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インタビュー

美少女ヒロインを得て、伝説的な名作を7年ぶりに再々演
 “家族愛”をドラマティックかつ感動的に描いた、演劇集団キャラメルボックスの代表作とも言われている作品『カレッジ・オブ・ザ・ウインド』。1992年に初演後、2000年に再演したものの、その後再々演を望む声が多い作品にも関わらず「今はヒロイン・ほしみを演じられる女優がいないから」という作・演出担当の成井豊の一言で、なかなか実現に至らなかったという伝説的な舞台でもある。この名作が、7年ぶりに帰ってくることになった。今回、ヒロインを演じるのは“美少女クラブ31”のメンバーでもある高部あい。この舞台が初舞台となる、可憐な魅力抜群の彼女と、成井に再々演のいきさつなどを聞いた。

稽古でどれだけ役に近づけるか楽しみ(高部)

 

●久しぶりにこの作品を再演しようと思ったのは、高部さんとの出会いがあったからだということでしたが。高部さんのどういうところに魅かれたんでしょうか?


成井
「ちょうど1年前、僕が脚本を書いていたドラマ『てるてるあした』に高部さんが出られていまして。そうしたら僕と一緒に脚本を書いている真柴あずきが“『カレッジ〜』のほしみ役に高部さんがピッタリなんじゃないか”と言い出したんです。それで僕もスタジオの見学に行き、実際にご挨拶したり、収録の風景を見てみたら、真柴の意見にすごく納得できたんですよ。さらにプロデューサーさんたちにも、彼女はものすごく評判が良くて」

●スタッフさんたちにも好かれる人柄、というのも重要なポイントだったんですね。


成井
「そうなんです。それで、高部さんがほしみを演じてくれるのなら、もう一度『カレッジ〜』をやってもいいんじゃないか、と思ったんです」

●高部さんはそれをお聞きになって、どう思われました?


高部
「あの現場で、自分のことをそういうふうに見てくれていたなんて、私はずっと知らなくて。お聞きしたのは、つい最近の話なんですよ。“出会いってすごいなぁ”って思いましたし、すごくうれしかったです」

●高部さんは今回、初舞台ですよね。プレッシャーは?


高部
「すごく、あります。今から公演のことを考えると、胃が痛くなるくらい。でも、不安にばかり思っていてもなにも変わらないから“絶対大丈夫!”って思うようにはしています」

●本番に向けて楽しみにしていることは。


高部
「1ヵ月間の稽古でどれだけほしみちゃんに近づけるかというか、なりきれるか。そのことを、自分自身でも楽しみにしています」

●みなさんから合っているといわれているほしみという役柄と、ご自分との共通点は?


高部
「いえ、それが私、合っているって言われても“いったい、どこらへんだろう?”って不思議に思っちゃったんですけど(笑)。だってほしみちゃんは、ちゃんと自分の考えを持ってしっかり行動しているし、まわりのことをすごく見ているし。でも私はどっちかっていうと、すぐに自分の世界に入っちゃうタイプなんです」
     
成井 「ほぉ〜、そうなんだ! 僕からは年齢のわりにしっかりしていて、芯が強くて知的な感じに見えたんだけどな。違うの?(笑)」
     
高部 「ふふふ、じゃ、言わないほうが良かったかな(笑)」



“家族の無償の愛”を感じてほしい(成井)

 

●お客さんには、今回の再々演の舞台を通じてどういうことを感じてもらいたいですか?


成井
「テーマが“家族”ですし、クサイ言い方になっちゃいますけど、“風”っていう言葉で象徴している、無償の愛情ですね。それって、不変的なことだと思うんです。時代がどんなに変わって、科学や文明が発達していっても、結局煎じ詰めると人は一人ではさびしくて生きていけない。そういう時にそばにいる人間って非常に大事なんです。理想的な恋人を探すのもいいけど、あなたのことを無償に愛してくれるのは、まずは家族なんじゃないの?って思うんですね」

●現代にも通じるというか、今でこそ観てもらいたいテーマですね。


成井
「はい、そう思います。家族崩壊や児童虐待が起こったり、ドメスティックバイオレンスがあったりする今だからこそ、です。」

●高部さんからもお客様にお誘いのメッセージをお願いします。


高部
「まだ不安もあるんですけど、“ほしみ役が高部あいで良かった”って思っていただけるように、稽古を毎日死ぬ気でがんばります。ほしみの役作りだけではなく、体力的な面でも成長しなければいけないとも思いますし。1人でも多くの方に感動していただけたらいいなと思っています!」

 幽霊になった家族たちの姿はほしみにしか見えないという設定から、つい笑ってしまうようなエピソードもある前半部分。だがその家族との別れが待つ後半は、必然的に涙、涙の展開になる。家族の大切さ、その愛情の深さを誰もが身に沁みて思うはず。ぜひともハンカチ持参で劇場へ!


プロフィール

タカベアイ●(写真左)2004年全日本国民的美少女コンテストでグラビア賞を受賞。同年、“美少女クラブ31”に加入。2005年には、ミス週プレCONTESTで初代グランプリを受賞した。

ナルイユタカ●1985年に加藤昌史、真柴あずきらと演劇集団キャラメルボックスを創立。以降、劇団公演だけでなく、ドラマなどの脚本も手がけるほか、現在では桜美林大学などで講師も行っている。


作品紹介

▲(写真左から)成井 豊、大内厚雄、高部あい、山田幸伸
 4月某日に行われた製作発表には、成井と高部のほかに、キャラメルボックス看板俳優の大内厚雄と、キャラメルボックスへの出演は5度目で、ゲストとしては最多出演回数を誇る元SETの山田幸伸、さらに製作総指揮の加藤昌史が顔を揃えた。まずは、ふだんからキャラメルの芝居の直前に“前説”として登場することでもおなじみの加藤から劇団のこれまでの歩み、今回の公演のいきさつなどが語られた。そして成井からは「あらすじでは暗い話かと思われるかもしれませんが、コミカルな場面もあり、全体的には笑える、楽しいお芝居です」と、作品のあらましが紹介された。

大内厚雄
「年齢によって見え方が非常に変わる作品。実際に近しい人、大切な人を失った経験のある人は特に胸に迫るものがある作品だと思います。家族5人を一度に亡くして、それをどうほしみが乗り越えていくか。想像を絶するようなツラい状況で、ほしみがどういう選択をして、生きていくかというところを観ていただきたいです」

高部あい
「ほしみ役の印象は、家族思いであたたかい心の持ち主。初舞台なので、まだプレッシャーや不安は大きいです。本番中に後悔しないように、稽古をしっかりがんばりたいと思います」

山田幸伸
「出演者の中では最年長です。若い人たちといろいろ絡む役なので、たくさん刺激を受けたい。稽古場でもいろいろとダメモトでやってみて、成井さんに怒られながら(笑)、本番に向けて楽しい舞台になるようにがんばっていきます」

そのほか、高部から「最近一番悩んでいるのは、どこからが大人でどこまでが子供なんだろう?ということ」という微笑ましい悩みが語られ山田や成井らが妙に口ごもる場面もあったりし、キャラメルならではの和気あいあい、温かいムードでいっぱいの会見となった。

インタビュー・文●田中里津子 撮影●坂野則幸
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