【インタビュー】ゲスの極み乙女。
今までで一番後悔がない作品ができた
ゲスの極み乙女。(以下、ゲス)が、ニューアルバム『ストリーミング、CD、レコード』を完成。これまで以上に研ぎ澄まされたサウンドが響く新作について、川谷絵音に語ってもらった。
「去年アルバムを出してなくて、作らないとなって脅迫観念にかられて制作が始まったんです。僕らはいつも、先にアルバムタイトルを決めるんですけど、作品をどういう形態で出そうかなって考えてて『ストリーミング、CD、レコード』って出てきて、“これでいいじゃん”ってわりと適当な感じで決めたんですよ(笑)。でも、曲は安易なものにはしたくないっていうのは当然ありましたし、あまり一本調子のアルバムを作りたくないっていうのはありました。最近は、J-POPからコアなものまでめちゃくちゃ雑多に聴いているのですが、ちゃんとポップスとして成り立つ音楽を作ろうっていうのはありました。結果的に混沌感がテーマになったかなと思います」
ヒップホップ、ブラックミュージック、ポストロック的なトリッキーなビートの上で、繊細かつ大胆なメロディーと歌が展開する楽曲が次々と聴こえてくる。
「全体的に、今までとガラッと変わったぞって感じをあえて出したところはありますね。ビートが肝なので、その構築はすごく時間をかけました。僕はリズムがすべてだと思うし、リズムによってメロディーの乗せ方も変わったと思います。僕らの特徴でもある語りに近い歌は、今回リズムを跳ねさせたことで聴こえ方が変わったし、今まで通りのことも違って聴こえるようにしたりとか、細かく詰めました」
これまでのゲスの音楽をさらに深化させた新作からは、強い意志で刺激に満ちた音楽を作ろうとする、彼らのミュージシャンシップが伝わってくる。
「僕31歳ですけど、30歳って節目を超えて、メジャーでも5年経つんですよ。音楽業界のルーティーン的なことを何周か経験して、つまらないなと思うことも増えたんです。それを打破するには、自分でどうにか面白くするしかないんですよ。でも、4人であの青春を取り戻そうぜってことにもならないし。面白くするには、結局好きな音楽を作るしかないなって。でも、いざアルバムを作ってみたらすごくいいものができたんです。その過程でみんなで、ゲスの極み乙女。の音楽いいねって思うことができたんですよね。一緒に何かを作るっていう時間が尊かったりして、バンドっていいなと思いましたね。メンバーみんな、一番後悔がない作品ができたと思ってます」
そしてゲスは、5月から6月にかけて全国ツアー『ゲスの極み乙女。をもう一度』を開催する。
「今は、ライブのあり方を考えなきゃいけない時期に来てるっていうのはもちろんありますね。ただ今の状況は別にして、今度のツアーは今までと違ったものにしたいと思ってます。今回のアルバムはお客さんと空間を共有しようって感じの作品でもないし、別に突き放してるわけじゃなくて、それぞれが自由に楽しんでもらえるような感じでいいんじゃないかなって思ってるんです。全員が一斉に手をあげなくてもいいんですよ。他人に合わせていたら、チケット代がもったいないじゃないですか。音楽を聴いてそれぞれが感じ取って、手をあげたい人はあげればいいし、踊っていてもいいし。バラバラな状態で盛り上がれるような、誰もが自由に楽しめるライブになればいいなって思います」
プロフィール
ゲスノキワミオトメ
川谷絵音(Vo/Gt)、休日課長(Ba)、ちゃんMARI(Key)、ほな・いこか(Dr)の4人組バンド。プログレ、ヒップホップを基調とし、独自のポップメロディで人気を集めている。
公演情報
Tour 2020「ゲスの極み乙女。をもう一度」
5/10(日)18:00 愛知・ダイアモンドホール
5/13(水)19:00 群馬・高崎市文化会館
5/15(金)19:00 栃木・宇都宮市文化会館 小ホール
5/16(土)18:00 宮城・仙台Rensa
5/22(金)19:00 北海道・PENNY LANE24
5/24(日)18:00 岩手・盛岡CLUB CHANGE WAVE
5/29(金)19:00 石川・金沢EIGHT HALL
5/31(日)18:00 グランキューブ大阪
6/5(金)19:00 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
6/6(土)18:00 福岡DRUM LOGOS
6/20(土)18:30 神奈川・ぴあアリーナMM
※公演が中止・延期になる可能性がございますので詳細は各公演の公式HPをご確認ください。
インタビュー・文/土屋恵介
構成/月刊ローチケ編集部 4月15日号より転載