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【リハーサル・レポート】Daiwa House PRESENTS 熊川哲也 K-BALLET TOKYO Spring Tour 2026『パリの炎』

K-BALLET TOKYO『パリの炎』 © K-BALLET TOKYO

【リハーサル・レポート】熊川哲也 K-BALLET TOKYO

昨年9月、熊川哲也の後を継いでK-BALLET TOKYOの芸術監督となった宮尾俊太郎。芸術監督として初めて手掛ける全幕プロダクション『パリの炎』は、フランス革命の激動の時代を描くスペクタクル・ロマン。
1932年に旧ソ連で初演された作品で、日本のバレエ団として初めての全幕上演となる。その公開リハーサルを見学した。


K-BALLETリハ

民衆蜂起の場面が加わり、若き日のナポレオン・ボナパルトが登場するといった新たな見どころをもつ宮尾版。この日まず公開されたのは、民衆蜂起の場面と、それに続く宮廷の場面。
マルセイユ義勇軍に参加するジャンヌ(岩井優花)、その恋人で義勇軍リーダーのフィリップ(山本雅也)、ジャンヌの兄のジェローム(石橋奨也)、若き日のナポレオン(山田博貴)らが登場、心かきたてる音楽にのって、男たちの怒りや女たちの苦しみが描かれていく。激しい思いを秘めた岩井ジャンヌのきりっとした存在感。山本フィリップの踊りのシャープさ。フランスの国歌で、もともとは革命歌であった「ラ・マルセイエーズ」が流れてくると、場面は宮廷へと転換。
民衆たちが農具や武器を手にしていたのに対し、貴族の女性たちは扇子を手にして男性たちと優雅に踊る。彼らのコミカルな振る舞いも描かれるのが、貴族たちの社会への風刺として効いている。
そして、マリー・アントワネット(日高世菜)とルイ16世(栗山廉)が堂々とした雰囲気で登場、民衆たちが戦うものの大きさを感じさせる。二つの世界のコントラストが見ものとなりそうだ。

※日高世菜の「高」の字は、(ハシゴダカ)が正式表記


マルセイユ義勇軍がパリ義勇軍と合流する第二幕冒頭。ロベスピエール役の遅沢佑介が登場、その長身からオーラを放つ。民衆たちの希望と晴れやかさとが、力強くダイナミックな踊りのうちに表現されていく。岩井ジャンヌは旗の振り方も勇ましく、肩と腕の表現が非常に強くて引き込まれる。ジェロームと、彼と身分違いの恋に落ちている貴族の娘アデリーヌ(島村彩)とのパ・ド・ドゥでは、心ひきさかれていくアデリーヌの悲痛な思いを、セリフが聞こえてくるような踊りのうちに島村がよく表現していた。
――そして、クライマックス。貴族たちは処刑され――。アデリーヌとジェロームの恋の行方は?革命のなりゆき、そしてフランスの未来は?
ナポレオンの描き方に、宮尾版ならではの特色を大いに感じた。それぞれの登場人物たちに見せ場が多く、K-BALLETの個性豊かなダンサーたちの魅力を楽しめる作品となりそうだ。


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リハーサル中、ダンサーたちの力強い動きに合わせ、自身も腕を激しく振るなど、作品に入り込んだ姿が印象的だった宮尾芸術監督が、リハーサル終了後、作品について説明。
これまでロシアで上演されてきたバージョンを踏まえ、有名なパ・ド・ドゥについては振付をそのままとし、史実を加えて描くことで革命の流れをわかりやすく提示する物語としたこと、そして、今回の作品は「悲劇」として提示するとの方針等が語られた。


日本には、フランス革命を描いた池田理代子の『ベルサイユのばら』という名作漫画があり、これを原作とした宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』はたびたび上演される大人気作品。フレンチ・ミュージカルの『1789-バスティーユの恋人たち-』も再演を繰り返すなど、フランス革命ものが観客に広く受け入れられているという土壌がある。
筆者も、来日公演での『パリの炎』の上演をはじめ、そういった作品を多く観てきたが、今回の宮尾版がどのようにこの題材を描いていくのか、本番の舞台が非常に楽しみとなる公開リハーサルだった。


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取材・文/藤本真由(舞台評論家)

撮影/堀貴文

掲載開始日/2026年5月19日



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(芸術監督・宮尾俊太郎によるシーンの解説や説明付き)
配信動画は、下記公演情報ページ内「関連動画」枠にて掲載中!!

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