【インタビュー】Suchmos

2018/07/17(火)

Suchmos

初の横浜アリーナ2days開催！ 6人がスペシャルを生み出す

3月にスタートしたSuchmos史上最大規模、2万人を動員した全国ホールツアー『YOU'VE GOT THE WORLD TOUR』は、あまりにも熱かった。極上のグルーヴにそこにいた全ての人が酔い、体を揺らし、心ゆくまで純粋に音楽を楽しんでいた。それはメンバーも同じだ。毎公演、ファンから放たれるエネルギーを“食らい”、そのパフォーマンスはますます熱を帯びていった。そんな熱狂のツアーについて、そして6月20日(水)にリリースされたミニアルバム『THE ASHTRAY』に込めた思い、そして来るべき11月24日(土)、25日(日)に行われる、初の横浜アリーナ2days「Suchmos THE LIVE YOKOHAMA」について、YONCE（Vo）、TAIHEI（Key）、KCEE（Dj）に話を聞かせてもらった。

KCEE　今回のツアーでも感じましたが、何かを想像してライブに来てくれる人たちの想像を、遥かに超えるライブができていると思います。自分たちも、日常では絶対感じる事ができない昂揚感を感じていて、でもそこでいき過ぎずに、粘って、音楽にだけきちんとアプローチするという、コントロールする方法もわかっている。攻めるところは全員で攻めていく事ができるし、そういう瞬間もバンドの強さだと思う。

ライブこそが自分たちの存在証明の場である――6人はそんな強い思いを胸にライブにかけているようだ。しかし、ライブでさらに進化する音源にももちろん一切の妥協を許さない。バンドとしての充実ぶりも伝わってくるミニアルバム『THE ASHTRAY』も、音楽と純粋に向き合う6人、自分たちが今やりたい音楽を、素直に奏でるナチュラルなバンドの姿が映し出されている傑作だ。Honda「VEZEL」のCMソングとして大量オンエアされた「808」、そして「2018 NHKサッカーテーマ」に起用されている「VOLT-AGE」など、話題作が収録された、重厚かつ圧倒的なカッコよさを感じさせてくれる“超”ミニアルバムだ。

KCEE　音の幅は広がっているけど、音数、音の濃度は減っているはずです。今までの作品もそうですが、今回は特に一音一音に雑味がないので、それぞれの曲が始まりから終わりまで、感動の糸、グルーヴが途切れない、純度が高いものになっていると思います。

ジャンルという名の枠を超え、より自由度が増した感があるその音楽。そして言葉。今回の作品には、「常に“小さな声”を聞く人でいたい。その声を聞かずにいるのは、世の中が全然建設的になっていかないし、ポジティブな方向に向かっていかないと思う」という、YONCEの、社会、世の中の間違った風潮に対するシニカルな言葉が並ぶ、強烈なメッセージソングが存在感を放っている。「ONE DAY IN AVENUE」だ。

YONCE　もやもやしていたものを、ぶちまけたら、無責任には歌えない曲になりました。高校生の時から好きなa flood of circleというバンドの歌の一節に、「歌は刺青だ」という歌詞があって、それに改めてグッときて。自分の歌、したためた言葉は、自分の体に刻み込まれるから、それに背く事はできないと思いました。＜モンキービジネス＞という歌詞は矛盾もはらんでいて、ロックバンドはその＜モンキービジネス＞に加担している部分もあって。そこから生まれる“葛藤”というものの魅力に、俺たちは憑りつかれてしまっていると思う。『THE ASHTRAY』という言葉は、ベースのHSUが考えた言葉で、この作品も含めて、俺たちが1曲を書き上げるために、6人集まっているときもそうだし、それぞれがどこかで曲と向き合っているとき、ひとつのものに魂を込めるために、燃やしたタバコの灰の量たるや、という思いが込められています。

『THE ASHTRAY』を携え、11月には横浜アリーナワンマンライブ2days『Suchmos THE LIVE YOKOHAMA』が開催される。今のSuchmosのライブは観ておいた方がいい。感じたことがない“美しい瞬間”を体験、音楽の素晴らしさを再確認できるはずだ。

TAIHEI　この6人で音を出すと、スペシャルなものが生まれて、人の心が動いて、前回のツアーでは2万人もの人が集まってくれて、俺たちの音楽人生の中で一番ヤバい事が起こった。横浜アリーナでは俺たちも、来てくれた人も、さらにいい景色を見る事ができるはず。

YONCE　一人ひとりがそれぞれの思いを抱えて、なぜか同じ場所に集まって、同じアーティストを応援して、思い思いの聴き方、過ごし方をしているという事実を毎回“食らう”というか。自分たちがやっている事が間違いじゃないと思えるし、一種の貴い事を、自分たちを媒介として成り立たせることができているという事に、ライブが終わるたびに感慨にふけります。ものすごく美しい関係だと思う。