「クリムト展 ウィーンと日本 1900」(東京都美術館)開催中!

ベートーヴェン・フリーズをはじめとした世紀末ウィーンの黄金様式を体感

クリムト展 ウィーンと日本 1900 「クリムト展 ウィーンと日本 1900」の入口看板は日本の伝統工芸職人による金箔仕上げ

 

4/23(火)より東京都美術館で「クリムト展 ウィーンと日本 1900」が開催中です。

世紀末のウィーンで活躍した画家、グスタフ・クリムト(1862~1918)。写実的でアカデミックな画風から出発したクリムトは、やがて金箔を多用する「黄金様式」の時代を経て、装飾的で抽象的な色面と人物を組み合わせた独自の画風を確立、ウィーン・モダニズムの旗手として活躍しました。

魅力的な女性像をはじめ、その華麗で煌びやかな絵画は国内外で圧倒的な人気を誇ります。

本展は今年で日本とオーストリア友好150周年を記念して開催される美術展。18世紀初頭のウィーンに建てられたバロック建築の宮殿内にあるベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の全面協力のもと実現しました。東京では約30年ぶりとなる大規模展となります。

 

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クリムト展 ウィーンと日本 1900 《ベートーヴェン・フリーズ(原寸大複製)》
グスタフ・クリムト
1984年(オリジナルは1901-02年) 鉛筆、サンギーヌ、パステル、カゼイン絵具、金、銀、漆喰、モルタル、その他
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
© Belvedere, Vienna

 

クリムト展 ウィーンと日本 1900 壁画には金やガラスなどの素材が用いられています

 

クリムト展 ウィーンと日本 1900 1984年に制作された精巧な原寸大複製を通じてその壮麗さと迫力を体感できます

 

本展の見どころとして、全長34メートルにもおよぶ壁画「ベートーヴェン・フリーズ」の原寸大複製が挙げられます。オリジナルは1902年に行われた第14回ウィーン分離派展の際に制作されたもの、クリムトが40才の頃に手がけた大作です。同展覧会の開催日には、グスタフ・マーラーが編曲したベートーヴェン交響曲第9番の一部が、金管奏者によって演奏され、偉大な音楽家に対する敬意が表されました。

ベートーヴェン交響曲第9番に着想を得たこちらの壁画作品は、黄金の騎士が持つ剣の柄部分をはじめとした細部に、金やガラス、真珠層などの素材が用いられています。輝きの中に歓喜を表現したフリーズは、まさにクリムトの「黄金様式」の時代を代表する傑作。本展は、1984年に制作された精巧な原寸大複製を通じて再現しています。

壁画作品エリアでは、もちろんベートーヴェン交響曲第9番が流れており、美術品を“観る”だけではなく、煌びやかな作品を“体感”できる展示工夫が施されています。

また、本展のスペシャルサポーターにベートーヴェンやウィーン文化に縁のある稲垣吾郎さんが就任。音声ガイドにも初挑戦しており、ガイド内ではベートーヴェン交響曲第9番や、ウィーンについて語っているスペシャルトラックも収録されています。

クリムト展 ウィーンと日本 1900 《女の三世代》
グスタフ・クリムト
1905年 油彩、カンヴァス
ローマ国立近代美術館
Roma, Galleria Nazionale d’Arte Moderna e Contemporanea. Su concessione del Ministero per i Beni e le Attività Culturali

 

本展では、過去最多約25点以上のクリムト油彩画を中心に紹介。開催前に行われた内覧会では、ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館館長のステラ・ローリッグさんと、学芸員のマークス・フィリンガーさんが来日しました。

ステラ館長は「クリムト展が開催いたしますことを大変光栄に感じています」と挨拶。続けて「私たちはクリムト作品、なかでも油彩画コレクションに関しては、最大数を所持していますが、これほど数多くの作品がベルヴェデーレ宮(オーストリア絵画館)を離れるのは、実は今回が初めてです。ぜひ、皆さんとクリムト作品のシェアができればと考えています」とコメントしました。

