演劇
第6回カミナリフラッシュバックス『パンセク』

『知らなかったその言葉は、恋愛至上最強の言葉でした』
以前住んでいた家の近くに、薄暗いバーがあった。ある夜、そのバーの前を通りかかると
仕事を終えた従業員らしき女性が2人、店から出てきて外階段を使って2階の部屋に入って行った。
1階で働いて2階に住んでいるらしい。なんて狭い世界で生きているんだと思ったけど、羨ましかった。
早起きしなくていいし、満員電車に乗らなくていいし、傷つく心配もなさそうに見えた。
勇気を出して足を踏み入れてみると、自分の知らない女だらけの世界だった。
彼女たちは、凛としていてかっこよくて、明るくて、温かくて、やっぱり羨ましかった。
やがて、新しい人がやってきた。その人はパンセクと言った。知らない言葉だった。