【インタビュー】大橋トリオ

2024/7/15(月・祝)

大橋トリオ

“この時間が終わってほしくない”と思えるライブが理想

次から次へと、新しいアイディアが溢れ出して止まらない。2024年の大橋トリオは、THE CHARM PARKとのデュオ・アルバム『Trio & Charm』(傑作!)のリリースから始まり、ライブ、そして春フェス出演と、活発な活動を続けて今に至る。

「『Trio & Charm』はアコースティック・アルバムなので、アコースティック・ギターと向き合って、ますますギターが好きになったということは言えますね。インプットはすごくあったと思います。ただツアー(2023年12月開催)は大変なことが多くて、メンバーが少ないぶん自分の責任が大きいし、二人しかいないから割り切って諦めればいいんですけど、たとえばドラムがほしくなったら、ルーパー(エフェクター)とか飛び道具を駆使して、アコギでなんとか表現しようということばかり考えていました。最近のホールツアーは自分を含めて6人でやっていて、自分がそんなに弾かなくても成り立つんですけど、二人だけでやってみて、普段はぬるま湯でライブをやっていたなということが身に染みました(笑)。春フェスは若い20代のジャズメンと一緒に回って、若いがゆえのアグレッシヴな演奏もあるし、僕もちょっとジャズギターっぽいことを頑張ってやったりして、すごく楽しいですよ」

現在は楽曲提供や自身の新作制作など、スタジオ作業真っ最中。様々なインプットの機会を得て、いつも以上に創作モードが高まっているという。

「4月からJ-WAVEで『THE UNIVERSE』(火曜日27-29時)という番組のレギュラーをいただいて、毎週30曲ぐらい選んでいるんですけど、すごく自分のためになっていますね。“ジャズボーカル”“シンプルバンド”とか“ちょいオシャレ昭和レトロ”とか、テーマを決めてサブスクで探すんですけど、お勧めされるものをそのまま選ぶのは芸がないから、そのアーティストのところに飛んで、ほぼ全曲聴いて、その中から1曲ピックアップしてみたいな形で、かなり時間をかけて選曲しています。

それが自分の音楽にもきっと影響すると思いますし、“自分は全然甘かった。まだまだやれることがある”って、それに気づいたのは収穫だなと純粋に思えていますね」

やる気満々モードの大橋トリオがこの先に見据えるのは、10月から全国9カ所を回る『ohashiTrio HALL TOUR 2024』。おそらく新作リリース後のツアーとなるだろう、最新モードの大橋トリオが堪能できることは確約済みだ。

「自分の理想のライブというものがあるんですけど、それは“この時間が終わってほしくないと思えるかどうか”。10何年前にルーファス・ウェインライトのライブに誘われて、何の予習もなしに行ったら、そのライブが最高すぎて、帰りたくないと思ったんですよ。そこで“自分の目指すところはこれだな”とはっきり確信しました。

最近、ご飯を食べているときも思うんですけど、めちゃくちゃ美味しいレストランに行くと、一気に食べない。美味しければ美味しいほど、一口ずつ味わってゆっくり食べる。この素晴らしい場がいつまでも続いてほしいと思う、それはライブとかなり似ていますね。

だから次のツアーは、まだ内容は決まっていないですけど、そこを目指してライブを作ります。お客さんも、ライブ後のSNSとかを見ると“この時間が終わってほしくないと思いました”と書いている人がけっこういるから、ちゃんと響いてくれているんだなと思いますね。いいお客さんといいスタッフ、いい環境に恵まれて、今年も変わらずにそこを目指そうと思います」

プロフィール

大橋トリオ/おおはしとりお

シンガーソングライター。'07年にデビュー。もう一つの顔として、映画やドラマ、CMなどの音楽の作家としても活動。

公演情報

ohashiTrio HALL TOUR 2024

  • 10/5(土) 愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
  • 10/13(日) 北海道・札幌共済ホール
  • 10/17(木) 宮城・日立システムズホール仙台 シアターホール
  • 10/19(土) 東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
  • 10/27(日) 大阪・NHK大阪ホール
  • 11/4(月・休) 岡山・倉敷市芸文館
  • 11/8(金) 福岡・福岡市民会館
  • 11/10(日) 長崎・とぎつカナリーホール
  • 11/16(土) 東京・昭和女子大学 人見記念講堂

インタビュー・文/宮本英夫
構成/月刊ローチケ編集部 7月15日号より転載

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