「妖怪」を通じて描く「人間」の所業と感情
“妖怪へヴィメタル”をコンセプトに、'01年のメジャー進出以降着実に地歩を固めてきた陰陽座。“妖怪”という日本古来の文化を通して“人間”の感情や世の中の事象を描くという本質は、1年ぶりに届くシングル「紅葉」(くれは)でしっかりと押し出されている。本シングルから9月に到着するアルバム『魑魅魍魎』、その流れにおけるテーマをリーダー・瞬火が語った。
●アルバムの先行シングル「紅葉」は、妖怪についてつづった曲だそうですね。
「はい。“紅葉(くれは)”という悪行を働いていた女性が、鬼と見なされ侍に退治されたという伝承がありまして。歌舞伎や能の「紅葉狩」の元にもなった、要するに勧善懲悪モノなんですけれど、実は都のお偉方の妾だった紅葉は身篭ったために山奥に追い立てられ、殺されたのだという異説が一部にあるんですね。それが事実とすれば大変な悲劇なのではないか……という仮定に基づいて書いた楽曲です」
●物事を多角的にとらえるのが好きな瞬火さんらしい(笑)。
おまけに、本当に歌の力が素晴らしくて驚きましたよ。
「アルバムの曲の中から、どれをシングルに選んでも良かったんですよね。ただ、前作アルバムの『魔王戴天』が勢いや力強さをフォーカスした作品だったので、そことは対比を見せようと。もう、この曲では紅葉という人物になり切り、切々と想いを歌い上げる黒猫の歌と言葉が、どれだけ届くか? ということだけを考えて制作しました」
●そこで『魑魅魍魎』のテーマとは?
「魑魅は山の妖怪、魍魎は水の妖怪のことで。つまりは山海の珍味じゃないですけれど(笑)、全ての物の怪――すなわちすべての人間の感情を、陰陽座が持つ振り幅の広さをもって、1つの作品に内包するということですね」
●アルバム発売後には全26ヶ所という怒濤の全国ツアーも控えていますが、毎年夏ツアーが恒例だっただけに、ちょっと焦らされる感じもしますね。
「ま、ホースの口をつかむようなものですよ。ギリギリまでためて手を放すと、水がブワッ! と噴き出すという(笑)。なので陰陽座を知らない方も、もしロッピーの入力を間違えて陰陽座が出てきたら、運命と思ってぜひ来てみてください。こんな見た目ですが……違反の制服着てるのにオモロイ奴みたいな、実はそんなバンドなので(笑)」
インタビュー・文●清水素子
余裕があるはずなのに忙しいのはなぜ?
CDでの猛々しいヴォーカルやライヴでのアグレッシヴなパフォーマンスからは想像もできないほど、いつも穏やかに言葉を選びながら語ってくださる瞬火さん。実はかなりユーモラスな一面もあり、カップリング曲のうちの1曲「飛影」は、なんと彼本人が創作した馬の妖怪について書かれた曲なのだとか!影が飛ぶがごとく走るのが速い馬・飛影が辿った悲しい物語を「やめて、僕の飛影を取らないで!」等、飛影の世話をする少年や飛影を奪った殿様の感情たっぷりに説明してくださる姿は、かなりレア!? 終始笑いの絶えない、和やかな取材となりました。
また、今回予想以上にスムーズに制作が進んだため、9月リリースのアルバムも6月初めにはレコーディングが終了してしまったのだとか。“もう7月に出しちゃいたい”“余裕があるはずなのに忙しいのはなぜだ!?”という嘆きが、どこかクスリと笑えてしまうのも、瞬火さんの温かくて懐広いお人柄のおかげなのでしょう(笑)。この面白さとサービス精神、ライヴではMCで大盤振る舞いされていますので、ぜひ会場へ!
陰陽座:オンミョウザ
'99年、大阪で結成。メンバーは黒猫(Vo)、瞬火(B、Vo)、招鬼(G)、狩姦(G)、斗羅(Dr)。
日本語の中でも古語を多用した歌詞と、本格的なヘヴィメタルサウンドの調和が独特。
これまで7枚のオリジナルアルバムなど作品を重ね、欧州ツアーも体験。
待望の8thニューアルバム『魑魅魍魎』は9/10[水]リリース。
official site ⇒ http://www.onmyo-za.net/index.html