日本でも多くの名作が愛され上演され続けるブロードウェイの巨匠ニール・サイモン。この度、彼自身の青年時代を描いた自伝的作品『ビロクシー・ブルース』の上演が決まった。軍隊に徴兵された若者6人のぶつかり合い、その本気度と滑稽さ、成長の素晴らしさ…。人種も性格も違う若者たちの葛藤を演じるのは、彼ら自身毛色の異なる存在感と実力を持つ6人の若手男優陣だ。デビューしたパルコ劇場に戻ってきた佐藤隆太と、意外にもこれが初舞台の忍成修吾に話を聞いた。
とにかく、1ステージごとにヘロヘロになりそう(佐藤)
●本作の出演が決まった心境は?
佐藤 まず思ったのが“この壁は高い”ということです。だからこそ突き動かされるし、物語の中の彼らじゃないけど、僕自身も飛び込む思いが強くわきました。個人的にはパルコであることも大きいんですよね。上演時がちょうどパルコの舞台でデビューして10年目に当たるんです。いい機会をいただけました。
忍成 初舞台なのでまったくの未知ですね。本を読むとセリフが…。長いし、覚えるのが大変そう(苦笑)。ただ、青春群像劇は個人的に好きなんです、学園物で育ってきましたから(笑)。喧嘩しながらも終わるころには何かもらえるものがある。僕ら自身の成長にもつながる。その空気感が好きですね。
●作品に対しての印象は?
佐藤 人物たちは怖さや緊張感を抱えて心が揺れているけれど、非常にエネルギッシュな作品だと思います。だから、僕らがきちんと演じ切れさえすれば、皆さんにも力強い舞台をお見せできるはず。どれだけ僕らが作品から逃げずに向き合っていけるか…。凄くいい題材を与えてもらいましたよね。
忍成 童貞を捨てることを目標にしてる役もあって、そんなところに若々しい面白さを感じます。それでいて精神的には今の子たちよりずっと大人っぽく芯がある。そういう、現代との違いもしっかりとらえていきたい。時代や国が違うことで言葉やジョークの通じる・通じないもあるだろうし、きちんと伝えていく表現をしなくちゃと…。
佐藤 身体も凄く使います。舞台上で腕立て伏せをやるシーンや、叫んだりと全身を使って表現しなければならないので、とにかく、1ステージごとにヘロヘロになりそうな舞台です。
自分が納得することで初めて評価してもらえると思う(忍成)
●共演を控えてのお互いの印象を。
忍成 初共演ではないんですが、ガッツリ組むのは初めてですよね。
佐藤 忍成くんは羨ましい人です(笑)。演技から発されるものが“役者”だなぁと。説得力があるし、もう素敵です。
忍成 (笑)。佐藤くんも僕にないものをいっぱい持っている人です。エネルギーがすごく伝わってくる。
佐藤 お互いに持っていないものを持っている2人なんだね。
●舞台のイメージはいかがですか?
忍成 一昨年くらいからやってみたいと思っていました。演技の引き出しを増やしたいし、役へのアプローチの仕方はドラマや映画に比べて舞台ではどうなんだろうって。みっちりやる意味では舞台はズバ抜けていると思うんです。お客様の前でお芝居をするとはどういうことなのか…。経験しなければ分からない、だから挑戦したいなと。
佐藤 僕はそもそも舞台がデビューです。役者になるのが夢だったからメチャクチャうれしくて稽古も“楽しい”ばかりでした。それが、本番前に一気にどーん!
と急降下。稽古場に行けなくなって…。まさか自分がそんなふうになるとは思いもしませんでした。結局、覚悟するタイミングが大事なんだと思うんです。覚悟を決めた後は、稽古も本番も楽しくなりました。
●今回の舞台に目標を持つとすると?
佐藤 覚悟を決めて自分を全部さらけ出す。カッコつけないで1回ちゃんとボロボロになる。これ以上は見せられない…、という制限を取り払うのが自分の中の約束です。
忍成 まず楽しむこと。もともと人前に出るのが好きじゃなくて、何の因果かこの仕事に就いたんですが(苦笑)、2作目の映画を撮った時に本当に楽しくて、ベクトルが前向きになりました。お芝居が楽しくて、この仕事をしていくんだという気持ちがしっかり持てた。最初の体験って大きいんです。だからこの初舞台も、どんなにつらくてもいかにポジティブに越えるか、たくさん吸収するか、そして本番には自己満足を目指して(笑)。自分が納得することで初めて皆さんに評価してもらえると思うんです。
インタビュー・文●丸古玲子 撮影●柴田ひろあき
「普段からクールなの?」(佐藤)、「すごくマイペースかな(笑)」(忍成)
元気弾ける熱い印象の佐藤隆太さん、片やクールで内心何を秘めているかの忍成修吾さん。イメージが180度違う2人の会話はどんな風に転がるかと思いきや、男同士の同世代であっという間にコンビのような空気感。ガッツリ共演するのはこれが初めてとのことで、お互いの印象を聞いていくと、佐藤さんから「普段もクールなの?」と忍成さんに質問。忍成さんは答えて、「すごくマイペース。ハシャグ時はハシャグけど、完全に自分のタイミングだから人は気にしていない(笑)」。1人で楽しくなってハシャぐ忍成さんって見てみたい!それを聞いた佐藤さん、「僕は“ポジティブな人”ってよく言われる。でも実際は凹みやすかったりするんだけど」と苦笑。さらに、「大人計画の舞台に呼んでいただいた時、大好きな先輩たちに囲まれてスゲェ緊張して自分が出せなかったんです。芝居がつまらないって言われるのが怖くて…。(初舞台の時)本番直前には急に怖くなって、稽古場に行く電車に乗っても隣の駅で降りてしまって…」なんていう“凹んだ”思い出話も披露してくれた佐藤さん。人は見かけによらぬもの、とっても奥深い存在です!
佐藤 隆太:サトウリュウタ(左)
'80年東京都出身。'99年パルコ劇場『BOYS TIME』でデビュー。以来、舞台、映画、ドラマ、CMなど幅広く活躍。来春には劇場版『ROOKIES』が公開に。
忍成修吾:オシナリシュウゴ(右)
'81年千葉県出身。'99年ドラマ「天国に一番近い男」でデビュー。映画『リリイ・シュシュのすべて』『バトル・ロワイヤルU鎮魂歌』など話題作に出演。映画『小森生活向上クラブ』が公開中。