「五輪金メダルへ向けて
鬼気迫る気持ちで臨みたい」
'03年の就任以来、「五輪で金メダルを獲る」と公言し着実な強化を果たしてきた柳本監督。北京五輪の切符をかけた世界最終予選(OQT)と、五輪前哨戦・ワールドグランプリを目前にした今の心中と両大会への抱負を伺った。
日の丸の重みを胸に、OQTで絶対に五輪切符を獲る
●いよいよOQTが始まりますね。
我々は各大会で勝利を目指し、常に全力で勝負をかけています。でも、この大会は他の国際大会とは、また違いますね。ここを通過しなければ、五輪でメダルを獲るために8年かかるわけですから。本当に日の丸の重さを感じます。レベルが高い大会ほど、ほんの一瞬、たった一本のミスが勝利を逃す要因になる。その恐さが違いますよ。
●初戦のポーランドは'07年のワールドカップで大接戦。ライバルの韓国もいます。
よく世界ランキングで日本と接近しているセルビアやポーランド戦、毎回、異様な雰囲気に包まれる韓国戦が重要だと言われます。でも、Vリーグではドミニカの2選手やカザフスタンのエースが活躍していて、日本の手の内を知っているわけです。タイも侮れない。どのチームもマークする必要がありますよ。
●でも、4年前のアテネ五輪の世界最終予選は1位で通過しました。
確かに(1位で)カッコよく五輪へ行きたい。でも、僕は4番目の切符でもいいと思っている。それくらい厳しい戦いになると思います。毎試合、どれだけ鬼気迫るような気迫や集中力を出せるか、メンタルの部分が大事になってくると思います。
ワールドグランプリでは、五輪への手応えを掴みたい
●7月には横浜で決勝ラウンドがあるワールドグランプリを戦います。
この大会は五輪の前哨戦になるでしょう。決勝に残る日本以外の5チームは、恐らく北京五輪でメダルにからむチームですよ。
●五輪に向けて新しい選手の起用は?
OQT後に登録選手を3名変更できるので、OQTのメンバーがすべてではないと言えます。メンバーを代える中で、予選ではいかに中身のある戦い方をするか。その上で、決勝では五輪への手応えを得られる戦いをしなければいけないですね。
●まずはOQTから五輪金メダルの夢へ。期待しています。
全日本女子バレーは、ケガをしたり外されたりと選手1人1人がドラマを持っているんです。その個々が集大成となる時に、大きなうねりやムーブメントが起きてくると思います。大いに期待してください。
インタビュー・文●櫻井徹也 撮影●岩本浩伸
「バレー人生を賭けて北京の切符を勝ち取ります」
'92年のバルセロナ大会以来、4大会ぶりの五輪出場を目指す全日本男子チームを指揮するのは、最後の五輪主将でもある植田監督。バレー人生の集大成として悲願達成を狙う指揮官に、今の心境と予選突破のポイントを聞いた。
絶対に負けは許されない!開幕のイタリア戦が重要
●まずは今の心境を聞かせてください。
ナショナルチームは負けは許されません。ましてや、全日本男子は3大会続けて五輪出場を逃しているわけで、北京にはなんとしても出場しなければならない。そのために、自分のバレー人生のすべてを賭けて死にものぐるいで戦う覚悟です。
●すでに組み合わせも決まっています。初戦の相手はイタリアですね。
この開幕戦がとても重要です。昨年11月のワールドカップでは、初戦のチュニジア戦で2セットを先取しながら逆転負けを喫し、そのショックを最後まで引きずったことが低迷の要因でした。同じ轍を踏むわけ
にはいきません。イタリアは世界ランキングこそ10位と日本(12位)より上ですが、昨年の対戦成績は2勝2敗で五分。力の差はほとんどありません。まずはイタリア戦に向けて、相手メンバーなどを考慮しながら戦略を立てていきます。
細かい技術や連係プレーは世界相手でも十分通用する
●キーマンを挙げていただけますか?
もちろん全選手が自分の役割を果たすことが重要ですが、あえて挙げるなら山本隆弘、越川 優、山村宏太。期待するというのではなく、やってもらわなくては困る。注目という意味では、清水邦広と福沢達哉。2人ともまだ大学生ですが、こういう若い選手が活躍するとチームに勢いが出ますし、実際に活躍できるだけの力を持っている。大舞台で発揮してもらいたいですね。
●世界と戦う上で日本の武器は?
パワーや高さでは劣るかもしれませんが、技術や連携は世界のトップクラス相手でも十分に通用します。もともと日本人は細かい作業が得意じゃないですか。そういう部分の正確性を高めて、細かいプレーでしつこく勝つ。それが日本のバレーですね。
●最後に読者のみなさんへメッセージを。
バレーボールは、子どもから大人まで幅広い層の人たちが楽しんでいるスポーツ。そういう人たちの夢をすべて背負って、我々はコートに立っています。厳しい戦いになると思いますが、北京行きの切符を勝ち取るために全力で戦いますので、みなさんの声援で後押ししてください。
インタビュー・文●福田智生(BUDDY) 撮影●井上洋平
柳本昌一:ヤナギモトショウイチ
'51年大阪府生まれ。'70年に大商大附属高校から帝人三原に入団、翌年新日鐵(現・堺ブレイザーズ)へ。セッターとして'76年モントリオール五輪に出場。'82年には選手兼監督として日本リーグ優勝を経験。選手を引退後、タイ男子ナショナルチーム、全日本ジュニア男子チーム監督を経て、'03年2月全日本女子チーム監督に就任。チームを立て直し、'04年アテネ五輪で5位に導く。
植田辰哉:ウエタタツヤ
'64年香川県生まれ。大阪商業大学を経て、 新日鐵(現・堺ブレイザーズ)に入団。主力選 手として活躍する。ポジションはセンター。'92
年のバルセロナ五輪には全日本キャプテン として出場し、チームを6位入賞に導く。現役 引退後は、新日鐵監督、全日本ジュニア男子 チーム監督などを歴任。'04年に全日本男子
の監督に就任した。