【インタビュー】藤原さくら
2023/12/15(金)
「こんなライブは見たことない」というツアーにしたい
2022年5月から約1年間をかけて、全国47都道府県をめぐる全52公演の弾き語りツアー『heartbeat』をおこなった藤原さくら。23年5月にはトラックメイクを主体にした4枚目のアルバム『AIRPORT』をリリースし、夏ドラマ『こっち向いてよ向井くん』への出演を挟み、10月に渋谷WWW Xにて4週に渡るワンマンライブ『週刊空港(エアポート)』を実施。10月3日と9日の「Terminal1」公演はYasei Collectiveの中西道彦(Ba)をバンマスに、これまでの全アルバムにプロデューサーとして参加しているOvallの関口シンゴ(Gt)らが出演。17日と24日の「Terminal2」公演は、バンマスをCurly Giraffe(Ba)が務め、ミュージカル『ジャニス』で共演した名越由貴夫(Gt)らがラインナップされ、まったく異なるメンバーとなっていた。
「2つのバンドを設けて、『AIRPORT』というアルバムを表現できたことで、自分の中でもたくさんの発見があるライブになりました。アレンジの面でも、楽曲ごとにこんなに振り幅があるんだという驚きもありましたし、アルバムのリリースからライブまで時間が空いたからこそ、自分からの“タイムカプセル”のような気持ちもあって。よく、皆さんに『さくらちゃんの曲で元気をもらいました』って言ってもらいますけど、自分で歌いながら、昔の自分が書いたポジティブな言葉に自分自身が励まされるという経験をしましたね」
最終公演では新曲「daybreak」を初披露。ドラマ『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』の挿入歌として書き下ろした楽曲のサウンドプロデューサーには石若駿を迎えている。藤原と石若は、ReiのコラボプロジェクトQUILT『Smile! with 藤原さくら』(2021)で初共演を果たした後、原田知世のカバー「早春物語」(2022)でプロデュースを依頼。自身の名義では今回が二度目のタッグとなる。
「ドラマーとしての魅力はもちろんなんですが、ご自身の「Songbook」の活動など、制作する人間としても、すごく刺激になる面白いアーティストです。めちゃくちゃ忙しいのに、ライブ終わりやREC終わりも作業してくださって、デモが送られてくる度、本当に感動があります。新しい章の始まりを感じる曲が生まれて嬉しいです」
石若に加え、ジャズピアニストである海野雅威やギターの井上銘、ベースのマーティー・ホロベックなどの気鋭のジャズミュージシャンが集結した全編英語歌詞のバラードでは、夜明けを導くあたたかい光が歌われている。
「自分はもう一人ぼっちなのかもしれない、友達も、相談できる相手もいないっていう人もいるかもしれない。でも、ふと見た作品で救われたり、考え方ひとつでパッと好転することもある。もちろん、自暴自棄になることもあるけど、少しでも希望の光を見失ってほしくないなという気持ちで描いていて。ネガティブになることってどうしてもあるので、そんな時に寄り添えたら嬉しいです」
本作を自主レーベル「Tiny Jungle Records」からリリースした藤原は24年4月から全国ツアーの開催が決定している。弾き語りから2つの異なるバンドを経て、どんなツアーになるのだろうか。
「私はどんどん新しいことに挑戦していきたいタイプなんです。今は、みんなと一緒に未開の森に入っていって、得体の知れない怪しさを感じるような音が聞こえてきて、少しずつそこを抜けていくという物語が浮かんでいて。映像や照明の演出を含め、『さくらちゃんのこんなライブは見たことない!』っていうツアーにしたいなと思ってます」
プロフィール
藤原さくら/ふじわらさくら
'15年にEP『à lacarte』でデビュー。シンガーソングライターに加え、役者としても活躍。
公演情報
Sakura Fujiwara Tour 2024
- 4/14(日)17:00 福岡・Zepp Fukuoka
- 4/21(日)18:00 宮城・仙台PIT
- 4/28(日)17:00 愛知・Zepp Nagoya
- 4/29(月・祝)17:00 大阪・NHK⼤阪ホール
- 5/19(日)17:00 東京・NHKホール
インタビュー・文/永堀アツオ
構成/月刊ローチケ編集部 12月15日号より転載