カーペンターズの楽曲と共に懸命に生きる大切さを伝えたい
凛とした美しさをたたえる、宝塚歌
劇団・元花組トップスター春野寿美礼。
退団後も歌手活動や舞台出演に取り組んで来た彼女が、この冬、全篇カーペンターズの歌で綴ったミュージカル『ア・
ソング・フォー・ユー』に出演する。
自らのコンサートやライヴでも、カーペンターズの曲を好んで歌ってい
るという春野に、カーペンターズとの出会いとその魅力を尋ねてみると……、
春野 「宝塚時代は男役の曲ばかり歌っていたので、退団してから少し迷う時期がありました。女性としてどんな曲を歌っていこうかと。
そんな時にカレン・カーペンターの映像を見て、なんて素敵な人なんだろうと感動したんです。
体にふわっと入って来る優しいハーモニー。流れるように繊細なメロディライン。今まで味わったことのない初めての和音に触れた気がしました」
そんなカレンの歌声に包まれたくなるのはどんな時なのか?
春野 「素直になりたい時ですね。カレンの歌声は本当にストレート。あんなに素直に歌える人っていないと思います。
だからカレンの歌声を聴くと、私自身も平和な気分や素直な気持ちを取り戻せる気がして」
物語の舞台は1970年代の日本。
横田基地周辺のライヴハウスでステー
ジに立つロック好きの征司(川平慈英)
とカーペンターズシンガーとして人気のSHOKO(春野)の不器用な愛を、カーペンターズメロディとともに描くオリジナルミュージカルだ。SHOKOは脚本家が“カーペンターズの曲が
醸し出す雰囲気を体現したような”と
形容する女性。
春野がイメージするSHOKOとは?
春野 「征司とは対極にあるような人ですね。ロックといえば反骨精神の塊というイメージがありますが、SHOKOの世界は穏やか。
70年代初期はベトナム戦争やあさま山荘事件など、世界中でさまざまな事件が起きた激動の時代。
当時の若者たちが何かに腹を立て、いきがっていたその時代にカーペンターズが現れる。
人々の心にストレートに響く彼らの登場と共に、時代は穏やかな方向へ動いていく――SHOKOもロックとは全く違うベクトルの女性として演じたい」
最後に70年代の青春物語を今、上演することで伝えたいメッセージを。
春野 「現代では人のぬくもりや時間をかけて作られる感動が少なくなっていると思うんです。カーペンターズが活躍していたころはまだそれがあった。
だから、彼らの曲を聴いて昔を懐かしく思うだけで心が癒されるはず。どんな時代でも、苦悩したり喜びを感じたりしながら一生懸命生きる。
その大切さを伝えられたらいいですね。全世代の方に楽しんでいただける作品だと思いますよ」
インタビュー・文/まつざきみわこ Photo/崔 承Z
クラクラするほどの猛暑に見舞われたこの日。少々ぐったり気味の取材陣とは対照的に、まるで一陣の風のように颯爽と登場した春野さん。
元宝塚トップスターとして舞台上ではまばゆいオーラを放つ彼女だが、ユーモアを交えて場を盛り上げながら質問ひとつひとつに丁寧に答えてくれる取材中の姿からは、とても繊細な一面をのぞかせた。
フォトセッションでは、柔らかい表情、キリッとしたまなざし、澄まし顔、笑顔……どんなカットもとにかく絵になる彼女に、カメラマンもノリノリ。
撮影のクライマックスで突然床に寝ころぶようにしてカメラを構えたカメラマンに、春野さんはビックリ!
「上からレンズを覗きこむような感じで」というリクエストに「えっ?えっ?」とポーズをとりながら思わず笑い出してしまうシーンも。
サービス精神旺盛で明るい春野さんの魅力に、すっかり虜になってしまった取材陣でした。
春野寿美礼:ハルノ スミレ
'91年に宝塚歌劇団に入団。'02年花組トップスターに就任し、'07年の退団時には史上最多とも言われる出待ちのファンに見送られたという伝説を持つ。'09年から本格的に芸能活動を開始。ミュージカル『マルグリット』('09年)、ブロードウェイ・ミュージカル『ファニー・ガール』('10年)など、舞台作品への出演や歌手活動を精力的に行っている。
| 脚本 | 鈴木 聡 |
|---|---|
| 演出 | 栗山民也 |
| 音楽 | 久米大作 |
| 出演 | 川平慈英/松本紀保、吉沢梨絵、大和田美帆、杜けあき、羽場裕一、山口賢貴、上田悠介、尾藤イサオ、上條恒彦/春野寿美礼 |
| 公演期間 | 会場 |
|---|---|
| 12/6[火]〜18[日] | 東京・新国立劇場 中劇場 |
| 12/21[水]18:30 | 愛知・中日劇場 |
| '12/1/7[土]〜8[日] | 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール |
| 1/11[水]18:30 | 金沢歌劇座 |