【インタビュー】GLIM SPANKY
2022/9/15(木)
もっと広く、深く。
ツアーが開始し、2人の新しい挑戦は続く
2014年に現れた、60~70年代の英米直結のロックを鳴らす、20代前半の女性シンガーと男性ギタリストのユニット。当時の(今も)シーンにおいて超異端、しかしその卓越したクオリティの楽曲が大人のファンを中心に絶大な支持を集め、デビュー4年で日本武道館まで駆け上がったGLIM SPANKYは、2022年8月3日リリースのニューアルバム『Into The Time Hole』で、次のフェーズに突入している。GLIM SPANKYの音楽がまだ届いていないリスナーにも、広く深く届く可能性を持つ方向にシフトしつつある。ルーツ・ロックのテイストを保ちつつも、サウンド・プロダクトの組み立て方やメロディの紡ぎ方、松尾レミの書く詞の世界に、そのような新しさが感じられるアルバムなのだ。
亀本寛貴「曲を作っている時に、ふたりでよく話していたのが、『これ、誰がどういう時に聴いて楽しんでいるのかが、全然想像できないからダメだ』という。今までしてこなかった会話を、今回はしていたのが変化かな。ファンに満足してもらうのは当然で、未知の人たちにもGLIM SPANKYの音楽を届けるために挑戦していくのが大事。ではどうアプローチしていくのか。というのは、近年非常に考えるようになったところです」
一方、松尾レミは、野宮真貴や上白石萌音、DISH//など、他のアーティストへの楽曲提供を依頼されるようになったことがきっかけで、自分たちのために書く曲も大きく変わったという。
松尾レミ「“HEY MY GIRL FRIEND!!”は、野宮真貴さんに“CANDY MOON”を書いた時の候補曲で、自分の曲では使わなかった言葉を使おうとか、そういうトライをしていく中で、『自分の曲でもこういう言葉を使うのもおもしろいな』とか、そういう発見が増えていって」
実は野宮真貴は、彼女にとって、「人生で最初に好きになった音楽を歌っていた人」だという。
松尾「野宮真貴さんに書いた“CANDY MOON”は、内容が、『真っ赤なネイル』や『お気に入りのベレー帽』で街へ繰り出す、みたいな曲で。これまでのGLIM SPANKYなら絶対書かないじゃないですか? でも私、保育園の頃、最初に好きになったのがピチカート・ファイヴで、曲を聴いて踊っていたんですね。だから、その頃にもうインプットされていたんですよ、曲のワードとかが。野宮さんに歌ってもらうための歌詞を考えている時に、そういうアイデアがすごく浮かんできて、『あ、これ、自分のルーツだったな』って思い出したんです。だから“HEY MY GIRL FRIEND!!”も、自分にルーツがなかったら歌えないけど、『これなら自分のものになるな』ということで、挑戦できました」
11月2日の横浜ベイホールから始まる本作のリリース・ツアーで、進化の過程にいるGLIM SPANKYを観られるのが、楽しみである。
亀本「僕らは最初、60年代~70年代のロックをルーツにしているイメージで出て来て。そういう音楽は僕らにとって重要なのですが、最終的には、60年代のロックとか関係なく語られるアーティストにならないとダメじゃないですか」
松尾「20代前半でデビューだったから、おもしろがられたわけで。でも今、私は30歳になって、大人の二人組が渋いロックをやっているのはねえ(笑)。だから、年齢関係なく良いって思われる、GLIM SPANKYとしての音楽を確立していきたいので、いろいろ挑戦していますね」
プロフィール
グリムスパンキー
ハスキーで唯一無二な歌声が特徴の松尾レミ(Vo.)とブルージーで情感深くギターを鳴らす亀本寛貴(Gt.)による男女二人組ロックユニット。
公演情報
Into The Time Hole Tour 2022
- 11/2(水) 19:00 神奈川・横浜ベイホール
- 11/4(金) 19:00 福岡DRUM LOGOS
- 11/5(土) 18:00 広島クラブクアトロ
- 11/11(金) 19:00 NHK大阪ホール
- 11/23(水・祝) 18:00 北海道・PENNY LANE24
- 11/25(金) 19:00 宮城・SENDAI GIGS
- 11/27(日) 18:00 長野・ホクト文化ホール 中ホール
- 12/3(土) 18:00 愛知・名古屋市公会堂
- 12/11(日) 18:00 新潟LOTS
- 12/20(火) 19:00 東京・昭和女子大学 人見記念講堂
- 12/21(水) 19:00 東京・昭和女子大学 人見記念講堂
インタビュー・文/兵庫慎司
構成/月刊ローチケ編集部 9月15日号より転載