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【インタビュー】三宅依子&新倉瞳│東京チェロアンサンブル

【インタビュー】三宅依子&新倉瞳│東京チェロアンサンブル

【インタビュー】三宅依子&新倉瞳

わが国を代表するチェリストが集まる「東京チェロアンサンブル」の第16回公演が、5月に開催される。2008年3月のデビューコンサート以来、定期的に開催を継続。国内外で活躍する同世代の名チェリスト達が長く共演を重ね、高水準のアンサンブル、気の置けない仲間たちによる愉しさ、そしてチェロという楽器の可能性と魅力を伝え続けている。同団を主宰する三宅依子とメンバーの新倉瞳がこのアンサンブルの魅力と活動への意気込みを語った。

東京チェロアンサンブル


三宅 2008年に結成して、今年で18年目になります。基本的には毎年コンサートを続けてきて、震災やコロナ禍等でずれた年もあり、今回が16回目になります。2024年には第15回を迎え、記念コンサートとツアー公演を開催させていただき、とてもたくさんのお客様にお越しいただきました。そして今回、気持ちを一新させてスタートし直すべく「RE:START」と銘打ちました。
結成のきっかけは、桐朋学園在学中にチェロアンサンブルの授業があり、楽しくワイワイとコンサート作りを行なっている中で、卒業しても続けたいという思いからです。その当時、学校で共演をしていたメンバーや、交流のあったチェリストたちに声をかけ、今回の10人を中心に活動が続いてきました。今年ついに全員40代になりました!

――いまや世界的ソリストや名門楽団の要職など、皆さん多忙だと思いますが、ここだけは毎年集まる場になっているのですね

新倉 私も東京チェロアンサンブルの第一回目の公演から参加しました。このアンサンブルが定期的に開催され始めてから、留学に行って抜けた回もありましたが、それでも固定メンバーとして考えてくれて常に戻る場を残してくれていました。

三宅 人数や編成も変化してきましたが、第10回からは自然な流れも手伝い「10人の固定メンバーでやっていこう」ということになりました。チェロ10人という編成は、チェロアンサンブルのオリジナル曲がなく、手探りでやってきましたが、10人で初めて演奏した時は、とてもしっくりきた感覚がありました。仕事を超えた関係で、同世代のメンバーと東京チェロアンサンブルの活動を続けられることは、とてもありがたいことです。

新倉 年齢的にもいわゆる中堅と言われる立場になってきていますが、ここに集まるとやっぱり仲間で友達で、信頼できるし、メンバーそれぞれが自分の良いところも弱点も受け入れてくれているので、安心してアンサンブルができます。

東京チェロアンサンブル

――多忙な人たちが年に 1回集まる、戻る場所のようになっているのは素敵ですね

新倉 時間をかけて寄り添う関係になれました。各自が違う活動をしておりますので、戸惑った時期もありましたが、集まると一年前までと変化することが面白く、それを楽しめるようにどんどんなってきました。

三宅 お客様がぜひ聴きたいと応援してくださったことが大きかったです。ここまで 18年間、変わらないメンバーで続けていることも、他にはあまりないと思います。幸いにも、この10人は「東京チェロアンサンブルが大好きで、みんなで集まりたい」という想いが一人ひとり強く、そのおかげで結束もより一層深まりました。

新倉 私たちは集まることが好きなので、話し合いをすることになっても、シリアスに話す時間もちゃんと取りますが、その後は大体楽しくご飯を食べて、その間にいい意見がまとまったりします。

三宅 なので反省会やプログラム会議を設けて、その度に誰かがいいお店を予約してくれます(笑)。食事や飲むことを理由に集まって、顔を合わせて話をするということが、やっぱり楽しい世代ではありますね。

――今回の曲目について。普段は映画音楽やミュージカルナンバーにも積極的ですが、今回はあえて王道で硬派なプログラムです

東京チェロアンサンブル

三宅 山田耕筰さんの歌を三善晃さんが合唱に編曲された作品を、特別にご許可をいただき、チェロ合奏編曲で演奏いたします。編曲のハーモニーがすばらしいですし、日本の曲を残していくことも、私たちの大切な活動の一つだと思っております。
チェリストだったフィッツェンハーゲン「コンチェルト風ワルツ」もとてもいい曲です。レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア第3曲」は、幾度となく桐朋学園で演奏してきましたが、今回は10人バージョンで新しい編曲になります。
ポッパー「レクイエム」はチェロアンサンブルにとっては王道の作品で、原曲はチェロ3人とオーケストラという編成ですが、今回は6重奏版でお届けします。
バッハの「シャコンヌ」は既存の編曲で4パートですが、これを10人でどう配分して弾くか。先日のリハーサルで音を出しましたが、ボリューム感もあり、とても素敵な響きでした。また今回は、事前に杉並公会堂でリハーサルができることになり、本番に向けて入念に準備ができることで、より一層皆様にお楽しみいただけるのではないかと思っております。

新倉 「シャコンヌ」はこれまで小編成では取り上げましたが、今回は満を持して10人で取り組みます。前回の15回記念を経て、今回は「リスタート」にふさわしい、原点回帰で王道のプログラムになりました。

――日本では「ベルリン・フィル12人のチェリストたち」をはじめ、チェロアンサンブルがとくに愛好されてきましたし、国内ではこの「東京チェロアンサンブル」がその先頭で活動をされてきたと思います

新倉 私たちの次の世代の人たちも東京チェロアンサンブルを知っていてくださっていることは嬉しいですね、チェロの合奏団体も増えているように感じます。本当にチェロを愛好してくださるお客様のおかげですね。コンサートが始まると、客席でいつものメンバーが見守ってくださってるのが見えるようになり、心温まります。

三宅 当団の会員様を募集して、今では1000人を超える皆様にご登録をいただきました。ローチケさんでの先行発売も驚くほどお求めいただき、ドキドキしながら本当にありがたいなと。


――杉並公会堂公演では新しい試みもあるそうですね

三宅 杉並公会堂さんは、地域の皆様にも人気のホールとお伺いしており、公演当日のゲネプロの見学会を、限定的(杉並区の皆様とスズキメソードさん)ではありますが、3歳から18歳まで(保護者を含む)を対象に開催する予定です。コンサート会場に足を運んでいただき、生の音を全身で感じて欲しいです。小さいお子様から中高生まで、本番を作っていくメンバーの生のやりとりを体感していただき、『音楽ってこんなに楽しいんだ!』と思ってもらえる機会になったらうれしいですね。初めての方は是非一度、東京チェロアンサンブルを聴いていただきたいです!

新倉 お話しをしていたら、早くリハーサルがしたくなりました!(笑)


取材・文/林昌英

掲載開始日/2026年5月11日


「東京チェロアンサンブル」公演情報│ローチケ[ローソンチケット]

【インタビュー】三宅依子&新倉瞳│東京チェロアンサンブル
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