【インタビュー】キズ
2026/8/15(土)

一生記憶に残る一瞬を作りたい
2027年2月27日をもって活動休止を発表したキズが、8月5日に1st LAST ALBUM『極楽より極上の雨』をリリースした。2度の発売延期を経て辿り着いた本作について、タイトルの意味をあえて詳細に説明していないキズ。今回は来夢に今の思いを語ってもらった。
「『極楽より極上の雨』はこの2年間ぐらい、自分の人生を歩んできた中で滲み出たもの、絞り出した曲を詰め込んだアルバムだと思っています。発売延期をしていくうちに、書こうと思ったものも変わっていって。最終的に出来上がったものがこれでした」
過去曲の再録にも、現在の熱量が刻まれている。ライブを重ねる中で、当時の音源と今の歌、今のバンドがもつ温度にズレが生まれた。だからこそ、もう一度触れる必要があったのだという。
「ライブをやっているうちに、ハモリの熱量が自分の歌と合わなくなってきたんです。昔の収録に比べると音数はめちゃくちゃ減っているんですけど、大人になって“いらないものはいらないよね”と感じるようになりました。最終的にはすごくシンプルな曲になったと思います」
アルバムの中でも強烈な存在感を放つのが「AMATELAS」だ。完成までに1年以上を費やし、サビも何度も書き直した一曲。宮崎県出身の来夢にとって、神話や神楽は遠いモチーフではなく、幼い頃から身近にあったもの。その記憶が、キズの音として現代に立ち上がっている。
「『AMATELAS』は本当に難産でした。2度目の発売延期のときには形になって、“いける”と確信した曲でもあったので、本当にすべてを詰め込んだというか。できるところまでやった曲です。“自分が神楽を作るとしたら、どうなるだろう”と連想して作りました。『AMATELAS』は現代神楽だと思っています」
そんな作品を携え、キズはZepp TOUR『天照焔巡』へ向かう。ただし来夢は、ツアータイトルやコンセプトだけでライブを規定しない。幕が開き、そこに集まった一人一人の表情を見て、その日のライブの色が決まると話す。
「タイトルは、ファンの皆さんが当日会場に集まってくれるまでのもの。ライブが始まったら、あまり関係ないと思っています。集まってくれる方々がどんな方たちなのかはその時にならないと分かりません。だからMCも考えないんです。そう思っているからこそ、ファンの皆さんと正面から向き合えるライブにしたいと強く思います」
来夢は『ビジュアル系』という言葉よりも、『ビジュアルロック』という言葉を選ぶ。男が惚れるロック。胸を張って好きだと言えるジャンル。その看板を背負っていると語る。
「自分が今までビジュアルロックに救われてきたからこそ、恩返しをしたいんです。そして“ビジュアルロックが好き”と胸を張れるジャンルにしたい。男性ファンが増えているのもうれしいですよね。自分が居場所を作ってあげている感覚があります」
活動休止については「夏休みです」と笑う。しかし、ステージへ向かう姿勢はどこまでも真剣だ。ライブで生まれる一瞬の感動が、誰かの一生に残ることを信じている。
「一生記憶に残る一瞬を作れたら、キズが特別な存在になれると思っています。それが一曲なのか、1回のライブなのか、ワンフレーズなのか分からないですけど、とにかくライブを見にきてほしい。そして曲を聴いてほしいです。そうしたら、すべてを分かってもらえる自信があります」
プロフィール
キズ/きず
'17年結成のビジュアルロックバンド。メンバーは来夢(Vo/Gt)、reiki(Gt)、ユエ(Ba)、きょうのすけ(Dr)。
公演情報
キズ Zepp TOUR『天照焔巡』
- 9/5(土) 17:00 東京・Zepp Haneda(TOKYO)
- 9/12(土) 17:00 北海道・Zepp Sapporo
- 9/22(火・休) 17:00 神奈川・KT Zepp Yokohama
- 9/26(土) 17:00 福岡・Zepp Fukuoka
- 10/3(土) 17:00 愛知・Zepp Nagoya
- 10/10(土) 17:00 大阪・Zepp Osaka Bayside
インタビュー/清水康平
文/池田光咲
構成/月刊ローチケ編集部 8月15日号より転載