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三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2017 観戦レポート

三菱電機 WORLD CHALLENGE CUP 2017 観戦レポート

チケット情報

車いすバスケ 三菱電機WCCレポート

障がい者スポーツの花形として注目を集めている車いすバスケットボール。今回、8月31日(木)からの3日間にわたり東京体育館で開催された「三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2017」の最終日の模様をレポートします。この機会に車いすバスケット魅力を知り、2020年東京パラリンピックに向けて強化を図る日本代表チームを応援するきっかけになればと思います。

 

<車いすバスケットボールとは?>

高難度のシュートと、激しいポジション争いが魅力

1960年のローマパラリンピックから競技が行われており、パラリンピックの人気スポーツである車いすバスケットボール。その名の通り、車いすに乗って行うバスケットボールで、コートの広さ、ゴールの高さ、「5人対5人」の試合人数、「1ピリオド10分×4ピリオド」の競技時間など、一部を除いてルールは通常のバスケットボールとほぼ同じです。

 

各選手は障がいの重さによって1.0~4.5の持ち点が付与され、コート上でプレーできる5選手の合計が14.0以内でなくてはなりません。

[持ち点と障がいの度合いの目安]

各選手の持ち点は、車いす後方のマークでわかるようになっています。

持ち点

目安

1.0-1.5

腹筋、背筋が機能せず、座位バランスをとることができない

2.0-2.5

腹筋、背筋がある程度機能しており、前傾の姿勢がとれる

3.0-3.5

下肢にわずかな筋力があり、深い前傾姿勢から早く上体を起こすことができる

4.0-4.5

両手を上げて、片方向に(4.5は両方向に)車いすを大きく傾けることができる

参照:車いすバスケットボールのルール(公式)

 

ゴールの高さが同じということは、通常のバスケットと比べてかなり低い位置からシュートを打つため、より精度を高く、より強くシュートを打たなくてはなりません。そのため、難しい体勢からでも、美しく放物線を描いてスパっとシュートが決まる瞬間は爽快な気分になるはずです。

 

加えて、車いすは細かく鋭く旋回ができるよう八の字にタイヤが付いた競技専用のもの。車幅があるため、試合中のポジション取りは非常に重要になっています。そのため、ボールがない所で激しくぶつかり合うディフェンスも、車いすバスケットだからこその魅力であり、ぜひ注目してみて欲しいと思います。

 

 

<大会レポート>日本代表は実り多き3位!充実の大会に

『三菱電機WORLD CHALLENGE CUP 2017』は2020年東京オリンピックへの強化に加え、競技普及のために新設された大会です。初開催の今年は、オーストラリア、イギリス、トルコを招いて開催。初日及び2日目の結果、最終日に決勝戦・オーストラリア代表vsイギリス代表、3位決定戦・日本代表vsトルコ代表が行われました。

 

先に行われた決勝戦では、パラリンピックや世界選手権で優勝経験もある強豪国・オーストラリアがイギリスと対戦。

 

 

高身長の選手が繰り出すパワフルな攻撃で序盤から得点を積み重ねる展開に。イギリスも粘るものの、その強さをいかんなく発揮する相手を崩すことができず、76-54でオーストラリアが勝利。見事に優勝を果たしました。

 

 

日本代表も初日にオーストラリアと対戦し、惜しくも1点差で負けはしたものの、試合終盤まではリードを奪い優勢に進めていました。決して超えられない壁ではありません。

続いて行われた3位決定戦では、日本代表が登場。相手は、昨年のリオパラリンピックの初戦で敗れて悔しい思いをしたトルコ代表です。

 

両チームとも若手を中心に起用した試合序盤は、トルコの高さを生かした攻撃に苦戦して連続失点。日本も反撃を仕掛けるもなかなかシュートがリングに弾かれるシーンが続き、リードを許してしまいます。

 

ところが、この日はベンチスタートとなったエースの藤本怜央選手(背番号:13)が出場すると流れは一変。経験豊富な藤本選手は決定力の高さを見せて連続得点を奪います。第1ピリオドだけで12得点を奪い、流れを引き戻しました。

 

 

これで勢いに乗った日本は、第2ピリオドから徐々にトルコを突き放しにかかります。特に21歳の若手・古澤拓也選手(背番号:7)は2本の3ポイントシュートなど次々とゴールを決め、結果的に藤本選手と並ぶチーム最多の14得点を記録。終盤になっても攻撃の手を緩めない日本はリードを保ったまま試合を優位に進め、75-39で勝利して大会を終えました。

 

試合後、藤本選手は「リオパラリンピックのときよりも、確実に日本は強くなっていることを証明できたと思います」と、キャプテンの豊島英選手(背番号:2)も「まだまだ発展途上なので、ここで学んだ経験を活かして、一つひとつ課題を見つけながら取り組んでいきたい」と話しました。

 

 

最後に及川晋平ヘッドコーチも、「目指しているものが世界に通用するようになってきたと実感しました。東京パラリンピックまでの3年間、何をどれだけやればいいかが見えたのも大きな収穫。多くのファンの皆さんに支えられて、いい試合ができたのは大きな自信になったと思います」と大会を振り返りました。

 

日本代表はパラリンピックに11大会連続12回出場し、最高は6位。3年後にその壁を越えてメダルを獲得するため、今大会は大きな一歩となったようです。

<試合以外のイベントの模様>一緒に参加して楽しめるイベントが盛りだくさん!

障がい者スポーツの普及も目的である今大会は、試合以外にも来場者が楽しめるイベントが満載でした。まず、最新のVR技術を使って、ヴァーチャル空間で選手と一緒に車いすバスケットを体験できるブースを設置。

 

さらに、ユニフォームを着て記念撮影ができるスポットも。SNSと連動し、オリジナルグッズをゲットできる企画も開催しました。

 

また、実際に車いすに乗ってプレーできる体験会も実施。子供から大人までたくさんの方が参加し、競技専用車いすの操作に苦戦しながらも、普段は経験できないバスケットボールを楽しんでいました。

 

 

そして、試合の間には今大会の応援団である遠藤章造さん(ココリコ)、ケンドーコバヤシさん、カナリヤ(安達健太郎・ボン溝黒)、御茶ノ水男子(おもしろ佐藤・しいはしジャスタウェイ)らが、U-23日本代表の丸山弘毅選手、熊谷悟選手、田中秀弥選手とともにスペシャルイベントを開催。

 

 

フリースロー対決や、一般来場者も参加してのリレー対決、最後は車いすで実際に試合を行い、会場を盛り上げました。遠藤さんはイベント後、「実際に一度見てもらえれば、すごいスポーツだというのがわかると思います。東京オリンピックのときにはこの会場が満員になるよう、応援団として盛り上げていきたいと思います」と意気込みを語りました。

 

 

今大会は3日間合わせて7000人以上の方が来場し、たくさんの声援を送りました。ひとつのスポーツとして、魅力あふれるものであることをその数が証明しています。来年に行われる世界選手権に向けた予選を兼ねる「アジア・オセアニア選手権」や、国内各地で活動するクラブが日本一の座を争う日本選手権(毎年ゴールデンウィーク頃に開催)など、国内で車いすバスケットを観戦する機会はこれからもたくさんあります。

 

ぜひ一度会場に足を運び、その魅力を感じていただきたいと思います。

 

取材・文/木村 雄大

撮影/神田 勲

 

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