結成20周年を来年に控え、さらなる快進撃を見せるthe pillows。そんな彼らが高らかに打鳴らすロックンロールアルバム『PIED
PIPER』を完成させた。音楽の楽しさを最大限に詰め込んだ今作はthe pillowsから君への招待状。全国ツアーへ向けて旅立つthe pillows ヴォーカルの山中さわおにインタビューを敢行した。
アイツの最高よりも、こっちの普通のが全然いいんだよって
●『PIED PIPER』ってあまり聞きなれない言葉ですよね?
「うん。グリム童話に登場するハーメルンの笛吹き男(=PIED PIPER)のことなんだけど、どこかで使いたいなってずっと思ってて。で、タイトル曲になったあの曲には最初タイトルがなかったんだけど、「どこに行こうか
君を連れていくって決めたんだ悪いけど」って歌詞はあった。そこで、この曲を「PIED PIPER」ってタイトルにしたらちょうどいいだろう、と。すべてがうまくいくことに気付いたんだよね。なんていうんだろう?神経衰弱がどんどんどんってめくれていく、みたいなミラクルがたまに起こるんだけど、そういう時はいい予感がして、それに従いたいのね」
●笛吹き男は山中さん自身!?「付いて来いよ」みたいな。
「そうだね。うん、そう言いたいんだ。そういう男に憧れてるんだよ。で、今回言ってみたっていう(笑)。でも自分に言い聞かせてるのかな?ずっと自分がもっと評価されたいと思ってきたし、今も思ってるけど、リキッド、AXからZeppに行く時にちょっと変わったのかも、周りのいろんなことが。で、意外と僕の気の合わなそうな人間も集まってきてるというか。それに対する戸惑いもあったのかな?でもさ、間口が狭い音楽ってかっこわるいなって思うのね。いい音楽であれば誰もが好きになっていいんじゃないのって思うし。だからそういう人がいてもいいじゃないかって思ってきてるのかな……っていうか思いたいんだな。俺が言ったんだからそうしろ!って自分に言い聞かせてる(笑)」
●でもこの音に誘われて付いて行くとかなり楽しい気分になれますよね。
「そうだね。子供たちを悪い方へ悪い方へ、親が嫌がる楽しい方へ、楽しい方へ連れて行きたいなっていう(笑)」
●『PIED PIPER』ツアーも迫ってきていますが、構想などはありますか?
「今回はね、構想はいらないツアーなの。前回いろいろ仕掛けがあったけど、あれが特別で、今回はまたノープランのライヴに戻った感じになるかな?毎回プランを練ってるライヴも楽しいとは思うんだけどね……音楽以外の部分でっていう意味で。でも俺らは音楽だけで楽しいから。だから音楽性は変わらないし、いつも通り。いたって普通ですよ。普通に自信がある(笑)。アイツの最高よりも、こっちの普通のが全然いいんだよって感覚で音楽やってるから、普通だけど普通じゃないステージになるんじゃないかな」
インタビュー・文●足立知美
“この8小節しか使わないギター”とかも場合によっては必要かなって
どんなライブになりそう?との質問に「まぁ普段通り」と応えたさわお氏。でもひとつ、「意外に張り切ってる(笑)」ところがあるのだとか。「実はツアーに向けて、ニューギターとニューアンプとニューエフェクターに変えようかなって思って」と、G.真鍋氏に相談しつつ、いろいろなギターを試しているとのこと。「長くやってると自分の気に入った音みたいなのが出来てくるじゃない?でもさ、もっとやれることもあるんじゃないかなって。たとえば“この8小節でしか使わないギター”とかも、場合によっては必要かなって」。19年目にして今なお留まるところを知らない探究心。「好きだからね、音楽が」とさらりと言ってしまえる彼だからこそ、the
pillowsというバンドがこんなにも多くの支持を受けているのだろう。
取材から数日後、ちらりと耳に挟んだ情報によればニューギターはすでに購入済み。ぜひPIED PIPER TOURでその音色を確かめて!
PIED
PIPER
発売中
avex trax
<初回生産限定盤CD+DVD>¥3,300(税込)
<通常盤CDのみ>¥3,000(税込)
15枚目のオリジナルアルバム。ベテランバンドらしい骨太のバンドアンサンブルと、キャリアをいい意味で感じさせないロックへの初期衝動的なアプローチが、他のバンドにはない魅力。UKやUSのオルタナティヴ、ギターロックの質感、日本語ならではのしみる歌詞の両立も彼らならでは。ロックの楽しさが100%満載されている。