【インタビュー】GLIM SPANKY

2023/10/15(日)

GLIM SPANKY

「別の世界になった現在」に問う新作と共にツアーへ

GLIM SPANKYが7作目のニューアルバム『The Goldmine』を11月15日(水)にリリースする。コロナ禍以降では3作目。「4年間で自分たちが何を考え、どう行動し、何を得たのかがもっとも強く表れた作品になった」と、松尾レミと共に作曲も担う亀本寛貴は言う。

「コロナ禍で音楽シーンが変化したというか。コロナ禍以降に出てきた新しいスターがたくさんいる、あきらかにクオリティーが高い人たちが。自分たちが、2019年までで積み上げてきたものとは、別の世界になっている。コロナ禍以降の3枚は、常にそれを考えながら作っていた感じですね。まだGLIM SPANKYを知らない、未来のファンに向けてつくる音楽、っていうふうに意識してないと、閉鎖的な音楽になっちゃうので。だから松尾さんと、これからどうあるべきかっていう議論をどんどんするようにして。それでアルバムを3枚つくっていく中で、お互いが必要なメンバーとしての強度がすごく上がった。このバンドを一生続けていきたい、それは絶対揺るがない。だからこそ自分の意見を、そんな簡単に曲げられないという」

そのように、お互いが真剣に話し合えば話し合うほど、当然、ぶつかることも増えたという。

「たとえば、フェスでのライブひとつとっても……僕らが新人の頃は、2つめか3つめに出てきて、『なんかあいつらすごかったな』で済むポジションだったわけです。でも今、その感覚でライブをしてちゃあ、もうフェスには出られません。そう思うんですね。今、出るとしたら、後ろの方の時間で、ファンじゃない人たちもいっぱい観ていて、それでもみんな『楽しかった』と言ってくれるライブになっていないと。そのためにはこういう演出をしてみよう、こういうパフォーマンスをしてみよう、ということを一個一個やっていきたいんですけど、そこでぶつかる。でもそこで、『確かにそうあるべきだね』って松尾さんに納得してもらわないと……。『そんなにいいと思ってないけど、しょうがないからやろう、っていうんじゃ通用しねえぞ』っていう話は、めちゃめちゃしました。同じような話し合いは、曲づくりやアレンジでも、何度も。だから今回のアルバムは、コロナ禍以降の3枚でも、いちばんイメージしているものに近い、納得できる音づくりにできたなと思います」

本作で、新しいGLIM SPANKYがもっとも強く表れているのが、Paraviの恋愛バラエティ番組の主題歌として依頼を受けた「ラストシーン」だ。ここまで直球なラブソングを書いたのは初ではないか。

「最初の打ち合わせのとき、松尾さんが『あきらかに恋愛の曲じゃなくても、抽象的でもいいですよね？』みたいな。でも、ここで逃げちゃダメだ、『恋愛の曲です！』っていう曲をつくろう！っていうバトルはしました。それで結果、今までにない曲になったし、松尾さんも『こういう曲もOKなんだ』っていう感覚が持てたと思うので。それは、このアルバムにとって大きかったと思います」

このアルバムを携えて、来年1月から3月いっぱいまでかけて回る、全国23本のツアーに出る。

「前作のツアーは、アルバムの曲を全部やったんですけど、『今までで、いちばんキャッチーなツアーだった』と言ってくれる人が多かったので。次のツアーも、よりそういうものにできる感覚があるし、スモーキーな感じとか渋い感じの、GLIM SPANKYのライブでしか感じられない部分もあると思うので。楽しみにしていてほしいです」