諏訪部順一 音声ガイドインタビュー
「世界遺産 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」
2019年で国立西洋美術館(東京・上野)は、開館60周年を迎えます。開館記念に伴ない、同美術館の本館を設計したル・コルビュジエの展覧会「世界遺産 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」が2/19(火)より開催されます。
近代建築の三大巨匠のひとりであるル・コルビュジエ。本展覧会では芸術の中心地パリで「ピュリスム(純粋主義)」の運動を推進した時代に焦点をあて、絵画、建築、都市計画、出版、インテリア・デザインなど多方面に渡った約10年間の活動を振り返ります。
本展覧会の音声ガイドは、声優・ナレーターの諏訪部順一さんが務めます。その音声ガイド収録を終えたばかりの諏訪部さんにお話を伺いました。
---音声ガイド収録お疲れ様でした。まずは収録の感想をお聞かせください。
ル・コルビュジエ氏のことは、近代建築の巨匠として存じ上げておりましたが、彼の画家としての一面や、ピュリスム(=純粋主義)との関わりについては深く知らなかったので、大変勉強になりました。建築家として名を馳せながらも、晩年まで絵を描きつづけていたという彼は、自分がイメージしていた人物像よりもはるかに芸術家肌の方だったようです。
----近代建築家であり、家具のデザインもされており、その道で知らない者はいないという人物ですが、ル・コルビュジエについてどういう人物だと感じましたか?
ル・コルビュジエ氏が手掛けた建築物からは、どのようにその空間を活用して欲しいのか、住まう人、滞在する人に対する明確な意図を感じます。デザインのために利便性を大きく損なうようなことがなく、その美しい造形は機能から派生して生まれたものという感じで。どういう思想からそういった作風が誕生したのか? もしかしたら、心の中にある「優しさ」のようなものが反映されているのかもしれませんね。
---諏訪部さんご自身とル・コルビュジエ。音声ガイドを通じて関わりや共通点などはありましたか?
家具にこだわっていた時期があるのですが、モダンなデザインといえば必ず「ル・コルビュジエ」の名前が登場します。今回の音声ガイドでも紹介している「LC4」と名付けられているシェーズ・ロング(長椅子)は特に有名で、ご存知の方も多いのではないでしょうか。そんなコルビュジエ・ブランドの家具、実は自分も二十年来愛用しているものがありまして。ガラスの天板と金属の脚部で構成されたシンプルながらインパクトあるデザインの「LC6」というダイニングテーブルです。一目惚れして購入しました。
デザインされた当時「モダン」と評されたデザインが、いまだに古びることなくスタイリッシュさを保ち続けているというのは凄いことですよね。本当にオシャレです。
今回の仕事を通じて、想像していた以上にル・コルビュジエ氏はアートというアプローチから様々な創作を行なっていたのだということを知りました。周囲からは建築家として見られていても、常に画家のモチベーションで絵を描き続けていた。心の芯にあるもの、自身の原点をブレずに持ち続けるその姿勢はとても共感できますね。
---展覧会の見どころを教えてください。
一番はこの展覧会の会場である国立西洋美術館の基本設計にル・コルビュジエ氏が関わっているということですね。当初、美術館として依頼されたにも関わらず、劇場をはじめ様々な要素の入った複合施設のデザインを送ってきて、発注した日本側の担当者を驚かせたそうですよ(笑)。
彼が携わった建物で、彼が携わった作品を観ることができる。なんというか非常に濃度の高い聖地巡礼といった感じですね(笑)。ある種、体感型の展覧会という趣もあるのではないでしょうか。
音声ガイドには、ボーナストラックとして国立西洋美術館のガイドをしている部分もあります。館内散策のお供としてもご活用いただけますよ。
---最後に「ル・コルビュジエ」を楽しみにしている方へ一言をお願いします。
大変貴重な展覧会ですので、より多くのみなさんにお越しいただきたいですね。自分が担当させていただいた音声ガイドをご活用いただけますと、展示品の概要をより深く知ることができます。雰囲気づくりの一助にもなるかと。どうぞよろしくお願いいたします。
開催概要
世界遺産 国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代
開催期間
2/19(火)~5/19(日)
開館時間
9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
※ただし、金曜・土曜は20:00まで開館
会場
国立西洋美術館 本館(東京・上野公園)
休館日
月曜日、2019/5/7(火)
※ただし3/25(月)、4/29(月・祝)、5/6(月・休)は開館
(文:工藤明日香/ローソンチケット)
【国立西洋美術館 周辺地図】