従来、江戸絵画史は流派別に語られ、各流派の様式からはみ出した絵師たちは「異端」として無視されてきました。しかし、1960年代末頃から、既成の殻を打ち破り自由で斬新な発想をする「異端」の絵師たちを、奇想の系譜として見直そうという動きが活発になります。こうした奇想の絵師たちを、既成の枠を打ち破った絵師ととらえれば、装飾性を絵画の世界に持ち込んだ俵屋宗達・尾形光琳や写生の新しい方向を試みた円山応挙など、従来の通史で取り上げられた絵師たちも含めるべきだと考えます。
本展は、そうした観点から、従来の有名・無名の絵師たちを見直し、斬新な表現に挑んだ「奇才」の絵師たちを一堂に集めてみようとするものです。京都・大坂・江戸の三都はもちろん、北は松前、南は長崎にいたる諸国の奇才35人を集め、重要文化財13件を含む161件の個性溢れる作品を紹介します。
重要文化財 狩野山雪《寒山拾得図》
真正極楽寺 真如堂蔵
【展示期間】10/13(火)~11/8(日)