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【インタビュー】三浦一馬&曽根麻央&浅野祥│響ー祈りの四季ーCandlelight 日本とブエノスアイレスの四季

【インタビュー】三浦一馬&曽根麻央&浅野祥

【インタビュー】三浦一馬&曽根麻央&浅野祥

7月3日(金)、東京・浅草公会堂で「響―祈りの四季― Candlelight 日本とブエノスアイレスの四季」(以下、本公演)と題した、いまだかつてないような演奏会が行われる。本公演では、東京・浅草公会堂がキャンドルの灯りに包まれ、その幻想的な空間で声明(しょうみょう)や民謡、バンドネオン、ピアノ、弦楽四重奏といった、時代や国境、ジャンルを飛び越えた音楽が厳かに響き合うという。このプログラムで中核的役割を担う3名のアーティスト、三浦一馬(バンドネオン)、曽根麻央(ピアノ・トランペット)、浅野祥(三味線・歌)に本公演の見どころや思いを語ってもらった。


――まずは、単なるライブコンサートではない、「響―祈りの四季― Candlelight 日本とブエノスアイレスの四季」についてご説明いただけますか?

曽根 「日本とブエノスアイレスの四季」という公演タイトルからもご推察いただけると思いますが、本公演ではアストル・ピアソラの名曲「ブエノスアイレスの四季」を軸にしたものです。ただ、それだけに留まらず日本の民謡や声明(僧侶らがお経に独特の節を付ける声楽全般のこと)を組み合わせながら、一年間の四季を表現することがコンセプトです。キャンドルの幻想的な灯りのなか、楽器演奏に僧侶の声が重なり合うことで精神的だったりレリジャス(宗教的)な感覚も味わえるでしょう。日本の奥深くて多様な文化の魅力をたっぷりと感じていただけると思います。


――多様なジャンルを融合させた魅力的なプログラムですが、それをまとめる難しさもあるのでは?

曽根 ええ。今回、プログラムを統括しているのですが、試行錯誤の連続ですね。声明には、そもそも譜面がありません。僕らが学び深めてきた音楽とは、アプローチがまったく異なるため、実際にその歌声を聞いてみないことには、テンポ感が分からなかったり、こちらの演奏と呼吸を合わせることができないんです。だからこそ、僕らの語彙と声明を唱える僧侶の皆さんとの語彙がうまくかみ合ったとき、いままでに誰も聞いたことがないようなマジックが起きるのではないかと期待もしています。

三浦 本公演では、曽根さんが音楽監督として全体を見渡してくれている中で、私はバンドネオン奏者としてピアソラの楽曲をいかにアダプト(適応)させていくかを考え、そのための特別な編曲を施しているところです。もともとの「ブエノスアイレスの四季」は、バンドネオンやエレキギターが入るエレクトリックなサウンドなのですが、今回は声明や弦楽四重奏、浅野さんの三味線が入る特別な編成です。オリジナルの魅力を保ちながら、和のテイストやクラシックの良さを取り入れた譜面を仕上げているところですが、前例がない挑戦なので、自分が自信をもって答えを導き出さなければならないという責任感とやりがいを感じています。

浅野 お2人が既に話してくださったように、今回の大きな見どころの1つは声明とのコラボレーションだと思います。僕が担当する三味線や民謡も、実は譜面がないという点では声明と似ていますし、声明が発展して後に民謡へとなっていったことを考えると、個人的に非常に強いつながりを感じますね。僧侶の皆さんの厚みのある声に、どうやって民謡を重ねていくか、リハーサルをするなかで感覚をつかんでいるところです。


―― 曽根さんと三浦さんが奏でる音楽は「洋」ですから、「和」の音楽を担当する浅野さんの存在は、本公演で重要な役割を果たしそうですね

浅野 ありがとうございます。僕が日ごろ奏でている民謡や津軽三味線も、元を辿れば豊作や大漁を願う「祈り」のためのものだと思うんです。津軽地方の代表的な民謡「津軽甚句」も、津軽藩を守ったお坊さんのための鎮魂歌だったと聞いています。なので、民謡が声明から発展したという繋がり以上の親和性がきっとあるのだろうと……。それを言語化するのはとても難しいのですが、一緒に音を出すことで、すべての文化が繋がってステージ上で昇華できる、そんな音になればいいなと思っています。


