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朗読劇「少年口伝隊一九四五」
原爆投下後のヒロシマ。新聞のかわりにニュースを伝えて歩く「口伝隊」の少年たちがいた――。
1945年8月6日朝、米軍機が投下した原爆によって広島は壊滅した。広島の比治山のふもとに住む国民学校6年生の英彦、正夫、勝利の少年3人はかろうじて生き残ったものの、そろって家族を失った。3人は、新聞を発行できなくなった中国新聞社が急きょ組織した口伝隊に雇われ、ニュースを口頭で市民たちに伝える。しかしニュースの内容を知って、少年たちは大人たちの変節ぶりに激しい怒りをおぼえる。また、アメリカが原爆の「効果」の調査団を送りこんでいると聞いて、英彦の頭の中はくやしさで煮えたぎる。9月になると、巨大台風、さらに山津波と高潮が広島を襲い、勝利は水害で命を落とす。正夫も原爆症で死去。15年後、英彦も原爆症のため、20代の若さで世を去る。「戦争」「災害」「放射能」の中で、懸命に生きようとした少年たちを描いた井上ひさしの朗読劇。
この朗読劇の原作者・井上ひさし氏がなくなって、七年になろうとしています。井上作品の面白さに魅了されて半世紀、いつかは映像をと思いながら時が経ってしまいました。この朗読劇を書くにあたって井上さんは「事実と事実の間にある人間の物語を書きたいと思うようになりました」と言ったそうです。井上さんは本当に人間の物語を書こうとしたのでしょうか?原爆、災害、放射能の中で生きる人間に、どんな物語があるのでしょうか?敢えて、私が薄っぺらな言葉を使います。原爆を語らずして私たち日本人は何を語れるのか?そして感情を持たない事実を、どう朗読で表現するのか?井上ひさし氏を師と仰ぐ私は、師がぶち当たった巨大なエネルギーに思いを馳せるだけなのです。(演出 保坂延彦)
作:井上ひさし(講談社 刊)
演出:保坂延彦
出演:林田麻里 石山蓮華 村松えり 國武綾 久田莉子 夏原諒
演奏:ギター 穂高政明 保坂真弓