【Story】
美大生時代に「天才じゃ天才じゃ」と言われた「佐藤」と、その友人のいたって凡人な「山田」。
ある日、佐藤が忽然と姿を消す。
「海外に修行に行った」「あまりの芸術性の高さに発狂した」などの憶測が飛び交い、時だけが過ぎた。
そして2年後のある日、突如山田は佐藤に呼び出される。
「会って、話したいことがある」
受話器越しのかすれた声に、不安にかられる山田。
約束の場所に着くとそこには変わり果てた佐藤の姿。
逃げ出したくなる山田を、佐藤の暗い瞳が捉えた。
才能を持つ者、持たざる者の間を
愛と打算がビュンビュン飛び交う、青春ラヴストーリー。
ハイバイ初期の若さと命をえぐりまくり傑作!
ハイバイ主宰 岩井秀人よりメッセージ
どうも、ハイバイの岩井です。
今回の上演も、ハイバイの代表作となります。
毎度毎度「代表作」って言ってますが、本当にそうなので、信じていただければと思います。
「そんなに代表作ばっかりっておかしいやろ」。わかります。でも本当にそうなのです。
なぜなら、ある時期からハイバイは、というか僕は、新作を書くのをやめて、すでに上演した優れた作品を何年間というスパンでブラッシュアップしていくことに決めたのです。
「て」
「夫婦」
「おとこたち」
「ヒッキー・カンクーントルネード」
「ヒッキー・ソトニデテミターノ」
そして今回の作品「投げられやすい石」です。
上の五つの作品との違いは、唯一、僕自身の現実での出来事をモデルにしていない、というところでしょうか。でも、僕の中では、当時(2008年)の僕自身の世界や未来や自分に対する怒りが、これ以上生々しく描かれているものはないと思います。
人生ってなんなんすか。芸術ってなんなんすか。命ってなんなんすか。
もう今では僕の中に熱を持てなくなってしまったこれらのことを、これまた何年もかけて選び抜いた若く才能豊かな俳優たちによって、もう一回お気楽に考えたいと思います。
WARE ハイバイ代表 岩井秀人