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『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』記者会見レポート

ダンスカンパニーDAZZLE 結成20周年記念公演
『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』記者会見レポート

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ストーリー性のある幻想的なステージでダンスファンだけでなく、演劇ファンをも虜にしてきたダンスカンパニーDAZZLEが、結成20周年を記念して待望の新作『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』を10/14(金)~23(日)に池袋・あうるすぽっとにて上演する。“人魚”をモチーフにしたこの新作は、上演ごとに観客がその場で物語の展開を選択できる“マルチエンディング”という試みに挑戦することでも大きな話題を集めそうだ。9月初旬、都内の某スタジオにて今作の製作発表記者会見が行われた。

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まずは会見前に作品世界を象徴する映像が流されたあと、DAZZLEが登場し、『鱗人輪舞』のパフォーマンスの一部を披露した。黒で揃えた衣裳に裸足というスタイルで踊る彼らは、流れる音楽のリズムと、時にはナレーションの言葉の内容に合わせたりもする振付がユニークで、男性のみのカンパニーならではの力強さに満ちている。8人それぞれビジュアル的に魅力がバラバラで個性的なのも面白く、それでいて合わせるところはスタイリッシュにピタッと完璧に合わせてくるところが気持ちいい。

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約10分間にわたるパフォーマンスには、ここが記者会見場であることを忘れるほどの熱い拍手が送られ、一旦退場したメンバーはお揃いの上着を着て改めて登場。それぞれ、20周年に向けての気持ちと、今後の抱負を語った。各自のコメントは以下の通り。

■長谷川達也
「1996年に結成して以降、独自性こそが一番重要だと思って取り組んできたのですが、そのおかげでDAZZLEは注目されるようになったと同時に、ダンスシーンからは少し批判されるようなこともありました。でも僕たちは自分たちの表現を信じてずっと続けてきて、だからこそ僕らのダンスがアートとして、エンターテインメントとして、または舞台として面白いのかどうかというところに意識が向くようになってきたんだと思っています。」

■宮川一彦
「20年間を振り返ると長く感じる時もあれば、あっという間だった気もして、不思議な感覚です。この20年でお客様を含めいろいろな方に出会えたこと、そこで経験できたこと、そしてここまでやってこられたのも、今いるメンバーと僕たちを支えてくださるスタッフやお客様のおかげで、本当にありがたく思っています。まずはこの20周年記念公演を無事にケガなく成功させ、その先にある未来にも、新たなDAZZLEとして存在していけるよう、ずっと踊り狂っていけたらと思っております。」

■金田健宏
「20周年を迎えてひとつ強く思うのは、こうして仲間たちと共に歩んできたことをすごく誇りに思っている、ということです。この20年間で作り上げてきた作品、振付としての人間の動きや身体の形、僕たちの熱意、魂などいろいろ込めて、この新作の『鱗人輪舞』ですべてを見せたいです。今後も変わらずに自分たちの表現を信じて、仲間と共にこれからの人生、DAZZLEとして歩んでいけたら素晴らしいだろうなと思っています。」

■荒井信治
「この20年間、DAZZLEは僕の人生をすごく豊かにしてくれました。DAZZLEで踊り、演じるということは、学生の頃から20年経った今でも変わらずにすごく楽しくて、すごく幸せです。今回の『鱗人輪舞』でもそうですが、これまでは作品を残すことでDAZZLEのDNA、遺伝子を世に残そうとしてきました。これからは20年かけて築いてきたDAZZLEのスタイルや想いなどを、積極的に下の世代にも伝えていけたらなと思っています。」

■飯塚浩一郎
「DAZZLE20周年という瞬間に、自分がダンスを踊り続けて来られたということが、もうとにかく幸せで、ありがたいと思っています。DAZZLEをやっていたおかげで、普通の生活をしていたら行けない場所に行けたり、会えない方にお会いできたりしました。『鱗人輪舞』の稽古では、積み重ねてきたこの20年がなければ絶対にできない作品だな、ということをつくづく感じています。まずはこの『鱗人輪舞』を成功させ、この先もさらなる高みを目指してがんばっていきたいです。」

■南雲篤史
「おそらくこのメンバーで過ごす時間というのは、僕が人生の中で両親と過ごす時間よりも長いと思います。それだけ大切にしたい仲間たちと巡り合うことができ、このメンバーで20周年を迎えることができて本当に幸せです。これからも僕たち、力を合わせて良い作品を作り続けて、DAZZLEの素晴らしさをたくさんの人たちに伝えていきたいです。」

■渡邉勇樹
「僕自身は初期メンバーではなく途中加入なんですけれども、この20周年という時期にメンバーとしていられることをすごく幸せに感じています。これまで引っ張ってきてくれた先輩方と踊っていくということに責任を感じつつ、今後の活動に力を注ぎたいと思っております。国内はもちろん、海外でもDAZZLEを知らない人がいないくらいの団体にしたいというのが夢なので、今後もみんなで力を合わせてがんばっていきます。」

