クラシック
熊川哲也Kバレエ カンパニー2018『New Pieces』

熊川哲也Kバレエ カンパニー2018『New Pieces』
(C)Hidemi Seto

チケット情報

熊川哲也、渡辺レイ、宮尾俊太郎
3つの才能が生む、3つの新作バレエ、一挙上演!

2017年10月、熊川哲也演出・振付による完全オリジナルの新作グランド・バレエ『クレオパトラ』を発表し、バレエ界に衝撃を与えたばかりのKバレエ カンパニーが、この冬は3つの新作を一挙上演!
今や振付家としてもその稀有なる創造性において確たる評価を誇る熊川が、新たな作品の題材に選んだのは、『ジゼル』の台本執筆はじめ19世紀ロマンティック・バレエの発展に貢献したことでも知られるテオフィル・ゴーティエの短編小説「死霊の恋」。
美しい女吸血鬼に魅入られた若き聖職者の恋の顛末を描いた耽美な幻想世界を“物語る振付”を自家薬籠中のものとする熊川がドラマティックに描き出す渾身の一作となる。
さらに、キリアン率いるネザーランド・ダンス・シアター等で活躍してきた世界的コンテンポラリーダンサーでもある渡辺レイ、自ら座長を務める“Ballet Gents”で数々の振付作品を発表し、熊川も一目置く手腕を発揮している宮尾俊太郎が、それぞれ新作を手掛けることになる。
カンパニー独自のレパートリー創出にこだわり、次々と名作を生んできたKバレエがまた未知なるバレエ芸術の世界を切り拓く!


熊川哲也 新作
「死霊の恋」
[音楽]ショパン:「ピアノ協奏曲第 1番第 1楽章」
[出演]浅川紫織/堀内將平/石橋奨也

渡辺レイ 新作
「FLOW ROUTE」
[音楽]ベートーヴェン:「コリオラン序曲」/「弦楽四重奏 第14番」より/「交響曲第7番 第4楽章」
[出演]矢内千夏/遅沢佑介 ほか

山本康介 新作
「Thais Meditation」
[音楽]マスネ:「タイスの瞑想曲」
[出演]荒井祐子/宮尾俊太郎

宮尾俊太郎 新作
「Piano Concerto Edvard」
[音楽]グリーグ:「ピアノ協奏曲」より
[出演]毛利実沙子/山本雅也 ほか

 


熊川哲也Kバレエ『New Pieces』~死霊の恋~、
作家・有吉玉青が迫真のリハーサルに立ち会い、最新の様子をお届けする!

「イメージを形にするために」 
 クマカワが、このたびあらたに手がけるのは、一九世紀フランスのゴーティエの『死霊の恋』だという。
 若き司祭の、かつてのゆるされざる恋の相手、高級娼婦が死してよみがえり、彼の血を吸う。恋に身をゆだね衰弱していく司祭を救おうと、彼に思いを寄せる聖職者が十字架をもって立ち向かう――
ふたつの禁断の恋、女の情念、恋と信仰の葛藤、異端との戦い……。この幻想世界はバレエになると直感したが、どうバレエになるのかはわからない。
 リハーサルが行われているスタジオに赴き、こういうことだったのだと目をみはりつつ得心した。自分が抱いていた、像を結ぶところまでもいかない、霧のような想念のうごめきが、ダンサーたちのポーズに、動きに、形を得ていく。
 その形こそクマカワのイメージにほかならないが、イメージを形にするために、彼は注意深く音楽に耳を傾け、自ら踊る。何度も踊って確かめながら、ダンサーに指示を出す。そうしてときどき空を見た。娼婦として、それぞれの聖職者として、その場面を生きながらも、自らの内側からいずる動きが舞台でどう見えるかを考えている―― 美しいかどうか。けれど計算するのではなく、やがて彼の感性のうちに答えが出る。踊る、それが答えだ。
 ダンサーたちは彼の眼の先を追い、また眼の中を読むようにして、示された形を身体に、そこに込められた想いを心に写していく。そして踊るとき、クマカワのイメージを、今度は自らの心身をもって表現することで、クマカワとともにその人物を創り上げる。
 作品は、ダイナミックに生成していく。
文◎有吉玉青(作家・大阪芸術大学教授)