演劇
『セールスマンの死』

『セールスマンの死』

チケット情報

『セールスマンの死』



長塚圭史がアメリカ現代演劇の旗手アーサー・ミラーの代表作に挑む!

コンスタントに新作の上演を続ける一方、自身が主宰する演劇ユニット・阿佐ヶ谷スパイダースでの活動、創作団体・葛河思潮社における三好十郎やハロルド・ピンターといった近代戯曲への取り組み、子供向けの演劇作品の創作など、劇作家・演出家として、意欲的な活動を続け、日本の演劇界の次代を担う演出家である長塚圭史。
2018年11月、『作者を探す六人の登場人物』(2017年)に続いてKAAT プロデュース作品第2作目に長塚が手掛けるのは、アーサー・ミラー作『セールスマンの死』です。本作は、主人公ウィリー・ローマンの死に至る最後の2日間を描き、1949年、ニューヨーク劇評家賞、ピューリッツァ賞を受賞し、テネシー・ウィリアムズとともにアメリカ現代演劇の旗手と呼ばれるアーサー・ミラーの地位を確立した彼の代表作です。
現代の日本・家族にも通じうる、競争社会の問題、親子の断絶、家庭の崩壊、若者の挫折感など、第二次世界大戦後に顕著になったアメリカ社会の影の部分を鋭くえぐった本作を、発表から半世紀以上を経た2018年、長塚演出で現代を生きる観客に問います。

実力派俳優が紡ぐ、家族の絆、普遍的な人間の姿

主人公ウィリー・ローマンには、40年以上にわたり舞台・映像の第一線で華のある実力派俳優として走り続ける風間杜夫。その妻リンダ・ローマンには、映像や舞台で活躍する片平なぎさ。主人公の長男ビフを演じるのは、舞台や映像で独特の存在感を示す山内圭哉。主人公の次男ハッピーは、小劇場からミュージカルまで話題の舞台作品に欠かせない個性派俳優、菅原永二が演じます。
主人公の上司ハワードには、阿佐ヶ谷スパイダースの伊達暁、ビフの友人バーナードを演じるのは劇団「拙者ムニエル」の看板俳優、加藤啓。バーナードの父で、ウィリーの友人チャーリーには、舞台・映像で渋い演技が光る大谷亮介。主人公の兄ベンは、昨年上演された『子午線の祀り』阿波民部重能での存在感が光る演技も記憶に新しい実力派俳優、村田雄浩が演じます。
日本演劇界を牽引する長塚圭史のもと、個性豊かな実力派キャストが集結する『セールスマンの死』に、ご期待ください!

アーサー・ミラー

翻訳

徐 賀世子

演出

長塚圭史

出演

風間杜夫 片平なぎさ 山内圭哉 菅原永二
伊達暁 加藤啓 ちすん 加治将樹
菊池明明 川添野愛 青谷優衣
大谷亮介 村田雄浩

公演スケジュール

11/3(土)~11/18(日) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホール
11/29(木)・11/30(金) 愛知・東海市芸術劇場 大ホール
12/8(土)・12/9(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

あらすじ

かつて敏腕サラリーマンであった主人公のウィリー・ローマンは、60歳を過ぎ、かつてのような精彩を欠き、家庭内の問題も抱えて、過去の思い出にすがっている。2人の息子たちも30歳を過ぎても自立できず、妻のリンダは夫を尊敬し献身的な愛をささげているが、自身をとりまくさまざまな問題に必死に耐えている。夢を叶えるにふさわしい仕事こそセールスマンであると信じてきたウィリーが、家族のため、そして自分のために選んだ道は・・・

 

稽古場写真

演出家・出演者コメント

長塚圭史(演出)

69年前に書かれたとは思えない、その現代性に驚かされるとともに、若い頃に読んだ時には主人公ウィリー・ローマンの物語だと思っていましたが、 この作品はウィリー最後の二日間にローマン家の家族それぞれの人生が凝縮された群像劇であり、まさしく家族劇の金字塔です。 「死」とは生きることそのもの。信じていたものが崩れる中でも必死に生きてきた、生きることにすさまじく向き合ってきたウィリーとその家族の姿を描きたい。 観る者だれしもが、この家族の物語に共感できる、全ての人の心を動かす作品だと思います。


風間杜夫(ウィリー・ローマン役)

達成できなかった夢を持つウィリー、親子の葛藤、男のプライドを色濃く出したい。 インターネットが発達し、親子、友人同士の会話も減り、人間と人間が生でぶつかりあう場が少なくなった現代、人と人が正面から向き合って、感情をぶつけ合う大切さを見てほしい。 自分が生まれた年に発表されたこの作品。自分の人生の様々な局面を思い出し、これまで生きてきた中での経験、記憶を引っ張り出して、実感を持って演じたいと思います。


片平なぎさ(妻/リンダ・ローマン役)

数十年間ともに歩んできたウィリーのよさをわかっているリンダ、その気持ちを思うと、リンダの夫に対する愛情の深さはよく理解できます。とても素敵な女性で、ある意味理想の妻ともいえるけれど、 夫の夢を妨げてしまったという負い目もある、複雑な心情を丁寧に演じたいと思います。 最初に読んだ時は、こんな気難しい夫にずっと愛情を注ぎ、献身的に尽くすのは難しいのでは、と思いましたが、風間さん演じるウィリーは可愛げがあってチャーミングで、風間さんのウ ィリーなら、心底愛し、妻として心を添わせることができます。