■高田秀文
「僕も途中加入ですが、20周年というこのタイミングで、このメンバーといられることがすごく嬉しいです。今回の『鱗人輪舞』は映画を観る感覚で来ていただきたいのですが、映画やテレビではひとつの画面、同じ角度でしか観られません。でも舞台公演にはそれぞれの席からの角度で見え方が違い、その回ごとでも違うものが観られるはずです。プラスして今回はマルチエンディングでふた通りのパターンが用意されていますし、見え方、捉え方はお客様次第で何十通りもあると思うので、その点もぜひ楽しんでいただきたいです。」

 

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さらに近年作品づくりを共にしているという、元新体操選手で数多くのドラマやアニメの音楽も手掛けている作曲家の林ゆうきもゲストとして登場。「僕も映画とかアニメとかドラマとかいろいろやらせていただいていますが、(長谷川)達也さんほど具体的に頭の中に音が鳴っているプロデューサーさんや監督さんはいないと思います。その達也さんの頭の中にある音を掘り出すという、針の穴を通すような修行のようなことをいつもしている感じです。映像と音楽が一体となる瞬間というものがあって、それは0コンマ1秒ズレるだけでも成立しない奇跡の瞬間なんですが、発注していただいた音楽で踊る達也さんの姿を観る時はそういう瞬間が無数に感じられるので、まさに作曲家冥利に尽きます」とコメントを寄せた。

加えて今回の新作『鱗人輪舞』について、長谷川は「いつも思うのは最高の作品を作りたいということで、今年は20周年なので特に不朽の名作と呼ばれる作品を目指そうと思い、不朽とか永遠といったテーマのキャラクターという意味で“人魚”を登場させることにしました。それでタイトルも、人魚を連想させる“鱗人”が“輪舞”、ロンドを踊るということで『鱗人輪舞』にしたわけです。輪舞という言葉には輪になるとか繰り返すという意味合いもあるので、千年を生きる人魚が運命を繰り返し、人が輪廻するのを目の当たりにすると言った意味合いもこめています」と語った。 さらに注目のマルチエンディング方式に関しては、今回のテーマのひとつでもある「決断をする」ということを観客にも体験してほしくて採用したとのこと。「何かを手にするためには何かを失わなければいけない。つまりある結末を選ぶと、もう片方の結末は観ることができなくなります。現代は、重要な決断をした人を無責任に叩いたり、傷つくのを怖れて夢を持てなくなったり、そういった“決断をする”ということを否定する風潮が少しあるように思うんです。なので、ぜひ今回の観客のみなさんには物語の一員になっていただき、自分たちの未来は他人に委ねずに自ら選んでみてほしいんです。この作品にはその他にも主人公が獲得していく信頼や愛情の大切さ、人間の尊厳、命の尊さ、いろいろなメッセージが込められています。DAZZLEの作品にはたとえば残酷な表現があったり、強い喪失感を得るようなシーンもあったりしますが、そういった負の感情も、日常の小さな幸せに気づくきっかけになるかもしれませんよね。そうしていろいろな感情を味わうことが人の心を豊かにすることだとも思っているので、ぜひ『鱗人輪舞』を観ていただき、何か心に灯るものを見つけて心を豊かにしていただけたらと思います(長谷川)」。

最後に長谷川は、先日のリオオリンピック閉会式のパフォーマンスに感動したということも語り「2020年には東京オリンピックが開催されます。オリンピックというのは全世界の人が注目する夢の舞台ですから、僕たちDAZZLEもダンサー、パフォーマー、アーティストとしてその素晴らしい舞台でパフォーマンスができたら、また演出の一部に携わることができたらと思っています。そのためには日本を代表するダンスグループにならなければならないので、道は険しいかもしれませんがそこを目指していきたいと考えています。そして僕たちが目指すダンス表現の可能性をもっと広げていき、アートとしてもエンターテインメントとしても、ダンスが優れた文化であるということを自分たちの人生を賭けて証明していきたいと思います!」と力強く宣言した。

おそらく、他では決して観られない刺激的なパフォーマンスが味わえるはずのDUZZLEのステージ。観客参加型のマルチエンディング方式をどういうスタイルで決行するのかも、とても気になるところだ。興味が湧いた方は20周年をお祝いする気持ちで、彼らの綴る物語に参加してみてはいかがだろうか。

取材・文/田中里津子

【公演情報】
ダンスカンパニーDAZZLE 結成20周年記念公演
『鱗人輪舞(リンド・ロンド)』
日程・会場:
2016/10/14(金)~23(日) あうるすぽっと

 

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