生殖科学の発展により、卵子と精子を使わない受精の成功が報告されてからもうすぐ1世紀。
現在、「ベイビーラボ」と呼ばれる人工子宮施設が各地に作られ、
母体ではなく、透明なタマゴから新生児が誕生するのが当たり前になった。
人工子宮児が「コールドベイビー」と呼ばれ、忌み子として扱われていたのも遥か昔のこと。
法律と倫理観を整える為に、それはそれは途方も無い時間を費やしたことも若い世代は詳しくない。
俺もその一人。
俺を含め、友人のほとんどが人工子宮から生まれていて、
わざわざそんな確認を取り合う必要もないし、
互いの両親の性別にも特別な興味を持つことはなかった。
「出産児」である彼らに会うまでは。
母体から産まれた彼らは、特別な輝きを放っているように見えた。
家族に向ける愛、友人に、恋人に、その他様々なモノに向ける愛が、
俺らとは違っているように感じる。
子どもは「愛の結晶」と言われていたらしい。
彼らは紛れもなく「愛の結晶」だと思う。
だったら、俺たちはなんの結晶だろうと思うことがある。
自分に見合わない哲学を抱えながら、恋人に伝える。
ー子どもが欲しい。あなたを母体としてー
時代錯誤で、非合理的で、自己満足的な提案を受け入れてくれたあなたが、
今、隣の部屋で絶叫している。
何も出来ない俺は、ツギハギだらけのベンチで祈る。
爪が食い込むほど力一杯に握った無骨な結晶をおでこに当てて。
作・演出
春陽 漁介(劇団5454)
音楽
Shinichiro Ozawa
出演
森島 縁、榊 木並、窪田 道聡、及川 詩乃
(以上、劇団5454)
淺川 眞來、阿澄 佳奈、神田 莉緒香(ストロボミュージック)
岸田 百波、佐野 剛(江古田のガールズ)、高品 雄基、真辺 幸星
日程・会場
公演日 |
2023/11/10(金)~11/19日(日) |
会場 |
東京・赤坂 RED/THEATER |
■アフタートーク スケジュール
開催日 | 出演者 |
2023/11/11(土)18:00 |
岸田百波、神田莉緒香、及川詩乃、春陽漁介 |
2023/11/12(日)13:00 |
森島縁、榊木並、阿澄佳奈、春陽漁介 |
2023/11/15(水)14:00 |
真辺幸星、佐野剛、高品雄基、淺川眞來、窪田道聡、春陽漁介 |
2023/11/17(金)14:00 |
春陽漁介(アシスタント:及川詩乃) |
2023/11/19(日)13:00 |
キャスト全員、春陽漁介 |