝を映画化した人間ドラマ。これが初監督となるジム・シェリダン監督は、主人公の苦悩に寄り添いつつもセンチメンタルに陥らず、ユーモアを交えた人生讃歌として描いている。撮影中ずっと車椅子に座り、左足だけを使って生活したダニエル・デイ=ルイスがアカデミー主演男優賞に輝き、母親役ブレンダ・フリッカーも助演女優賞を受賞した。