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魅惑の演劇アンダーワールド

演劇のカリスマ!大王[後藤ひろひと]の魅惑の演劇アンダーワールド

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第31回 すべての責任は演劇そのものにある

ちょいと仕事の空く期間があると、全国を巡りながらワークショップを開催してきた。世間に広まる演劇論とはかなりのズレを持つ私独自の演劇理論だが、私は迷いなくそれを説いて廻った。「舞台の上で輝く俳優は日常の全てにおいて遊び上手である」というのが根本理論だ。なにしろポータブル・ゲームに熱中する人も野球やゴルフに興じる人も舞台の上に立って演技する人もすべて英語にすれば同じ「PLAYER」なのだから。悩んで苦しんで自分を追いつめて演じる俳優は“鬼気迫る演技”という言葉で賞賛されるが「素敵だなぁ! 私もストーリーの中に入ってみたいなぁ!」とは決して思わせない。日常生活で悩んで苦しんで追いつめられている人がほんの数時間だけ現実を忘れようと観劇に来たとしたら“鬼気迫る演技”など迷惑なだけだ。悪役だろうが病に伏す役だろうが、他人になっている事を心から楽しんでいられる俳優こそがエンターテインメントを牽引できる存在だと私は信じている。そんな「GOOD PLAYER」となる基本は“なんでもない事を楽しめる”というゆとりある心であろう。私のワークショップはその子供心にも似たものを引き出す実験を何日もかけていくつもいくつも行う。そのため全日程を終えると、受講者にはかなりの後遺症が残る。毎日つらいと思っていた事がなんだか面白い事のように思えはじめるからだ。世の中の全てが楽しく思えてしまうからだ。しかしそんな思考で生活している者ほど魅力的な存在はいない。人間として最大の賛辞である「あなたとずっと一緒にいたい!」という言葉を受ける事となる。

ところがだ。

先日一人の受講生が田舎の親から無理矢理実家に呼び戻されてしまった。通っていた大学も退学させられ強制退去的に連れ戻された。どうやら親は自分の子供が急激に変わって行くのを恐ろしく思ってしまったらしい。しかもその原因となるものが“演劇ワークショップ”であった事が更に親を激怒させてしまったようなのだ。

このコラムを読んでくれている人は皆“なぜ?”と思ってくれるのだろう。しかしこれが現実だ。“演劇”があまり盛んに行われていない土地では今でも“演劇”が反社会結社と考えられ恐れられている。“演劇”に関わる者は皆“おかしな集団の一員”と見なされ、自分の身内が“演劇”に没頭する事を“洗脳された”と考えてしまう。

たいそう悔しい現実なのだが、この出来事にもしも責任を取るべき“何か”もしくは“誰か”が存在するとしたら、それは“演劇”そのものだ。「演劇は恐ろしい物なんかじゃないよ。とっても楽しい物だよ。とっても夢のある物だよ」伝えたいのはそんな簡単なメッセージなのに、それを伝える“演劇”があまりにも少な過ぎたのだ。

残念ながらこの連載も今回が最終回となる。最後に私が全ての演劇人に伝えたい事は以下だ。
「うちの子供にも演劇をやらせたい!」そう思わせる作品を作ってください!

大王の今月のひとこま

昨年は実によくサッカーの試合を見に行った。私は大阪に住んでおり、もっとも多く観戦したのはセレッソ大阪の試合だった。ありがたい事にどの試合もセレッソ大阪関係者から招待状を頂戴して観戦していたのだが、時にはセレッソ大阪ではなくその相手チームを応援したい時もあった。大阪に20年以上住んではいるものの私の生まれは東北なのだ。そのためある時期からセレッソ大阪が東北のチームと対戦する時だけは招待状をお断りし、近所のローソンに出かけてLoppiでチケットを購入するようになった。しかも一番安いゴール裏の椅子もない立ち見チケットだ。この楽しさにはすっかりやられた。それが楽しくて何度も何度もローソンに走った。今年もきっとそれをやってしまうのだろう。

プロフィール

ゴトウヒロヒト

通称"大王"。脚本家・演出家・俳優。 '87年遊気舎に入団。'89〜'96年の退団まで二代目座長として活躍。 '98年に川下大洋と「Piper」を結成。Piper以外でも、パルコプロデュースやG2プロデュースなど数多くの舞台で脚本や演出を手がけている。他にも劇作に限らず、TV・映画など多岐にわたってマルチな才能を遺憾なく発揮している。その描き出す不可思議で魅力溢れる世界と、それに負けない個性的なヴィジュアルと怪演で演劇界でカリスマ的人気を誇る。
Piperの公式サイトでは、公演情報、稽古レポート、Piperメンバーのコラムなどを突発的に配信するサービス「週刊Piper」への入会を受付中!(入会無料) 

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『王立新喜劇 コーポからほり303』
作・演出
後藤ひろひと
出演
内場勝則、未知やすえ、末成由美、山田花子、
安尾信乃助、池乃めだか、石野真子、
石丸謙二郎ほか
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発売日:発売中
販売元:よしもとアール・アンド・シー
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『王立劇場vol.7 王立新喜劇 続・コーポからほり303 〜今日も危険な上町台地〜』
作・演出
後藤ひろひと
出演
内場勝則、未知やすえ、山田花子、末成由美、
安尾信乃助、すっちー、池乃めだか、
水野真紀、中山エミリ、後藤ひろひと、
川田利明
DATA
発売日:発売中
販売元:よしもとアール・アンド・シー
価格 :¥4,000(税込)

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『恐竜と隣人のポルカ』
作・演出
後藤ひろひと
出演
寺脇康文、手塚とおる、水野真紀、森本亮治、
大和田美帆/竹内都子、後藤ひろひと、
兵動大樹/石野真子
DATA
発売日:発売中
販売元:パルコ
価格 :¥6,300(税込)

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『後藤ひろひと大王集 Ver.1』
後藤ひろひと
DATA
発売日:発売中
出版社:白夜書房
価格 :¥2,200(税込)

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