――3人はこれまでに共演経験もありますし、どんなアーティストであるかよくご存じであることも、本公演によい影響を与えそうですね

三浦 はい、そう感じます。曽根さんは、プロフィールなどでよく「二刀流」と紹介されていますが、私の中では「マルチ」という言葉が一番しっくりきます。目を閉じて演奏に耳を傾けると、ピアノであれトランペットであれ、あるいは作曲や編曲であっても「曽根麻央のスタイル」が必ず出ているんです。オリジナルでもカバーでも、すでに自分の世界を確立されているというのは、超一流の音楽家の証だと思います。そうした“ストイックなカリスマ”という表の顔とは別に、楽屋ではすごく気さくなんですよ。マニアックなくらいに好奇心旺盛なので、音楽だけでなくどんなことを尋ねてもすごく詳しく教えてくれます。本当に頼れる存在ですね。

曽根 (照れながら)ありがとうございます。僕は三浦さんのように、ボキャブラリー豊富に誰かを紹介できる自信はありませんが……、(浅野)祥さんをひとことで言うなら「最強の三味線奏者であり、歌も最高」ということです。ちょっとユニークな表現かもしれませんが、彼の歌の中にはブルースがあるというか、魂がこもっているんです。普段の祥さんはすごく探求心が強く、大学時代には民謡の田植え歌のテンポを測るために実際に田植えを経験したと聞き、とても驚きました。とことん深掘りをする姿勢が、今の素晴らしい音に繋がっているんだなと納得しましたね。あと、筋トレマニアです(笑)。

浅野 あはは。マニアックなところは、(曽根)麻央さんと似ているかもしれませんね。僕は、三浦さんと共演したとき、すごく「スターだな」と感じました。三浦一馬というバンドネオン奏者が音を鳴らした途端、世界観や空気がガラッと変わり、その曲の世界にグッと引き込んでくれるような音の深みがあるんです。僕からすれば、まるで聖母マリア様のような安心感のなかで一緒に演奏できるし、また、サッカー選手のロナウジーニョさんくらいに視野が広い。全然違う方向を見ているはずなのに、僕に正確なパスを出してくれるという感じがしました。耳のパラボラアンテナが360度に向いているんじゃないかと思わせるほど、立体的に音を感じながら音量バランスの調節をしたり、瞬発力も備えている方なので、一緒に奏でる僕も、その音に包み込まれるような感覚になれるんだと思います。

三浦 祥くん!!ありがとうございます。もうそれくらいで(汗・照れ)。


――皆さんの仲のよさと信頼関係が伝わってきました。曽根さんと浅野さんのユニット「MAOSHO」では、昨年米ニューヨーク公演を行うなど海外でも評判です。このプログラムも海外で歓迎されると思うのですが

曽根 そうだとしたらうれしいですね。個人的にはジャズのルーツであるアメリカにある、世界最高峰の音楽の殿堂「カーネギーホール」にみんなと一緒に立てたらうれしいなと思っています。あと、実は僕はシャンソンも好きなので(エディット・ピアフやイヴ・モンタンらが立った)仏・パリのオリンピア劇場で演奏できたらいいですね。

三浦 本当にそうですね。私はいま、特定の場所は浮かびませんが、このプログラム自体、国籍があるようでないようなものだなと感じています。ですから、どこへ持っていっても必ずや喜んでもらえるものにしたいという気持ちがより高まりますね。

浅野 はい。このプログラムは、実際にいろんな地域と関わりがあると思います。たとえば、ピアノのルーツはヨーロッパですし、バンドネオンが生まれたのはドイツで、そこから世界に広がっていきました。ジャズの起源はアメリカですし、三味線のもとをさかのぼっていくとシルクロードを経て中東まで行くことができます。そうしたゆかりのある場所で、このサウンドを鳴らした時、現地の方々がどういう反応をしてくれるのかすごく興味がありますね。


――では最後に、7月3日の公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします

曽根 本公演は、本当に初めての、いままで誰も味わったことのないような音楽の取り組みになると思います。僕はと言えば、この日のためだけに新しい曲を書き下ろし、祥さんが歌詞を書いてくれたりしていますし、三浦さんは新しいアレンジに力を尽くしてくださっています。本来は別々の音楽として鳴り、成立しているものが、今回初めて1つのラインで合流し響き合う……。今までなかった音楽的なミラクルが起こると思うので、ぜひその瞬間を逃さずに生で体験しに来ていただきたいですね。


取材・文/橘川有子

掲載開始日:2026年6月15日


「響ー祈りの四季ーCandlelight 日本とブエノスアイレスの四季」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]

【インタビュー】三浦一馬&曽根麻央&浅野祥
【インタビュー】三浦一馬&曽根麻央&浅野祥│響ー祈りの四季ーCandlelight 日本とブエノスアイレスの四季