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インタビュー

お客さんは宝。みなさんの10周年への期待で私も舞い上がります!
 今年の6月でデビュー10年目を迎える綾戸智絵が、10周年を記念した全国ツアーを開催する。今年9月から来年7月までにわたり、公演数はなんと100本以上! しかも彼女は、3周年以後、同規模のツアーをコンスタントに行ってきたという。ひたすら歌うことで、ジャズファンに限らず数多くの人々を魅了するまでとなった彼女が、現在の心境を語ってくれた。

聴く人の感性と合致したからここまでこれた

 

●まずは、ソロ・プロジェクト第1弾を主導する意気込みを。

「自分の手の中にある音楽で、歌手としてやっていくんだっていう確信がなかったし、その期間なんて全然わかりませんでした。ただ、人間っていつどうなるかわからないから、日々やれることをやっていこうという感じで、恐怖はなかったですよ」


●では、続けてこられた要因は何にあると感じていらっしゃいますか?

「それはお客さんですよ。聴いてくれる人がおったんです。英語の歌で歌詞をカッチリ歌ってるわけでもないのに、それでみんなが涙したり笑ったりするっていうのは、みなさんにそういう感性が素晴らしくあるということ。時代と私とお客さんとが、三位合体できたんだなと思います」


●辛かったことはありましたか?

「言葉をちゃんと選らばなアカンのは辛いね。地震があった場所に行った時、どうやったらみなさんに区別なくお見舞いが言えるか、とか。どこまでがユーモアでどこからがシリアスかっていうのは、人によってそのセンスとヒューマニティは千差万別だから、その中で言葉を掛けるのは難しいですね。でもそのぐらいで、そんなに辛いことはなかったですね」


●それでは、綾戸さんにとってジャズの魅力とは?

「とにかく歌っていて楽しい! ましてやフロントでしょ? 何回コーラスをやるとかって決めてないでしょ? 私が歌い終わらん限り、バンドの人らはずっと弾いてなアカンから、あれは楽しいですね〜(笑)。あと、自分が歌ったフレーズがオブリガート(メロディを引き立てる副旋律)で返ってきたりとか。譜面をきっちりやるんじゃなく、そういう自由性があることはジャズの醍醐味ですね」


●この10年間で、ライヴを重ねるうちに変化したことはありましたか?

「歌は歌、メイクはメイクの役割があって、その専門ジャンルの人間をリスぺクトすることは、大がかりなステージをするようになって覚えました。照明さんには“この服はどう?光る?木綿がいいのサテンがいいの?”って全部聞きます。照明の色とかは見る人が判断するものだから」


●そういう意味で、“歌”はご自身の専門ジャンルということですよね。

「そうですね。ステージでのお客さんへのアプローチは私しかできませんからね。他人任せにしたらイカンところは絶対あると。だから私は、コンサートが終わった後の最後のしゃべりも全部自分でやります」


●えっ!?終演後のアナウンスを自らされているんですか?

「やっぱり最後のシメは私が言うべきやなと。“ありがとう、みなさ〜ん!CDは玄関のところで売ってるよー。どう?あなたは持ってる?あなたは持っていても近所の人は持ってない。お土産に(どうぞ)〜!”とかって言って(笑)。毎回やるんですよね」




“お客さんの顔を見ながら心を込めて歌います
 

●今回の10周年記念ツアーは公演数が100本を超えるわけですが、これは初めてのことではないんですよね。

「3周年、5周年…って数字が変わってきてるだけで、ずっとやってるんですよ。だからこれが普通やと思ってた(笑)。で、やっぱり人間が生きてる中での“ヤマ”みたいなもので、例えば“七五三”っていう名前をつけて千歳飴を持たしてくれてるだけのことで。それは10周年も同じです」


●10周年=1つの節目という点では、何か特別な趣向は考えていますか?

「“アニバーサリー”ってつくだけに、ちょっとモノがグレードアップすると思うんですよ。例えば、ステージの装備がちょっと増えたり、私のブラウスのフリルがいつもより多めに付いたり(笑)。そのぐらいで、本人の歌はなんら変わりなく、お客さんの顔を見ながら心を込めてやります」


●やはり、ステージングに関してはスタッフを信頼して任せていると。

「舞台監督とかの専門ジャンルの人たちの意見については、もう全部OK! 相当キツイことがあれば別ですけど。中には“こんな場所、怖くてよう立って歌えんわ”っていうもありますよ。そういう怖さ以外のものはなんでもチャレンジします。5周年の時には、セリが上がって、バーン!って飛び出すやつとかもやったし」


●では改めて、ツアーへの意気込みがあればお聞かせいただけますか?

「たぶんお客さんのほうが意気込んでると思いますよ(笑)。×周年、っていう節目の時って、お客さんを見るといつもよりいいものを着てる(笑)。着物とかドレスとかがやっぱりちょっと増えるのね。チケットの柄が変わると服の柄も変わるもんやな〜と思って。そっから自分の歌が変わってくる。だから相互関係なんですよ。お客さんは宝ですね。お客さんが10周年ということで期待してくれて、私はそれにノセられるだけです」

●なんと言っても、お客さんあってのコンサートということですね。

「“お客様は神様です”っていう三波春夫さんの言葉を実感してます。客席が詰まって私も身が詰まるんですね。みなさんがいないと私もカラッポ。みなさんの熱気で私も舞い上がります!」

 

 まさに、演者と観客が響き合う一体感は格別。最高のアニバーサリー・ムードでともにステージを盛り上げ、彼女と至福のひとときを過ごそう!


プロフィール

アヤドチエ●大阪府出身。3歳からピアノを習い、小学生でジャズに興味を持つ。高校卒業後は神戸とロサンゼルスを行き来する中、ジャズクラブで演奏。1984年にNYに渡り、88年にゴズペルクワイアに参加。91年に帰国し、98年に6月にアルバム「FOR ALL WE KNOW」でデビュー。2003年には紅白歌合戦への出場を果たした。

インタビュー・文●水白 京 撮影●渡部孝弘
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