本展が初来日となる作品《女の三世代》は、額縁に収まっている絵画としては最大の大きさ。加えて絵の仕上がりの点で完璧に仕上げた絵画、最大傑作だとして評されています。

クリムト展 ウィーンと日本 1900 《ユディトI》
グスタフ・クリムト
1901年 油彩、カンヴァス
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
© Belvedere, Vienna

 

また、クリムトの「黄金様式」の最初に位置づけられる代表作《ユディトI》も見どころのひとつ。油彩画に初めて本物の金箔を用いた作品とされており、額縁もクリムト自身のデザインによるもの、制作は弟のグスタフ・ゲオルグが制作した重要な作品とされています。

《ユディトI》の制作以降、油彩に金箔を用いたクリムトは「黄金様式」という豪華絢爛な表現に取り組みました。

クリムト展 ウィーンと日本 1900 特設ミュージアムショップ

 

クリムトは「私を知りたいのなら、私の絵画を注意深く観察してほしい。そして、何者なのか私の中を観てほしい」と言葉を残しています。

本展では絵画のみではなく、クリムト自身の写真や文書、スケッチブックなども展示されており、初期作品から晩年の作品までを含めて、クリムトについて深く知るまたとない機会です。どういった経緯で「黄金様式」を確立したのか、クリムトとは一体何者だったのかを注意深く観察してみてはいかがでしょうか。

「クリムト展 ウィーンと日本 1900」は、4/23(火)より東京都美術館にて開催中。東京開催を皮切りに、愛知・豊田市美術館(7/23~10/14)へと巡回します。

 

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開催概要

 

クリムト展 ウィーンと日本 1900

クリムト展 ウィーンと日本 1900

 

公式ホームページ

https://klimt2019.jp/ ※外部サイトへ移動します

 

東京展 開催期間

4/23(火)~7/10(水)

時間

9:30~17:30

※金曜は20:00まで

※入室は閉室の30分前まで

休室日

5/7(火)、5/20(月)、5/27(月)、6/3(月)、6/17(月)、7/1(月)

会場

東京都美術館 企画展示室(東京・上野公園)

 

 

 

愛知展 開催期間

7/23(火)~10/14(月)

時間

10:00~17:30

※入室は閉室の30分前まで

休室日

月曜日

※8/12(月・休)、9/16(月・祝)、9/23(月・祝)、10/14(月・祝)は開館

会場

豊田市美術館

備考

※高校生以下無料

※大学生は7/23(火)~8/4(日)入場無料

※常設展、髙橋節郎館も同時観覧可

※本券1枚につき期間中お1人様1回限り有効

※セット券1枚につきお一人様、「クリムト展 ウィーンと日本 1900」と「あいちトリエンナーレ」の各会期中にそれぞれ1回限り有効

※セット券のあいちトリエンナーレは豊田市会場のみ観覧可。フリーパスへのアップグレードはできません

※セット券のクリムト展とトリエンナーレは別の日でもご覧いただけます

※会期中は当日料金にて販売

 

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【そのほかの画像】

 

クリムト展 ウィーンと日本 1900 《ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)》
グスタフ・クリムト
1899年 油彩、カンヴァス
オーストリア演劇博物館
© KHM-Museumsverband, Theatermuseum Vienna

 

クリムト展 ウィーンと日本 1900 《アッター湖畔のカンマー城III》
グスタフ・クリムト
1909/1910年 油彩、カンヴァス
ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館
© Belvedere, Vienna

 

クリムト展 ウィーンと日本 1900 《オイゲニア・プリマフェージの肖像》
グスタフ・クリムト
1913/1914年 油彩、カンヴァス
豊田市美術館

 

 

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(文・写真:工藤明日香/ローソンチケット)

 

【東京都美術館 周辺地図】